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【独自解説】梅雨でも油断禁物 目に大きなダメージの“紫外線” 肌が黒くなったりシミも…「目肌焼け」とは? 眼科医が“眼病”を防ぐ対策を徹底解説
2022年6月8日 UP
6月6日、関東・甲信地方は平年より1日早く梅雨入りし、天気の悪い日が続くこの時期でも油断できないのが“紫外線”です。そして、実は気を付けなければならないのが“目から入る紫外線”。「ドライアイ」や「視力障害」など、様々な「眼病」を引き起こすダメージを与える上、目から入った紫外線が原因で、肌が黒くなったりシミができてしまうという「目肌焼け」の原因にも…!大切な目を紫外線から守るための対策を、はしだ眼科クリニックの橋田節子院長が解説します。
ピークはこれから!梅雨の“紫外線”に注意
紫外線量は気象庁が観測を開始した1990年以降、長期的に増加傾向にあります。これから7月にかけて最も紫外線量が多くなり、1年間に浴びる紫外線の約70%~80%を4月~9月の間に浴びることになります。そして、梅雨の晴れ間は紫外線が非常に強い時期で、薄曇りの日でも紫外線が降り注ぐため、特に注意が必要です。
Q.「薄曇りだったら紫外線を浴びない」ということはないということですか?
(はしだ眼科クリニック 橋田節子院長)
「そうですね。快晴の日の薄曇りだと、大体8割ぐらいの紫外線量が出ていると言われています」
WHO(世界保健機関)の発表では、子ども(18歳未満)の日焼けは、のちの皮膚がんや目のダメージ、特に白内障の発症リスクを高めるとしています。さらに、子ども達は室外で過ごす時間が多いため太陽光を浴びる機会が多く、生涯に浴びる紫外線量の大半は18歳までに浴びるということなのです。橋田院長によると、紫外線ダメージは“蓄積”するので、子どものうちから対策をする必要があるということです。
Q.例えば、ゴルフなどで長時間、日光の下にいると目がチクチクして涙が出て目が開けていられなくなるような症状は、紫外線の影響なのでしょうか?
(橋田院長)
「はい。紫外線を長時間浴び続けると、そういった症状が出る可能性は十分にあります」
Q.しかし日光を浴びるとビタミンDができると言いますから、ずっと日光を浴びないというのもダメですよね?
(橋田院長)
「そうですね。大人ももちろんですが、お子さんに関して最近では日光を浴びることで近視の抑制につながるというデータもありますので、過剰に避けるのも良くないです」
Q.では、どのくらいの時間、外に出るのが良いですか?
(橋田院長)
「お子さんであれば、大体1日1~2時間ぐらいが目安です。大人の場合は20~30分ぐらいで良いと思います」
目への“紫外線”ダメージで「日焼け」「眼病」にも!
強い紫外線を目に受けると、脳からは「メラニンを出せ」と指令が出ます。メラニンを分泌することで肌が黒くなってしまうため、肌に直接紫外線が当たっていなくても「日焼け」や「シミ」の原因になってしまうのだというのです。これが「目肌焼け」です。
Q.日焼け対策で、例えば日焼け止めを塗ったり長袖で肌を隠したりしますが、目を守らないと日焼けしまうということでしょうか?
(橋田院長)
「その通りで、目から紫外線が入ることで脳が勘違いをして、全身に『メラニンを作れ』という指令を出してしまいます。目を守る対策が必要になります」
ほとんどの紫外線は、眼の角膜や水晶体で吸収されますが、1~2%は網膜にまで到達してしまいます。眼への影響が大きく、これが眼病を引き起こす原因になるということです。さらに、皮膚や眼に紫外線が当たると「活性酸素」が増え、過剰に分泌された「活性酸素」は角膜にダメージを与えます。紫外線によるダメージが要因とされる「眼病」には、充血、異物感、ドライアイ、視力障害の症状が出る「翼状片」や、視力の低下をまねく「白内障」、物を見ようとするところが見えなくなる「加齢黄斑変性」など、治療には手術を必要とする病気もあります。
Q.目が日焼けするだけで手術が必要な病気を引き起こす場合もあるというのは怖いですね?
(橋田院長)
「手術で完治するものもありますが、手術の適応のないものもありますし、黄斑変性などは今は注射で硝子体に薬液を注入することでかなり改善はしますが、完治は難しいです」
日本人は紫外線の影響を受けやすい?眼科医推奨のサングラスの選び方
一般的に顔の凹凸が少ない人は紫外線を浴びやすい傾向にあります。個人差はありますが、欧米人よりも東洋人、特に日本人は紫外線を浴びやすいということです。さらに、目の色が黒いとまぶしさを感じにくい傾向があり、サングラスで目への対策をしない人が多いため、紫外線の影響を受けやすいのです。
Q.日本人は紫外線浴びやすくまぶしさを感じにくいという民族かもしれないですね?
(橋田院長)
「そうですね。その上、サングラスは格好をつけているとか、似合わないとかいう文化もあるので、サングラスをかけるのが難しい方も多いかと思いますが日頃からかけておく方が安心です」
橋田院長は、サングラスを選ぶなら“紫外線透過率”の数値が低いもの推奨しています。「紫外線透過率1%」なら99%の紫外線をカットできるということで、最近は透明なレンズもあるということです。さらに、大きさは顔に合ったものを選ぶようにします。顔にフィットしていないと、隙間から紫外線が入るということです。また、レンズの色は濃すぎると瞳孔が開いて目に光が入りやすいということもあります。色によって見やすさに特性があるので、場面に合ったものを選んで欲しいということです。
Q.眼病の予防として、紫外線を防ぐために大人もサングラス付ける習慣を身につけなくてはいけませんね?
(橋田院長)
「ぜひ、そのようにしてください」
Q.子ども達は、例えばこれから海水浴やプールなどで泳いだ後、ビーチやプールサイドに上がった時にはサングラスをつけるという習慣を身につけておかないと、紫外線ダメージが蓄積していき、後々大人になってから眼病を発症してしまうかもしれない。ということですよね?
(橋田院長)
「そのとおりです。お子さんも長時間外に出ている時はサングラスをかけたほうが良いです」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年6月7日放送)


