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すすきの“頭部切断”・田村瑠奈容疑者

【独自取材】瑠奈容疑者「次言ったら刺すからな」カッターナイフ持って馬乗りの過去…同級生や容疑者一家が通った居酒屋店主ら証言…見えてきた“娘による家族支配”の実態

 7月2日、北海道札幌市・すすきので、首を切断された男性の遺体が見つかった事件。頭部を持ち去ったなどの疑いで田村瑠奈容疑者と父・修容疑者、さらに母・浩子容疑者の一家全員が逮捕されました。徐々に見えてきた計画性と、いまだ多く残る謎。飲食店関係者への緊急取材で見えてきた、一家の様子とは?元埼玉県警捜査1課・警部補の佐々木成三氏、社会心理学者・碓井真史(うすいまふみ)氏のダブル解説です。

事件のプロも疑問を抱く“浴室で保管されていた頭部”

一家三人を同じ容疑で逮捕

 この事件で、現場となったホテルに入室した“実行犯”とみられているのが、24日に逮捕された田村瑠奈容疑者(29)です。同じく24日に逮捕された父・田村修容疑者(59)は事件当日、瑠奈容疑者を車で送迎したとみられています。さらに、母・田村浩子容疑者(60)も犯行を計画段階から認識していたとみられ、25日に逮捕されました。三人全員に「死体遺棄」「死体領得」「死体損壊」という同じ容疑がかけられています。

持ち帰った頭部を自宅の「浴室」に保管

 行方不明となっていた被害男性の頭部は24日、札幌市厚別区にある瑠奈容疑者らの自宅2階の浴室から、腐敗した状態で見つかりました。事件発覚から逮捕までの約3週間、持ち帰った頭部を自宅で保管していた可能性が高いとみられ、警察は「瑠奈容疑者らが遺体の身元判明を遅らせる目的で頭部を持ち去った」とみて調べています。

社会心理学者・碓井真史氏

Q.浴室は、特に夏には毎日使うと思いますが、そこに頭部を置いていたのは異様ですよね?
(社会心理学者 碓井真史氏)
「身元の発覚を遅らせるために、遺体を切断して頭部を持ち帰ることは今までの犯罪でもあったことなので、ある意味で理解できますが、それならば早く処分したでしょうし、ごくごく例外的な犯罪ですが、“飾るような形”であったとしても、腐敗は避けるだろうと思います。浴室に保管というのは、理解が難しいです」

元埼玉県警捜査1課・警部補 佐々木成三氏

(元埼玉県警捜査1課・警部補 佐々木成三氏)
「浴室で保管していたというのは、僕も驚きました。湿度が高くエアコンもないので腐敗が進みますし、家族がよく使う場所なので、保管には全く向いていない場所ですよね。あとは、どのような形で保管されていたのかというのも、かなり気になります」

金色ウィッグ、手袋装着…捜査かく乱が目的、計画性の高さ

事件当日の経緯

 事件の経緯ですが、7月1日に被害男性が恵庭市の自宅から札幌まで車で移動し、夜はディスコイベントに参加しました。同日、瑠奈容疑者と修容疑者も車ですすきのへ向かったとみられています。そして午後11時前、被害男性と瑠奈容疑者とみられる人物がホテル近くで待ち合わせ、15分後にホテルに入室したということです。ホテル内の防犯カメラを見た人は、「安いウィッグ感のある金色の髪が見えた」と話しています。また入室の際、瑠奈容疑者とみられる人物は黒っぽい手袋を着用していて、室内から瑠奈容疑者の指紋は検出されていないということです。

Q.被害男性を呼び出して接触できるのがこの時間帯だと分かって、瑠奈容疑者らは凶器などを買いに行ったということでしょうか?
(佐々木氏)
「被害男性が札幌在住ではありませんので、札幌に来る期間を狙った犯行だと思います。あと、ウィッグで変装した理由は防犯カメラ対策で、警察の捜査をかく乱する目的で使ったのだと思います。また、手袋をして現場から指紋が出ないようにしていて、事件現場の浴室も洗っているような状態ということを考えると、警察の捜査をかく乱するうえで、準備をしていたことは明らかです。かなり計画性が高い犯罪だと感じます」

瑠奈容疑者と被害男性の間にはトラブルか

 そして、瑠奈容疑者と被害男性の間にはトラブルがあったとみられ、2023年5月から6月の間に、すすきのの飲食店で二人が会っていたことが分かっています。また、事件前の7月1日未明までに、瑠奈容疑者と父・修容疑者が一緒に「スーツケース」や犯行に使ったとみられる「のこぎり」、「ナイフ」など複数の刃物、また「金髪のウィッグ」を同じ商業施設で購入していたことも判明しました。碓井氏は「一般的に、家族ぐるみの犯行にはもう少し計画に時間がかかるはず。一切の迷いを感じない」、佐々木氏は「感情的に動かず、冷静に動いているようだ。正に“計画性”を感じる」と話しています。

(碓井氏)
「事件実行前から、この家族に“歪んだ形での”一体感があったのか、あるいは、誰かがこうと決めた場合には、もうそれに異論を挟むことはできないような家族関係があったと推測しています」

(佐々木氏)
「『死体遺棄』『死体損壊』『死体領得』という今回の容疑は、被害者が亡くなった状態での事件です。となると、亡くなる要因となるような『殺人』も計画的に行われないとおかしな状況ですので、殺害する上でウィッグをつける・手袋をする・ナイフを購入する、殺害行為に関しても被害男性に防御創がないということで、かなり計画的に綿密に行われた犯行だなという感じがします」

瑠奈容疑者は「浮いている存在」「不思議な子」…田村一家行きつけ店を独自取材

三人の素顔を独自取材

 田村一家の事情を知る人によると、「瑠奈容疑者は小学校から不登校で、中学校も行けていなかった。自立できるのかなと思っていた」といいます。また、瑠奈容疑者の同級生は、「浮いている存在だったので、かなり目立っていた」「小学校5年生ぐらいのとき、瑠奈容疑者がちょっと高そうなドレスを着ていて、服をちゃかしたら、カッターナイフを持って教室で追いかけられて馬乗りになられて、首に突きつけられて『次言ったら刺すからな』と言われた」と話しています。一方で、瑠奈容疑者を複数回見たという人からは、「店で飲んでいるところを見た。明るい感じの良い子。オシャレでキレイな感じの子」という証言もあります。

 さらに「ミヤネ屋」は、瑠奈容疑者が度々訪れていたという札幌市内の居酒屋を独自に取材しました。店主は、「瑠奈容疑者に『カウンターでもいいですか?』と言ったら、『どうしても小上がりが良い』と言われたので、『もし団体様が来たときは、カウンターに移動してもらえますか?』と聞いたら、嫌そうな感じで…変わっている、不思議な子だなと思いました」と話しました。瑠奈容疑者は2022年の年末に2回、2023年のゴールデンウイークにも来店し、4人席を2人で利用していたといいます。一緒に来ていたのは同じ年代の女性だったということですが、店主は「表情は暗い感じで、スマホを触りながら、うなずくそぶりもなく、楽しそうな感じではなかった」と証言しています。

 そして6月末には、その居酒屋に修容疑者と浩子容疑者も夫婦二人で来店し、カウンター席で2時間ほど滞在したといいます。店主によると、「特に二人で会話することもなく、表情は穏やかで優しそうなご夫婦でした。別々で飲食しているような、落ち着いている感じもありました」ということです。

「娘の願いを叶えてあげねば…」 娘による“家族支配”の実態

父・修容疑者が逮捕されたのはネットカフェ

 父・修容疑者は逮捕直前、ネットカフェに通っていたことも新たに分かりました。修容疑者が逮捕されたのは、自宅から車で約5分のネットカフェから出てきたところでした。捜査関係者によると、修容疑者はこのネットカフェを複数回利用していたということです。

 また、自宅周辺でも修容疑者の“変わった様子”が目撃されていて、近所の人によると、「車から降りないで、家の前で車に乗っているイメージ。弁当だと思うが、車内で食べていた。家に入ればいいのになって。何か事情があるのかなって」「帰ってきても、車の中に何時間もいたりすることがある」といいます。

 これらの証言について碓井氏は、「父親が家にいにくい状況であったとするならば、娘が家全体を支配していた可能性もある」と語ります。

Q.家族を娘が支配する状況は、あることなのですか?
(碓井氏)
「息子が暴力をふるって家族全体を支配するというのは、今までもありましたが、娘の場合は暴力や脅迫で支配するというより、皆が『娘の願いを叶えてあげなければならぬ』と思って、結果的に娘中心の生活になっていた、ということはあるかなと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年7月31日放送)

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