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ふじみの救急病院 院長 鹿野晃医師

【独自解説】“第6波”到来… 最前線で治療にあたる医師「1週間前と今では大きく見える景色が変わった」

 新規感染者数が東京では“先週比10倍”、沖縄では“過去最多”を2日連続で更新し、政府は沖縄、広島、山口の3県に対し「まん延防止等重点措置」適用するなど、“新型コロナ”感染が拡大する日本。そんな中、最前線でコロナ治療にあたっている、埼玉県「ふじみの救急病院」院長の鹿野晃(かの・あきら)医師に医療の現状を聞きました。

感染が“急拡大” 連日“過去最多”を更新した沖縄

沖縄・感染急増 新規感染1400人超えで“過去最多”

 感染が急拡大している沖縄では1月7日、新たに“過去最多”となる1414人の感染者が確認され、2日連続で過去最多を更新しました。医療スタッフの感染も増加し、沖縄県の重点医療機関では“新型コロナ”に対応する医療スタッフ58人が感染し、濃厚接触等を理由として合わせて220人が休職。職員不足のため、外来診療や救急の受け入れを一時停止する病院も出てくるなど、医療体制が圧迫されています。

Q.医療現場の方はいわゆるプロですよね、そんなプロの方まで感染するのはどういうことなのでしょうか?
(鹿野晃医師)
「医療従事者の中でも“第5波”が収束して、食事中にマスク外して会話したりなど、ゆるみがみられてきたんですね。それに加えてオミクロン株の感染力が強いということです。当院も第5波の経験を踏まえて全職員が毎日検査をしています。広がる前にすぐ見つけ出して隔離するというような対策を取っています。」

各県で感染者急増…埼玉県「ふじみの救急病院」の現状

「ふじみの救急病院」の現状

Q.年末と比べて、感染者はどのように増えましたか?
(鹿野晃医師)
「本当に1週間前と今とでは大きく見える景色が変わってきまして、年が変わる前は1日100人ぐらい検査しても1人の方が出るかどうかと所だったのが、1月3日以降は47人陽性のうち43人がオミクロン株、94~95%がオミクロン株っていう状況ですので、ほとんど置き変わってきたということですね。」

Q.デルタ株に比べて感染者が増えるのは早いですか?
(鹿野晃医師)
「これは早いですね。デルタ株のときは1週間で大体2倍ぐらい感染者数が増えていく、ペースだったんですね。これが今、1日で1.5~2倍ぐらい増えていくということで、感染力はやはり強いです。」

「ふじみの救急病院」入院患者の内訳

Q.オミクロン株というのは肺炎が比較的少ないといわれているんですが、肺炎の方も出てきていますか?
(鹿野晃医師)
「埼玉県は今のところオミクロン株の方は原則全員入院の措置を取っていて、最初の見立てで入院の必要がないかなと思っていた方でも検査をしてみると、6人のうち2人が、3人に1人は肺軽い炎を起こしていました。」

Q.ワクチンが必要ないとされていた、小さい子どもも感染しているということですが、どう分析されていますか?
(鹿野晃医師)
「そうですね、約1割ぐらいが12歳未満の方なので、今とりわけ子どもが感染しやすいっていうことはないのかなと。今のところ重症者とかも出てないので。これからですね、この1週間で日本でのオミクロン株の感染が始まっていますので、1週間後になって症状が重くなったり肺炎が起きてきたりしますので、1~2週間様子を見ないと、日本での実態が見えてこないということですね。」

沖縄・山口・広島の「まん延防止」について…

3県に「まん延防止」適用を表明

 1月6日、沖縄、広島、山口の3県に対し「まん延防止等重点措置」適用の方針を表明した岸田首相は「近い将来、医療提供体制に大きな負荷がかかることを見据え、早急に感染拡大を防止する必要と判断した。」とし、1月9日~31日まで、適用地域には酒類提供停止や医療提供体制の準備状況を公表し体制確保に万全を期すとしています。

 さらに沖縄には、官邸や各省幹部とホットラインで対応するチームを派遣、自衛隊等から医療現場への看護師の派遣を用意をするということです。

Q.仮に1~2週間後、オミクロン株の重症者が増えず、出たとしてもすぐ入院できる体制になれば、31日より早く「まん延防止」を解いていかないと経済が死にますよね?
(鹿野晃医師)
「そうですね、私も昔からその経済を犠牲にするような感染拡大防止策とは反対しています。そのかわり1つは検査を拡充して、早期発見・早期隔離、そもそも感染が広がらないように元を抑えていくことを言っています。飲食店の制限も陰性証明で人にうつす確率が極めて低いという科学的根拠に基づく対策であればいいんじゃないかと思います。2年経って、国民も学習していますから“医療現場が厳しくなってきた”となれば、感染拡大防止に従ってもらうそんな形になるんじゃないかと思います。」

Q. やはり大声でしゃべるだとか、くしゃみをしちゃったってことで簡単にうつるのでしょうか?
(鹿野晃医師)
「そうですね。基本的には飛まつ感染が一番重要な感染経路ですね。ただ飲食店は、個人客だったらしゃべらないですし、カップルや同じ家に住んでいる方々での利用であれば、飲食店にも行ってもらって、経済を回すっていうのもありなんじゃないかと思うんです。今までの知見をもとに、柔軟で納得がいく制限じゃないと従ってもらえないし、効果が薄いのではないかと思います。後2週間ぐらい様子を見れば日本で医療ひっ迫させるようなことになるのかならないか確認できますので、そのタイムラグを考えて行政が今、規制をかけて感染のスピードを緩やかにして時間を稼ぎたいというのは分かりますが、それがですねあまり医療ひっ迫を招かないということが分かったときには、経済をしっかり回していく、制限を解除していくべきだと思います。」

Q.感染対策は変わらなくていいですか?
(鹿野晃医師)
「変わらず、今までしていたことが少し緩んでしまった部分があると思うのでそれをまた元に戻す引き締める。このぐらいで私は今の段階では十分だと思います。飲食にいったときはどうしても守るのが難しいですから、医療がひっ迫してきたらすこし抑える必要が出てくると思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年1月7日放送)

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