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ウイルスが空中に漂うことを念頭に対策を

【独自解説】新型コロナ“家庭内感染”をどう防ぐ?感染対策のスペシャリストが提言「オミクロン株を侮るな!共用スペースは特に注意を」

 いまだピークアウトの兆しが見えない“第6波”。東京では自宅療養者が8万人を超える事態となっています。現在流行の中心であるオミクロン株は、重症化しにくいと言われていますが、若者が1週間寝込むなど、体調を崩すケースも出てきているということです。「オミクロン株を侮らず、しっかりとした備えをしておくことが大事」と提言し、北海道各地の病院や施設で感染対策の指導などにあたっている北海道医療大学の塚本容子(つかもと・ようこ)教授に、今必要な感染対策を聞きました。

家庭内感染対策(1)「マスク」と「寝室」

 コロナウイルスは、“エアロゾル”として一定期間空中に漂うことを念頭に、「感染者の部屋を分ける」「マスクは全員必ず着用する」という対策をとることが、家庭内での感染対策の基本だといいます。塚本教授は「特に寝室を一緒にするのは避ける。部屋を分けられない場合でも、家の中にテントを立てるなどして対策を」といいます。

北海道医療大学・塚本容子教授

Q. 部屋を分けていても、マスクをした方がいいですか?
(北海道医療大学 塚本容子教授)
「そうですね。感染者の方は体調が悪いとマスクができないこともあると思いますが、オミクロンの場合は、感染者がマスクをしていない場合、周りの人がマスクをしていても感染する例がありますので、できればマスクをしていただいた方がいいと思います。」

Q.寝室を分けられない場合は、テントを立てるという対策ですが、これは有効なのでしょうか?
(塚本教授)
「はい、テントに入るのは感染者ではなく、感染していない方が入るのでもいいと思います。感染者の方だと、テントの中は息苦しいということもあると思いますので、体調に合わせて物理的に分けることが大切です。」

家庭内感染対策(2)「消毒」と「換気」

対策に重要な消毒と換気

 次に必要な対策は消毒です。感染者が触ったところは必ず消毒をして、感染者も感染していない人も、何かをする前後には必ず手の消毒をするべきだということです。

Q.みんなが何かを触る前に手を消毒するという意識が大切だということですか?
(塚本教授)
「そうですね。すべてを消毒するのは難しいと思いますので、例えば、顔周りを触りそうなとき、メイクするときなど、食べ物を食べるとき以外でも、手をキレイにしてから行うことを癖付けて頂ければと思います。」

 また、家の中は常に換気をするべきで、部屋の空気を外に出すことが重要だということです。

Q.この寒さの中で、常に換気するのはなかなか大変だと思いますが・・・
(塚本教授)
「理想は2方向をずっと開けておくことですが、それが難しい場合は1時間に1回程度、強制換気として窓を開けて5分位、扇風機で部屋の中の空気を外に出してから窓を閉めるというのも手だと思います。」

家庭内感染対策(3)「トイレ」と「お風呂」

特に注意が必要なトイレの対策

 家庭内の「共有スペース」、特にトイレには注意が必要です。オミクロン株では嘔吐するケースも多いため、「便座の蓋は閉めてから流す」「使用後に便座・ドアノブなどを消毒する」など、トイレでの感染対策が必要だということです。

Q. 排泄物からもウイルスが出るのですか?
(塚本教授)
「そうなんです。実は感染者の便の中には、結構多くのウイルスが含まれています。便が直接付くというよりも、空気中に漂いますので、便の臭いにウイルスが含まれていると考えて、換気を徹底して欲しいと思います。」

お風呂と洗面所の対策

 塚本教授は、「感染者はできれば“5日間”お風呂を我慢する。どうしても必要な場合は最後に入るようにする。洗面所ではタオルや歯ブラシなどは個別にし、共有スペースに置かない。感染者が使用した後は、できれば自ら台所用漂白剤や中性洗剤などで徹底的に掃除をするべき」としています。またアルコールは、濡れたものには効果が減るため注意が必要だということです。

Q.お風呂は使用後、熱湯で流せば大丈夫ではないのですが?
(塚本教授)
「コロナの場合は65℃~70℃で不活化というデータもありますが、なかなかその温度にするのは難しいので、物理的に流すことも大事ですが、感染者のウイルス排出のピークは発症してから5日なので、その程度は我慢をしてもらうと安心できるかとは思います。もちろんそれが難しい場合は掃除をしながら、ということになります。」

ゴミや洗濯などの対策

Q.感染された方の衣類などは洗濯しない方がいいのですか?
(塚本教授)
「大丈夫だとは思うのですが、やはり心配になると思いますので、3日間置けば大丈夫です。急ぎの物でなければ、3日置くのが他のご家族も安心だと思います。」

Q.今、休校や学級閉鎖などで大変だと思うんですが、お子さんはほとんど軽症か無症状、軽い風邪程度と言われていますけど、この学びの場をどうするかというのは考えていかなければならないですよね?
(塚本教授)
「そうですね。うちも子どもがいるので、学びの場が大事なのは重々分かるんですけれど、今、高齢者の感染が東京では9%、北海道はもう12%なんですね。その感染の理由、高齢者施設でのクラスターの理由が、お子さんから職員、職員から高齢者への感染です。ですので、高齢者施設に持ち込まないためには、やはりどこかで止めないといけないと思います。ただ同時に、学校を休校にすると来られなくなる職員もいるのは事実です。何がベストかっていうのは、なかなか難しいですが、せめて家の中でマスクをして、予防していただければと思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年2月7日放送)

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