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【独自】ワクチンの疑問に専門医が回答!『異物混入、健康被害の可能性低い』『3回目接種、将来的には検討が必要』
2021年9月1日 UP
ワクチン専門家に聞く!夏休み中の子どもの感染拡大、なぜ?
子どもの感染者の拡大や、学校での感染予防対策方法について、さらに、気になるワクチンの異物混入について、そして、3回目のワクチン接種や交差接種の効果についてなど、気になる疑問に小児科医の長崎大学大学院・森内浩幸(もりうち・ひろゆき)教授が答えます。
Q.子どもが感染した場合の重症化リスクは?
(長崎大学大学院・森内浩幸教授)
「デルタ株に変わっても、子どもが重症化しやすくなったということはありません。ただ、子どもの感染者の絶対数が増えたので、当然重症化率は変わらなくても、重症化する子どもの数はポツンポツンと出てきています。」
「今でも、コロナを家庭に持ち込むのは親の方が圧倒的に多い。なぜこの夏休みの間に子どもたちの間で感染が広がったかというと、学校よりも感染リスクのある学習塾や学童保育などで、子どもたちが時間を過ごしたからです。そこは、学校に比べると感染予防対策をそこまできちんと行われていないので。単純に夏休みの延長、もしくは学校閉鎖と時短とかいろんなことをやっても、その子どもたちが家に独りで居るわけにいかないからという理由で、学習塾や学童保育に行ってしまうのであれば、むしろ学校にいる時よりも、感染はもっともっと広がっていきます。そして、そこで感染した子どもたちが家庭や学校に持ち込むことがありますので、感染対策は学校だけで済むということではないと思います。」
Q.ワクチンを打つ順番は子どもが最後?
(森内教授)
「ワクチンの優先順位は、かかった時に重症化しやすい人からになるので、高齢者や大人の中でも基礎疾患を持っている人。子どもに関しては、基礎疾患を持っている子どもは例外ですが、優先順位としては一番最後になってくると思います。」
机の上のパーテーションはリスクが高い!?
Q.文科省が休校などのガイドラインを作ったが?
(森内教授)
「ちゃんと基準を作ったことは非常によかったと思います。2020年みたいに、子どもがほとんど感染していないのに、何の目安も無く学校閉鎖を全国一斉にやると、出口を決めようがないです。元々感染者がいないわけですから。今回は、インフルエンザの場合の学級閉鎖は普通1割以上で行いますので、これよりも若干厳しめかもしれませんが、こういう基準があれば、過剰な反応をしなくてもいい。そして解除する目安もちゃんとあるので、子どもたちにとって必要な学びの場、心の健康、心の発達に必要な場所を確保することもできるので、非常にいい事だと思います。」
Q.学校の机を飛沫対策のパーテーションで仕切ると、換気が悪くなりリスクが高い?
(森内教授)
「たとえ教室の窓を全開にして入口も開けて、空気が流れているようにしたとしても、例えば、子どもたちなので絶対にあり得ないけれども、タバコの煙をパッと口から吐いたとします。すると、パーテーションがある限り、その煙は子どもたちの目の前でずっと残ったままなのです。つまり一旦そこにウイルスが入って空気が入ってくると、子どもたちはずっとそれを吸い続けることになります。アクリル板やパーテーションの他にも、コンビニなどでビニールカーテンを天井の高い所から下まで吊るしている所もありますが、あれはかえって換気が悪くなって、空気感染しやすくなる可能性があるので、注意しておいたほうがいいと思います。」
ワクチンに異物混入が発覚…大丈夫?
Q.ワクチンの異物混入による健康被害及ぼす可能性は低い?
(森内教授)
「例えば金属ですが、どの金属かはっきりしないともちろん断言することはできませんが、私達の体の中には色々な種類の金属が大量に入っています。例えば血液の赤色は鉄の色ですが、相当な量の鉄があるわけなので、あの針を通るぐらいの鉄が入ったからといって、何か起こるってことはないです。金属の中でも、ヒ素みたいにすごく有毒なものがありますが、それでもあの針を通るくらいの量ではほとんど何の反応も起こさないと思います。SNSなどで「金属アレルギー」という投稿があったと聞いていますが、ただ金属アレルギーはアナフィラキシーを起こすのではなくて、しばらく時間が経ってから接触している所が赤くなったりかゆくなったりするような反応ですので、それがこの注射器の針に入っているぐらいのもので起こるというのは、非常に考えにくいと思います。」
Q.ゴム栓の混入に関しては?
(森内教授)
「このワクチンに限らず、どの医薬品であっても、針が刺す時に中にゴム栓が入ってしまうことは昔から知られていますので、今回は非常に注意して見ているから見つかったっていうところもあるかもしれません。これは今になって出てきたとんでもない問題というよりも、もう何十年も昔から私達の業界では知られている出来事です。『天然ゴムラテックス』が入っているときに、ラテックスアレルギーのある人になんらかの反応が起こる可能性もゼロではありませんが、今のゴム栓は、ほとんどがラテックスの入っていない、天然ゴムではない成分で作られていますので、その可能性は相当低いと思います。不安な気持ちになるのは当たり前ですので、企業は一刻も早く、一体何が混入していたかを明らかにして、皆さんが安心できるようにしないといけないと思います。」
ワクチン3回目接種の必要性と交差接種の有効性
Q.ワクチンの3回目の接種は必要?
(森内教授)
「将来的には検討しないといけないと思います。抗体の量が少なくなると感染が起こる、いわゆるブレークスルー感染は起こる。ただそれでも、抗体を作る細胞は私たちの体の中にしっかり残っているので、ウイルスの刺激ですぐに抗体を増産するようになります。それで発病・発症するのを防ぐのには間に合ったりします。場合によっては発病もするかもしれないけれど、できてきた抗体によって重症化は防ぐことができる。だから感染を防げなくても発症が防げたり、発症を防げなくても重症化を防げたりする効果は、ワクチンの2回接種で結構長い間保つことができると思います。ただ時間が経つにつれて、その効果は薄れてくる。特に高齢者や基礎疾患を持っている人は、よりその傾向がありますので、ある程度時間が経ったところで、その人たちから順番に3回目の接種をしていくように計画しなければいけないと思います。」
Q.交差接種についてはどう考えていますか?
(森内教授)
「色々な臨床研究によって、1回目はアストラゼネカのワクチン、2回目はファイザーかモデルナ、という組み合わせだと、実はファイザー2回とか、モデルナ2回をするよりも、全体としての抗体反応が強くなるということが分かっています。抗体反応に関してはファイザー2回のほうがちょっとだけいいのですけれども、T細胞の反応は、この交差接種が一番いいと。打つ順番を入れかえるとダメなんですが、多分総合得点としては、この交差接種が非常に有効だと考えられます。これも突然出てきた変な話ということではなく、昔から学問的にこういうことの可能性が追求されてきたものです。」
(情報ライブミヤネ屋 2021年8月31日放送)


