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【独自解説】オミクロン株感染拡大の中、急増する「感染性胃腸炎」 コロナに似た症状や“アルコール消毒”が効きにくい特徴も!? 正しい対策をスペシャリストが徹底解説
2022年1月28日 UP
今、オミクロン株の感染拡大とともに、増えているのが「感染性胃腸炎」です。これはノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスや細菌が引き起こす感染症で、主な症状は下痢や発熱そして嘔吐、さらに症状がひどい場合は「脱水症状」や「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」のリクスもあるものです。
現在、子どもを中心に増えていて、東京にある「雑司が谷赤ちゃん・こどもクリニック」では先週、感染症胃腸炎の患者が例年の約3倍に増加。
東京では、去年11月ごろから感染者が増えはじめ、今月に入り急増しています。また、感染力の強さから、家族内感染の危険性も高く、嘔吐や下痢などの症状から、見た目だけでは新型コロナと区別がつかないこともあると言います。
さらに、アルコール消毒が効きにくいという問題もあるという「感染性胃腸炎」の正しい対策などを、長崎大学大学院教授で小児科の専門医である森内浩幸教授に解説してもらいました。
Q.「脱水症状」や「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」があるということは、子供や高齢者に怖い病気ですね?
(森内教授)
「特に寝たきりの高齢者の多い施設や病院の中でクラスターが起こると、命にかかわることになります。またノロウイルスの感染症などは、どの世代でも逃げることはできません。」
Q.新型コロナのオミクロン株と、症状はどう違うのでしょうか?
(森内教授)
「多くの症例は、新型コロナの場合“発熱”や“呼吸器の症状”が主になり、そこに消化器の症状が加わることがあります。一方感染性胃腸炎の場合、“嘔吐”とか“腹痛”というのが圧倒的に強い症状で、咳などが出るとしても嘔吐の後に“むせた”とかであって、決して咳がメインの症状ではありません。たまに紛らわしいことがあっても、多くの場合診断はつけられると思います。」
Q.感染性胃腸炎は季節性のものですか?
(森内教授)
「ノロウイルスに関しては、忘年会新年会のシーズンに多いです。」
“アルコール消毒”では不十分!感染性胃腸炎の対策
感染性胃腸炎の感染経路は、嘔吐物や便に触れた手を介し、口にウイルスなどが入った場合などで、さらに加熱が不十分な二枚貝も感染経路になります。
Q.感染経路に「空気中のウイルスを吸い込む」とありますが、“空気感染”するのでしょうか?
(森内教授)
「ノロウイルスの場合、吐いたものが乾燥して小さな粉塵になって舞い上がり、それを吸い込むという形ですので、“空気感染”といえます。ですので、患者の吐いたものなどはきちんと処理しないといけません。」
感染対策のためには、感染性胃腸炎の病原体はアルコール消毒が効きにくいものが多いため、石けんやハンドソープで手を洗って水でしっかり流す、次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて消毒をする、カキなどの二枚貝はしっかりと加熱をする、患者が吐いたものなどの処理にはマスク・ガウン・手袋などを着用する、などが大切だということです。
(森内教授)
「感染性胃腸炎や食中毒などの一番の予防は、食べ物に注意すること、食べる前にしっかりと手を洗うことです。あとは、“患者かな?”という人の“吐いたもの”や“便”のなどを直接触らない、お世話をした後は徹底的に手洗いや次亜塩素酸ナトリウムでの消毒などをすることが大切です。感染している人の“便”の中には、1グラムあたり何十億個、嘔吐物の中にも何千万個のウイルスがいます。一方、体に数十個ウイルスが入るだけで感染はしてしまいますので、細心の注意が必要です。」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年1月27日放送)


