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「はま寿司」被害届提出へ

【独自解説】“勝手にわさび”は「器物損壊罪」“勝手に食べる”は「窃盗罪」“SNS投稿”も罪になる!?相次ぐ回転寿司店での迷惑行為、犯罪性を弁護士が解説

 回転寿司店で、他の客が頼んだ寿司の皿に“勝手にわさびを載せる”などの迷惑行為を撮影した「不適切動画」がネット上に拡散し、批判が殺到しています。回転寿司チェーン「はま寿司」は、許されざる行為として、警察に被害届を出すことを明かしました。「犯罪」にもなり得る悪質行為について、元大阪地検検事の亀井正貴弁護士が解説します。

SNSで拡散、回転寿司店での「不適切動画」

「不適切動画」が拡散

 1月上旬、「はま寿司」の社員が「不適切動画」の拡散を確認しました。そのうちの一つは、他人が注文した寿司に“勝手にわさびを載せる”動画で、スプーンのようなものを握った人物が、流れてくる寿司にわさびを載せる様子が映されていました。この動画に関わった人物から謝罪の申し出がありましたが、「はま寿司」は受け入れず、警察に被害届を出す方針です。

 もう一つの動画は、“流れてくる寿司を1貫だけ食べる”もので、「おいしそうだったのでたべちゃいました」「人の注文」などの文字が載っていました。この動画の発生日・被害店舗は不明で、加害者からの謝罪はないということです。

 さらに、回転寿司チェーン「くら寿司」でも同様の被害がありました。“一度レーンから取った寿司を再びレーンに戻す”という不適切行為を撮影した動画が拡散しています。「くら寿司」の広報担当者は「今回問題となっている動画は、映っている商品などから、4年前に撮影されたものと確認しました。問題の動画の行為は到底許されないものと考え、現在警察と相談しており、厳正に対処してまいります」としています。

AIカメラシステムを改修へ

 「くら寿司」は再発防止策として、セルフ会計や品質管理のために各座席に設置している「AIカメラシステム」で迷惑行為を監視できるよう、直ちにシステムの改修を含め実験を開始するということです。広報担当者は「今回のように、座席でお客様によってカバーを閉じられたこと(不正に投入されたこと)をリアルタイムで検知することも可能なため、お客様の安心と安全を守るため活用してまいります」と話しています。

「器物損壊罪」や「偽計業務妨害罪」の可能性も

亀井正貴弁護士

(亀井正貴弁護士)
「わさびを勝手に載せる行為は、寿司の効用を害することになり、寿司は器物なので、損壊したということになります」

 亀井弁護士によると、“わさびを勝手に載せる行為”は、わさびを勝手に載せたことで注文した客が食べられなくなった(食べられないと判断した)場合、「器物損壊罪」に当たる恐れがあるということです。罪に問われることになれば、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

 また、“他人が注文した寿司を勝手に食べる行為”については、寿司の所有者は注文した客(提供されるまでは店)であるため、勝手に食べることは窃盗行為で、「窃盗罪」に当たる恐れもあります。「窃盗罪」は10年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

レーンに戻すのは「詐欺罪」の可能性

 また、“流れている寿司を一度取ってレーンに戻す行為”は、一旦購入した商品に対し、支払うべき代金を隠して精算するという詐欺行為に該当し、「詐欺罪」当たる恐れがあるということです。「詐欺罪」は10年以下の懲役になります。

Q.流れてきた寿司を取ると、これは取った人の物になるのですね?
(亀井弁護士)
「そうですね。注文をしてレーンに乗った段階で、所有権が移転している可能性があるので、その段階で買ったことになってしまいます」

SNS投稿も犯罪となる恐れ

 そして、迷惑行為・不法行為の動画をSNSに投稿・拡散する行為自体も、「衛生・安全面に問題がある」と一般客に思わせて営業を妨害する、「偽計業務妨害罪」に当たる恐れがあります。「偽計業務妨害罪」は、現実に妨害された事実は必要なく、“その恐れ”があれば犯罪は成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

Q.店側としてはいい迷惑ですよね?
(亀井弁護士)
「はい。このような動画を見たら『こんなものを食べさせられるのか』となり、お店に行きづらくなりますから、業務妨害としての影響は大きいと思います。店は厳正に対処すべきだと思います。刑事的な責任も民事的な責任も追及して、かつ『追及するぞ』ということを広報することが大切です」

Q.犯罪の線引きすら、このような動画を投稿する人達は分かっていないということでしょうか?
(亀井弁護士)
「そうですね。そこが危険だと思います。『犯罪だ』ということは知らしめる必要があると思います」

Q.これは民事で損害賠償請求はできるのですか?
(亀井弁護士)
「もちろんできます。しかし、例えば『数千万円収益が落ちた』というところまで立証すれば、賠償請求できますが、なかなか立証するのは難しいです。ただ、業務妨害であるところまでは立証ができるので、慰謝料などとして数十万円~100万円ぐらいまでは取れる可能性があります。そして刑事でも、これは告訴すべきだと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」 2023年1月26日放送)

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