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全国で頻発する逆走事案

【恐怖】2日に1回のペースで発生、車の『逆走』見つけたらどうする?突然制御不能になり横転も…危険な『タイヤバースト』防ぐには?専門家が解説

 年間約200件発生している高速道路の逆走事案。特に、車での外出が増える長期休暇の時期に注意が必要です。さらに、暑い季節に注意が必要なのは、タイヤのバーストによる事故です。中には、他の車を巻き込んで死亡事故につながるケースも…。逆走したとき・見つけたときの対処法は?“危険なタイヤ”を見分ける方法は?交通事故鑑定『ラプター』所長・中島博史氏の解説です。

■逆走事案は2日に1回発生…多発する原因は?

和歌山県で逆走事故が発生

 2025年8月10日、和歌山県の阪和自動車道で男性(58)が運転する軽自動車が逆走し、ワンボックスカーと正面衝突する事故が発生しました。ワンボックスカーに乗っていた5歳と7歳の子どもを含め6人がケガをして病院に搬送され、軽自動車に乗っていた女性(86)が意識不明の重体です(8月11日現在)。

東北自動車道でも逆走事故

 2024年のお盆には、栃木・那須塩原市の東北自動車道で軽自動車が逆走し、乗用車と正面衝突する事故が発生しました。この事故では双方の運転手が死亡し、乗用車に乗っていた子ども2人が頭にケガをしました。この付近では、2025年のゴールデンウィーク初日にも逆走事故が発生し、上り線を逆走していた車と別の車が正面衝突するなど、合わせて10台が絡む事故となり、3人が死亡・11人が重軽傷を負いました。

出口と入り口がわかりにくい黒磯板室IC

 この事故の発端となったとみられるのが、黒磯板室ICです。写真の右側(赤色)が上り線への入り口ですが、左側(青色)は上り線からの出口となっていて、ここを誤って左折し、逆走したとみられています。

事故を受け様々な対策も

 GWの事故から約3か月半が経った8月9日、番組の取材班が現場へ向かうと、事故を受け、電光掲示板や矢印看板など様々な対策が施されていました。

逆走事案は2日に1回発生

 国交省によると、逆走事案は毎年200件以上、2日に1回のペースで発生しています。交通事故鑑定『ラプター』所長・中島博史氏は、「長期休暇は普段あまり運転をしない人が不慣れな道を運転する機会が増えるため、注意が必要」と警鐘を鳴らします。

交通事故鑑定『ラプター』所長・中島博史氏

(交通事故鑑定『ラプター』所長・中島博史氏)
「高速道路での逆走事案は、なかなか減らない状態が続いています。特に慣れていない道を運転するときは、時間的にも精神的にも余裕を持ったプランを立てて運転してほしいと思います」

■逆走したとき・見つけたときの対処法

もし逆走したら…

 中央分離帯が左にある・標識の裏側が見えている場合は、逆走の可能性があります。逆走に気づいたら、向きはそのままで良いので、ハザードランプを点灯させ、近くの安全な場所に停車させてください。そして、ガードレールの外など安全な場所に避難してから、110番や非常電話で通報してください。

 逆走に気づいても、Uターン・バックは禁止です。目的のICを通り過ぎてしまったら、次のICまで走行し、料金所スタッフに申し出てください。目的のICまで道を案内してもらえますし、料金は目的のICまでの通行料金となります。

Q.料金所に申し出て戻れば料金はかからないことは、意外と知られていないですね?
(中島氏)
「『特別転回』という制度で、逆走は危険なので、きちんと救済措置があります。注意点としては、次のICを出るときにETCカードを入れたままだと料金が徴収されてしまうので、カードは一旦抜いて、有人ゲートに行って申し出てください」

逆走車を見つけたら…

 もし逆走車がいると分かったときは、速度を落として十分な車間距離を取って走行してください。通報を行うと、情報板やハイウェイラジオなどで告知されます。また、中島氏によると、逆走車は追い越し車線を走行してくる傾向にあり、身を守るためには、「逆走車がいるかも」と思いながら運転すること・遭遇したらできるだけ左に避けることが大切だということです。

逆走車は「キープレフト」の傾向

(中島氏)
「基本的には、追い越し車線は追い越しのときだけ使うもので、走行車線をキープしているだけでも、衝突の危険はかなり避けることができます。逆走車が近づいて来るのが見えたら、念のためできるだけ左に寄って、路肩に止まることも考えてもいいと思います」

■猛暑の影響で急増する『タイヤバースト』

突然コントロールを失い横転

 さらに、暑い夏の時期に注意すべき事故は他にもあります。後方を走る車のドライブレコーダーが捉えたのは、突如コントロールを失ったようにガードレールにぶつかり、横転する一台の車でした。原因は、運転中に突然タイヤが破裂する『タイヤバースト』と呼ばれる現象です。

タイヤバーストで死亡事故も

 7月には徳島自動車道で、中型トラックと高速バスが正面衝突し、炎上する事故が発生しました。原因は中型トラックのタイヤバーストとみられ、2人が死亡・12人が重軽傷を負いました。

猛暑の影響でトラブル急増か

 自動車整備・販売を行う『オートバックス』の担当者によると、「猛暑の影響で、路面の温度が非常に上がっている。これがきっかけで、タイヤがバーストするトラブルが増えている印象」ということです。タイヤは暑さに加え、昼と夜の寒暖差によってヒビが入りやすくなり、ヒビが入った状態で高温になると中の空気が膨張し、バーストに繋がる恐れがあるということです。

空気圧が不足したタイヤが破裂

 空気圧の不足による破裂の危険性を見る実験映像では、速度が上がると、空気圧が不足しているタイヤは破裂しました。日本自動車タイヤ協会が実施した調査によると、高速道路を走行している車の4台に1台が、空気圧が低い状態だという結果になりました。

『スリップサイン』の確認方法

 タイヤの側面には三角マークがあり、そこをたどると、溝の中に四角い突起(スリップサイン)があります。新しいタイヤで溝が十分にあると、スリップサインは沈んで目立ちません。タイヤが擦り切れていくと溝が浅くなり、タイヤの溝とスリップサインが繋がっているように見えるようになります。これが危険な状態だということです。

(中島氏)
「基本的には、スリップサインが出ている状態は危険なので、交換しなくてはいけない状態です。スリップサインが出ていなくても、溝が浅い=雨を排水できない危険があるので、タイヤがすり減ってきたら交換するのが大事です」

Q.タイヤの側面が膨らんでいるのも、危険なんですよね?
(中島氏)
「どうしても側面は構造的に弱いので、そこから裂けることが多いです。また、タイヤは縦向きに針金がありますが、その裂け目から空気が漏れて、一気にバーストしてしまうことがあります。ゴムは太陽光で劣化しますので、溝はあっても、古くなったタイヤは危険だと思ってほしいです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年8月11日放送)

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