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教団の儀式のガイドブック(先祖解怨・祝福受付 ガイドブック第7版(2012年)より)

【独自解説】“統一教会”「先祖の呪いを解く儀式」のガイドブックを独自入手「430代前の先祖まで解怨せよ」明記された献金額…罪を清める地獄からの3ステップとは?

 読売テレビ『ミヤネ屋』は、「先祖の呪いを解く」という“統一教会”の儀式「先祖解怨」のガイドブックを独自入手しました。教団が献金の手法として使う「先祖解怨」とはどんなものなのか?これまでの教団側の説明に矛盾はないのか、紀藤正樹弁護士と鈴木エイト氏が解説します。

先祖の罪を清める「先祖解怨」

「先祖解怨式」とは?

 「先祖解怨」とは、“統一教会”の文鮮明教祖と韓鶴子総裁が提唱したもので、1999年に韓国・清平で始まりました。この儀式は、「霊界にいる先祖を苦痛から完全に開放させるための儀式」だという事です。

ガイドブックの前書き(先祖解怨・祝福受付 ガイドブック第7版(2012年)より)

 ガイドブックの前書きには、“真の父母様”(文鮮明教祖と韓鶴子総裁)の言葉として、「全世界のすべての祝福家庭は、天一国基元節を迎えるためにすでに霊界に行っている先祖を絶対善霊に作らなければならない。したがって基元節前までに210代まで先祖解怨と先祖祝福を必ず完了しなさい」「全世界のすべての食口(しっく)たちが先祖解怨と祝福を早く完了させなさい」とあります。この「210代まで」という部分ですが、当初は「120代前」の先祖まで遡る、となっていました。それがその後「210代」になり、現在はなんと「430代」になっているということです。「430代前」ということは、1代20年としても8600年前になり、日本だと縄文時代まで遡ることになってしまいます。

紀藤正樹弁護士

Q.普通だと疑問に思う内容ですが、このガイドブックは、かなり教団にのめり込んでから渡されるのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「教団は入信者にお金を出させるために、半年以上マインドコントロール的な手法を駆使して、地獄のイメージを教えます。それを理解させないと、お金を出し続けさせることは難しいので、そこまで辿り着かせるために、教団は時間を掛けます」

鈴木エイト氏

Q.430代も遡ると、どこかで「信者同士の先祖が同じ」という事にはならないのでしょうか?
(鈴木氏)
「遡るとすぐ重なります。しかし教団は『遺伝罪』『連滞在』というのが個人によって違うので、個人がそれぞれ『先祖解怨』しなければいけない、と説いています」

Q. 「遺伝罪」「連滞罪」とは?
(紀藤弁護士)
「アダムとエバから自分まで、ずっと繋がっている“遺伝的罪”が「遺伝罪」です。家系の中で誰かが罪を犯していれば自分にも罪がかかる、というのが『連滞罪』になります。この2つの罪を全部清めないと先祖は清められませんので、最終的にはアダムとエバまで遡ることになります。それは兄弟でも別々、という事になります」

「先祖解怨」の対象になる家系(先祖解怨・祝福受付 ガイドブック第7版(2012年)より)

 この「先祖解怨」ですが、一人当たり4つの家系が対象になるとされています。それは本人からみて、①父方の父の父の家系、②父方の父の母の家系、③母方の母の父の家系、④母方の母の母の家系、になります。

Q.「家系図なんか無い」という場合はどうなるのでしょう?
(紀藤弁護士)
「家系図を作らせるのですが、それにもお金を取るんです。数十万円から、場合によっては100万円近くお金を取られた人もいます」

2世信者のVTuber「もるすこちゃん」

 実際に親が「先祖解怨」をしたという2世信者のVTuber「もるすこちゃん」によると、「家系図を作らせることで、『この祖先は離婚している』『他の祖先の子どもが不幸な死を遂げている』などの考えを信者に植え付ける」ということです。

勅使河原本部長の会見との矛盾

勅使河原本部長は不安をあおる行為を否定

 教団の勅使河原秀幸本部長は、「教団の教義の中に献金をすれば『先祖の怨念が解ける』や
『子孫の病気を避けることが出来る』という教義はあるのか?」という質問に、「そういう教義は私が知る中ではないと思う。少なくとも原理講論にはそんな話はない。先祖供養になるって言っているのは事実だが、その時に『やれ苦しんでいる』とか、『地獄に落ちてひどい目にあっている』とか、そのことを事さらに強調して何か不安がらして脅し取るような事実があったら、それは完全なる間違い」と言い切りました。

Q. 原理講論にはないと言いますが、このガイドブックの中にはあるように見えるのですが?
(鈴木氏)
「ガイドブックにもありますし、文鮮明教祖と韓鶴子総裁の言葉集の中にも、こういう“不安をあおる文言”はあります。教団としては、それも教義だとしています。先ほど紀藤弁護士が言ったように、高額で家系図を作っているのですが、教団がコンプライアンス宣言をした2009年以降は、この家系図が主力商品になっています。霊感商法の代わりに、こういう手口でお金を得ている実態があります」

ガイドブックによると、この「先祖解怨」は、「先祖解怨式」「先祖祝福式」「お迎え」の三つのステップに分かれています。行われるのは韓国にある「天宙清平修練苑」です。教団の教えによると、「現状は自分も先祖も地獄にいて、不幸の原因は怨恨を持つ先祖の霊」だとされています。

Q.先祖の怨恨だとか、なんか怖いですね。
(鈴木氏)
「完全に霊的な不安をあおっています。勅使河原本部長の話と違いますね」

Q.「先祖解怨」ができたという証拠は、どこかで見せてもらえるのですか?
(鈴木氏)
「韓国で行われる儀式で、『できました』という事になります」

3ステップの「先祖解怨」必要となる献金額

ステップ1で必要な献金額

 儀式のスタートは、先祖が地獄にいる状態です。ステップ1の「先祖解怨式」では献金として、1~7代は70万円・8代以降は7代毎に3万円ずつ必要になります。その対象は、現在「430代前まで」となっています。この献金が一括払いの場合は、先祖の霊は「100日修繕会」というところに行くのですが、分割払いの場合は、先祖の霊は直接「100日修繕会」には行けず、「待機室」で待つことになります。しかし1年以内に献金を完納ないと、解怨した先祖は地獄に逆戻りしてしまう、ということです。

ガイドブックに料金表が記載

Q.このガイドブックには、70万円の事を「70数」に書き換えてはありますが、お金が明確に出ています。まるで料金表ですね。
(紀藤弁護士)
「韓国ではそれほど警戒されていないので、こういう料金表を出していました。しかし、日本の料金で献金を全部出すとなると、1000万円を超えてきます。最初見た時『120代』だったのが、どんどん増えて今は『430代』にまでなっています。この後も増えると思います。どこかで、これはおかしいと、“統一教会”自体が気付いてくれないと困ります」

ステップ2・3で必要な献金額

 ステップ1で「100日修繕会」に行った先祖の霊は、101日目にステップ2の「先祖祝福式」進みます。やはりここにも、献金が必要となります。金額は、1~7代は7万円・8代目以降は1万円となります。鈴木氏によると、この「先祖祝福式」も、時期によっては「合同結婚式」と同じ140万円だったこともあったという事です。この献金を払うと、霊は「40日修練会」を行い、「絶対善霊」になるといいます。そして41日目に、ステップ3の「お迎え」という儀式になります。これにも献金が必要なのですが、ガイドブックに金額の記載はありませんでした。

Q.記載がないのは怖いですね
(鈴木氏)
「おそらく、その人の経済状況によって変わってくるのではないでしょうか」

Q.1/10献金や、収入の三割制限という話もありますが、教団は信者の収入や資産を知っているという事ですか?
(紀藤弁護士)
「資産家がターゲットの場合は、不動産調査をして土地がいくらで売れるかなどを事前に調べるセクションもありました。サラリーマンなどの場合は、家庭に入って行って「『通帳供養』をするので通帳を見せてください」などと言って、その人の収入をチェックするのです。例えば、家系図を作る段階まで行っている人は、収入もチェックされています。教団の最終的ターゲットは“お金”ですので、どういうルートであれ、その人の家計状況は“統一教会”に知られてしまいます」

他にも必要な費用が…

 さらに、それぞれの式を行うのに、1回の修練費が4000円、宿泊費が一泊1500円となっています。そして、直系(父方)と母方の家系で、1~7代だと4000円の修練費が、直系と母方に加え父の母方・母の母方を、28代前までに解怨すると、6段階で2万4000円と、だんだん高額になっていきます。

Q.どんどん費用が増えていく構図ですね
(鈴木氏)
「さらに、これを行うための韓国への旅行も、“教団系の旅行会社”がツアーを組んでいます」

Q.こんなに献金していくと、家庭は困窮してトラブルになりますよね。そのトラブルも「信仰心が足らないからだ」と言われるのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「信仰心が足らないから家庭にトラブルが起こる、サタンの誘惑に負けると言われ、モラハラを受けているのに近い状態になり、『何をやっても自分が悪い』と思うようになります。そうして悲劇的な家庭が生まれてしまいます」

Q.こういう被害者を救うためにはどうして行けばいいのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「日本は、国が何もしなかったので被害者が自分の努力で教団と対決してきましたが、他の国は政策で規制をしてきたので、“統一教会”の被害はほとんどありません。日本は教団になめられているのです。ですからこれからは、国が『カルト的団体』にどう対処するのかきっちり決めていただきたいと、切に願っています」

(情報ライブミヤネ屋2022年10月13日放送)

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