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日本小児科学会理事 新潟大学 齋藤 昭彦教授

【独自解説】“オミクロン株”で学校休校も…5歳以上の子どもたちもワクチン接種へ 小児感染症の専門医“寄り添う気持ち”が重要

子どもの症状は?

 新型コロナ“オミクロン株の感染が爆発的に広がる中、子どもへの感染も大きな問題となっています。保育園 幼稚園 学校などで子ども同士の感染や、家庭での子どもから大人への感染も多く報告されています。この子どもの新型コロナ感染の問題について、子どもの感染症、予防接種の専門医 新潟大学の齋藤 昭彦(さいとう・あきひこ)教授にお話を聞きました。

Q、子どもの感染者が増えていますが、なぜなのでしょうか?

(齋藤教授)
 「今回のオミクロン株は感染力が強く感染者が大変多くなっています。そして、全人口の中で子どもたちが唯一ワクチンを接種していない世代です。そこに感染が広がっていると思います。」

Q、新型コロナにかかった子どもの症状はどういうものなのでしょう?

(齋藤教授)
 「オミクロン株以前から、大人に比べると子どもは非常に軽症です。無症状であることも多いという傾向でした。そしてオミクロン株にかわっても軽症という傾向は変わりませんが、“症状がある”子どもが多い印象があります。“発熱”するとか、“のどの痛み”を訴える子どもが多いのですが、多くの子どもは元気で、熱も2・3日で治まります。入院の必要のない子どもが、新潟市で見ている限りはほとんどです。」

学級閉鎖・休校の基準は?

子どもの感染者急増(2022年1月19日現在)

Q、学校などで“オミクロン株”で感染者が出た場合どういった対応になりますか?

(齋藤教授)
「子どもたちは集団生活をしていますので、感染者が出ると保育園や幼稚園、学校などの“閉鎖”が相次いで報告されていますが、特に小さい子どもにおいて、デルタ株まではあまり見られなかった“子どもから子どもへの感染”や“子どもから親への感染”も多く報告くされています。また、学年が高い子どもで部活動をしている子どもは、その部活動の中で集団感染が起こり、それが学校中に広がるという例も報告されています。一人の感染者が出ると、濃厚接触者がどれだけいるかが非常に重要なのですが、その濃厚接触者を特定するのに3日程度かかるので、その間、全員休んでもらい“休校”になる場合もあります。そして特定された濃厚接触者は10日休んでもらうことになります。そして問題がなければ再開となる、そういう対応を多くの学校がしています。」

Q、子どもの場合、どういった基準で入院させるのでしょうか?

(齋藤教授)
「子どもの呼吸器感染症の入院基準は2つあって、1つは“酸素吸入”が必要かどうか、もう一つは“水分”がしっかりとれるかどうかです。酸素吸入は家庭では難しいですし、“食べられない・飲めない”となると“点滴”が必要ですので。あとは、呼吸器の既往症がある子どもや免疫に問題がある子どもなど“重症化のリスク”が大きい子どもも入院させます。この辺りは大人と同じと考えです。」

子どものワクチン接種は?

12歳未満のワクチン接種について

Q、5歳から11歳の子どももワクチン接種は必要というお考えですか?

(齋藤教授)
「子どもにワクチンを接種することには意義があると思います。特に基礎疾患のある子どもは、重症化のリスクがあるので、そこにはしっかりと接種を行いたいというのが我々の考えです。」

小児ワクチン 学会などの見解

Q,ワクチンの投与量は大人とは変わってきますか?また在庫状況も教えてください。

(齋藤教授)
「子ども用は大人用と全く違うワクチンになります。ワクチンの中に含まれているメッセンジャーRNAというものの量が大人用3分の1になります。また、大人は0.3mlを使用しますが、子どもの場合0.2mlですから、量も変わります。
在庫状況ですが、まだ日本にはなく、これから輸入されて、3月くらいから接種がはじまる予定です。」

Q,子どもの心と体の健康について、親に何かアドバイスはありますか?

(齋藤教授)
「もう2年以上同じようなことをずっと繰り返していて、子どもたちもよく頑張っていると思います。子どもたちはずっとストレスを受けながら生活をしていますので、『今日はどうだった』とか『大事なことはないかな』とか、親から声掛けをして、子どもが感じていることを近くで聞くというような“寄り添う気持ち”が重要だと思います。また、ストレスを発散する時間を持つというのも極めて重要だと思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年1月20日放送)

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