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年金受給者に「5000円」給付案に物議

【独自解説】年金受給者への5000円給付案 不公平・バラマキとの批判も 物価上昇が続く中、いま必要な“対策”とは?

 緊迫するウクライナ情勢。ロシアによる侵攻は長期化し、世界経済に大きな打撃を与えています。そして日本国内でも原油の高騰に始まり、小麦の先物価格もウクライナ侵攻前と比べて約1.5倍にまで上昇。その影響は、ガソリン代や電気代、ガス代、様々な食料品にまで及び、私たちの家計を圧迫しています。そんな中、3月15日、政府・与党内で急浮上した年金生活者への5000円給付案。参議院選挙の前だけに「露骨な“バラマキ”ではないか?」と物議をかもしていますが、一体どうなるのでしょうか?そんな今、本当に必要な“対策”について経済評論家の加谷珪一さんが解説します。

物価の上昇続く 家計は大丈夫?

2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)

Q.様々なものが値上がりしていますが、これはまだウクライナ侵攻の影響を反映していない数字なんですね?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「はい。この数字はまだ2月段階のものですので、ウクライナ問題が反映されるのはこれからということになりますから、ここからさらに値上げが激しくなると思った方がいいと思います。」

消費者物価指数 家計への影響

Q.ウクライナ侵攻の影響が反映されて、消費者物価指数が3%上がると年収400万円の家庭で12万円も出費が増えるんですか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「そうなんです。今、消費者物価指数はあまり上がっていないように見えるのですが、これは慶大電話料金の引き下げが効いていますので、実際にはもう2%ぐらい上がっていて、そこから1%上がるということですから、このぐらいの世帯年収の方ですと10万円以上の出費増ということになります。」

なぜ?年金生活者に「5000円給付」

2022年度 年金受給額引き下げ

 そんな中、2年連続で年金受給額の引き下げも決まっています。年金支給額は毎年度ごとに物価や賃金の増減に合わせて改定されますが、現役世代の給料がコロナ禍で減少したことに連動して、2022年度は0.4%引き下げることを2022年1月、厚生労働省が公表しています。

Q.現役世代も困っている中で、年金も下がるというのは非常に悪循環ですね。
(経済評論家 加谷珪一さん)
「結果的にそういう形になってしまっていますね。年金減額制度は『マクロ経済スライド』というのですが、基本的には年金財政が立ち行かないので年金を引き下げるということです。一方で、物価が上がれば年金を上げると言っているんですけれど、結局、相殺されてしまうということですので、これはあまり上手く機能していない状態なのではないかと思います。」

家庭での対策…必要な高額商品は今のうちに買う!

政府・家庭ですべき経済対策

Q.本当に必要な経済対策は世代にではなくて今、困っている方への支援ということですよね?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「そうですね。今、現役世代の方でもかなりの物価の上昇で生活が困窮されている方もいらっしゃるはずですので、まずはそこへの支援ということを行って、全体への対策としては、できるだけ値上げが緩慢になるような、きめ細かい業界支援策というものが必要なのではないかと思います。」

Q.家庭では根本的な家計の見直しをすることや、物価上昇にはタイムラグがあるので必要な高額商品は今のうちに買う方がいいのですか?
(経済評論家 加谷珪一さん)
「いままで日本人は節約が美徳だったんですけれども、それでは限界に達していますから価値観を根本的に変えないといけない状況でして、今後も物価上昇が続く可能性がありますから、必要なものは値上がりする前に、できるだけ早く買っておいた方がいいと私は思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月22日放送)

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