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【独自取材】3億円超の高級マンションがお買い得!? “超バーゲン状態”の「世界から買われる日本」 懸念される環境破壊と身近な被害
2022年11月19日 UP
11月16日、観光庁の和田浩一長官が10月の訪日外国人の大幅な増加を発表しました。その要因として挙げたのは、10月11日から開始した新型コロナの水際対策緩和と、今年に入り急速に進んだ「円安」。この記録的な円安を受け、外国人による新たな“爆買い”が始まっています。なかには、3億円を超える超高級物件も…その現状を取材しました。
億超え高級マンションに1泊430万円の別荘…「世界から買われる日本」の現状
「ミヤネ屋」スタッフが訪ねたのは、都内の不動産会社で営業を担当している李明澤さん。この日、日本でマンション購入を検討している外国人の内覧に同行しました。場所は東京・豊洲地区で、2022年3月に入居が始まったばかりの、48階建て新築・高級タワーマンションです。下見する物件は46階のプレミアムフロアにあり、価格は"億"を下りません。
李さんが案内するのは、来日した際に利用する「セカンドハウス」を探している、中国・上海在住の50代の女性弁護士です。今回は「オンライン内覧」で、これから見学する部屋に女性の姿はありませんでした。海外在住の外国人が来日しなくても物件を下見できる「オンライン内覧」が今、主流になりつつあるといいます。
物件は、専有面積132.78平方メートルの超豪華2LDKプレミアムルームです。リビングにある高級感のある家具は全て備え付けで、イタリアからの輸入家具です。東京湾を望む窓からは、正面にレインボーブリッジ、左手にはディズニーランドも見え、夜になると眼下に絶景が広がります。キッチンカウンターの表面は大理石で、ガスコンロの下には魚焼グリル、食洗器も完備されていました。
リビングの隣の部屋には、天井からゴージャスなシャンデリアがぶら下がった8畳の和室があり、扉や格子には日本の職人が手彫りであしらった模様が。さらに奥の洋室には、キングサイズのベッドが置かれています。他にも機能が充実したトイレに、足を伸ばして入れる広いお風呂も。この豪華物件のお値段は、なんと約3億5000万円です。
(購入希望者)
「上海で同じような物件を探すと8億円ほどするので、3億5000万円はお買い得ですね!」
オンライン内覧は和やかなムードで終了し、女性は、今年中に来日して購入を決めたいということです。
一方、こちらは中国出身でシンガポール在住の女性2人が民泊としても使える物件を探すため来日しました。内覧するのは、外国人に人気が高い京都の中心部にある、約130年前に建てられた木造2階建ての民家です。
(購入希望者)「畳、とてもいいですね」
(不動産会社)「床暖房をつけてあります」
(購入希望者)「家具や家電にお金がかかりそうですね」
(不動産会社)「家具は備え付けで販売しています」
この民家のお値段は1億6000万円です。しかし女性はその金額に驚くこともなく、次の物件を見るため、人気観光地・嵐山へ向かいます。
風流な日本庭園に、和室を中心とした日本家屋。京都を一望できるテラスがついた、3億3000万円の高級物件ですが、彼女たちはこちらも「お買い得だ」と言います。
(購入希望者)
「最大の理由は、円安です。日本は世界の投資家に、もう一度注目される場所だと思います」
2022年に入り円安が急激に進み、10月21日には、一時1ドル151円台に突入しました。かつて「バブル景気」に沸いていた1989年には、アメリカ・ニューヨークの中心に建つ「ロックフェラーセンター」を買収するなど、世界の不動産を「買う立場」だった、強い“ジャパン・マネー”ですが、日本は今、円安により世界から「買われる立場」となっているのです。
買われるのは不動産だけではありません。新潟県・小千谷市には、“泳ぐ宝石”の異名を持つ「ニシキゴイ」を求め、アメリカやスイスなど世界各国のバイヤーが買い付けのため来日しています。1匹100万円以上するニシキゴイを次々と買っていく外国人バイヤーたちは、新型コロナウイルスで苦しんでいた地元の養殖業者には好機到来です。
(大日養鯉場 間野茂常務)
「いきなり、お客さんがドドドって入ってきて、懐かしい感じがして。一気に忙しくなりました」
一方、夏は避暑地、冬はスキーと、海外の富裕層に人気の北海道・ニセコ地区にある天然温泉付き最高級別荘には、海外の富裕層から予約が入っているといいます。今シーズンの宿泊価格は驚きの1泊430万円です。
(アメリカ人の別荘運営者)
「ニセコは、世界一価値のある場所です。これからも投資は続くでしょう」
外資による開発の一方、懸念されるのは「環境破壊」
円安を背景にした、外国人の「日本を買う動き」。外資による開発が進む一方で、ある問題が懸念されています。
(記者)
「見渡す限りの森なんですけど、奥の方から重機の音が聞こえてきます」
音が聞こえる方には、建設現場が広がっていました。
(記者)
「ホテルやコンドミニアムが建つようです。開発事業者は外国人の名前ですね」
山を切り開く大規模な工事に、地元住民は「自然破壊」を懸念しています。そのため町は、「自然を壊すような過度な開発」が進まないよう、2023年度には、開発を強く制限するエリアを設ける予定だといいます。
(北海道俱知安町 観光推進係)
「そのエリアの価値・ブランドといったものを配慮してもらったような開発を望んでいます」
マンション住民の3分の1以上が中国人!?私たちにより身近な被害も…
Q.3億5000万円の物件が「お買い得」と言われていましたが、この円安は良いのですか?
(元経産官僚 岸博幸氏)
「私は良くないことだと思います。日本が安くなることで、日本の資産が買われやすくなる“超バーゲン状態”です。中国人の観光客はなかなか増えない中でも、中国人はオンライン内覧で物件を買ってしまうらしいです」
Q.この動きはいつか終わるのですか?
(岸氏)
「ある程度、円安が落ち着いてくれればいいのですが、それがいつになるか分かりませんし、当面はまだまだこの“超バーゲン状態”が続くだろうと思います。そうなると、都心のマンションのみならず、オフィスビルや物流基地、郊外リゾートなど色んな物が買われてしまうと思います。安全保障の観点から言えば、買われることによってどう使われるかわからないところもあります。自然が破壊されるという、マクロレベルの大きな被害もありますが、ミクロレベルの被害も色んな地域で出かねません。実際に東京で起きている例では、東京の都心の高級マンションで住民の3分の1以上が中国人になり、マンションの管理組合ができないそうです。皆さんずっと住んでいるわけじゃありませんから」
Q.円安だと海外から日本に来ている労働者の方にはうま味がないですし、日本は少子高齢化で働き手もいない中、優秀な方は日本から海外に出ていってしまうのではないでしょうか?
(岸氏)
「実際に税制の問題とかもあって、優秀な人はどんどんシンガポールとかドバイに出ていっています。そういうのを考えると現状はとても厳しいです」
(「情報ライブ ミヤネ屋」 2022年11月17日放送)


