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文政権が最後の抵抗!?

【独自解説】韓国文大統領夫妻、新たに“億単位”の金銭疑惑…専門家「このまま葬られる可能性ある」“文在寅保護法”成立させ捜査逃れ画策か?

 韓国の与党「共に民主党」がいま、「検察捜査権廃止法案」を成立させようとしています。これは“文在寅(ムン・ジェイン)保護法”と言われていますが、その理由とは?また、文大統領夫妻に、金銭に係る新たな疑惑も…。今後の韓国の動きを、朝鮮半島情勢に詳しい、龍谷大学の李相哲(り ・そうてつ)教授が解説します。

文政権が成立を目指す“文在寅保護法”とは?

「検察捜査権廃止法案」とは?

 4月15日与党「共に民主党」から提出された「検察捜査権廃止法案」。これは読んで字のとおり検察の“捜査権を廃止”して“起訴権のみを残す”というものです。現在の韓国は「高位公職者犯罪捜査庁」というところが、行政・立法・司法・軍などの高官やその家族を捜査します。また「検察」にも、不正腐敗・経済・公職者選挙など6つの犯罪を捜査する権限があります。今回提出された法案は、この「公職者とその家族」を捜査する権限を「高位公職者犯罪捜査庁」にまとめようというもので、“強すぎる検察”の弱体化を図ろうというものです。

朝鮮半島情勢に詳しい 龍谷大学 李相哲教授

Q.この法律はなぜ「文在寅保護法」と言われているのでしょう?
(龍谷大学 李相哲教授)
「この法律では、検察が捜査中の案件も『すぐに警察に渡しなさい』となっています。今検察は、文在寅大統領にかかわる事件をいくつか捜査していますが、文政権の“圧力”で止まっている案件がいくつかあります。法律が通って検察から捜査権がはく奪されると、文大統領が辞めた後に捜査できなくなってしまいます。なので『文在寅保護法』と言われています」

Q.なぜこの時期に法案を通すのですか?
(李相哲教授)
「検察は唯一『捜査権』と『起訴権』の両方を持っています。本当は憲法改正にかかわる問題なんですが、文政権が急いでいるのは、文大統領と李在明(イ・ジェミョン)大統領候補の捜査をさせたくないからです。警察は地域との癒着でかなり不祥事が多いしノウハウもないので、頼りにならないんです。ですから『犯罪者バンザイ法』とも言われています」

Q.犯罪者にも有利になるのに誰も反対しないんですか?
(李相哲教授)
「文大統領が指名して就任したキム・オス 検事総長が4月17日に辞表を提出しています。キム検事総長は、この『文在寅保護法』が国民の人権に大きな影響を与える法案なので、『最低でも10年以上改革の是非を議論するべきだ』と反対していたのです。今回、刑法・刑事訴訟法・検察庁法を改正するのですが、刑法の場合でも50か所以上変えてしまうのを、数週間で行ってしまいます。これに、韓国国民も検察全体も反発している状況です」

Q.こうなると法案自体“憲法違反”ということにならないのでしょうか?
(李相哲教授)
「この法案が成立すれば、『違憲訴訟』は必ず起こります。検察などが憲法裁判所へ訴える準備は、すでにできていると思います」

文大統領夫妻に「土地売買」「衣装代」に関する新疑惑

不動産の2億7千万円高額売却疑惑

Q.文大統領に新しい疑惑があるとのことですが、どんなものでしょうか?
(李相哲教授)
「慶州南道の土地の売買にまつわる疑惑です。韓国メディアが調べたところ、周辺の不動産の価格は変わっていないのに、文大統領の邸宅だけ、日本円で9千万円で買ったものがおよそ3倍の2億7千万円と高く売れていて、誰が買ったかも定かではないんです。これが賄賂に当たるのではないかと言われています」

妻に国家予算で数億円の高額衣装購入疑惑(写真:アフロ)

Q. 文在寅大統領は人権派弁護士で、質素な生活をして庶民派というイメージがあるのですが、金正淑(キム・ジョンスク)夫人にも金銭の疑惑があるのですか?
(李相哲教授)
「文在寅大統領夫妻は最初、『歯磨き粉も自分のお金で買う』と言っていたのに、夫人が韓国の有名デザイナーの作った衣装を178着、アクセサリーも207個と大量に買っています。本人は自分のカードで買ったといっていますが、日本円で“総額数億円分”ともいわれていて、年棒が約2千500万円の文大統領の収入では難しい金額なので、大統領府の『特殊活動費』という国の予算で支払ったんじゃないかと言われています。この事件は文大統領が退任する前に捜査しないと、大統領府の記録物は退任後15年~30年閲覧できなくなってしまいますので、このまま葬られる可能性もあります」

文政権との因縁がある次期法相

 尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領が、法務大臣候補に韓東勲(カン・ドンフン)氏を指名したことに対して、与党は「韓氏の法相就任は、露骨な政治報復宣言で検察権力の私有化だ」と反発しています。これは、韓氏が尹次期大統領の検事総長時代の部下で、2019年に曹国(チョ・グク)氏を捜査したという経歴があって、曹国氏が追い込まれ辞めた後に就任した秋美愛(チュ・ミエ)法相(当時)が、この韓氏を非捜査部門へ左遷したという因縁がある人物だからです。

Q.与党が反発している背景に、尹政権が法相に強大な権力を持たせることへの警戒もあるのでしょうか?
(李相哲教授)
「尹次期大統領は、大統領府の権限を大幅に削減するようで、今ある警察や検察を統括して閣僚人事の身体検査もしていた『民情主席室』という部門を廃止して、法務大臣に権限を集中させようとしています。以前はこの韓氏が検事総長になって、文大統領や李在明氏を捜査すると言われていましたが、それは報復に見えるので、『法務大臣にして剣を奪ってペンを持たせた』と言われていました。今回、検察の捜査権がなくなってしまった場合、法務大臣が自身の権限で動かせる『常設特別検察』というものを使って捜査できるようになるので、共に民主党側は“震え上がっている”といいます。検察の捜査権がなくなってチームが解体され資料などが散逸してしまうと捜査が難しくなると言われていますが、『常設特別検察』を使われると文大統領も逃げられないかもしれません。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年4月18日放送)

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