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米国国立研究機関博士研究員 峰 宗太郎医師

【独自解説】米在住免疫学専門家から提言「海外を見習えというのは間違い!」感染対策と社会活動のバランスを間違うと国が停止する!

感染拡大をある程度許容する社会へ

 オミクロン株による感染が拡大し、東京では2月上旬にも10人に1人が濃厚接触者となるという試算があります。海外に目を向けると、アメリカでは感染の拡大によるインフラのマヒが問題となる一方、イギリスでは12歳以上の6割がコロナワクチンの3回目接種を終え、感染のピークは過ぎたとしてマスク義務が撤廃されるといいます。

そんな中、アメリカ在住の免疫学が専門の米国国立研究機関博士研究員 峰 宗太郎(みね・そうたろう)医師が日本に3つの提言をしました。

峰医師の提言

Q、「感染拡大をある程度許容する社会へ」という提言の真意は?

(峰医師)
 「まず、オミクロン株の重症化率は下がっています。重症者数や死者数の増加で医療がひっ迫するという今までの考え方を改めて、“少し”軽い病気になったと考えます。またオミクロン株は非常に感染力が高いので、完全に封じ込めようとすると、経済的・社会的制約が強くなり、国の活動が止まって、社会がマヒするといった悪影響が出てしまいます。ある程度社会が回る妥当なラインを探るという考えが重要だと思います。感染者数が増えた場合、感染者の隔離日数を減らすことや、濃厚接触者の隔離期間をなくすことを柔軟にしないと、社会インフラが止まってしまいます。今後は、この病気との戦い方が変わっていくでしょう。」

クラスターにならない状況を作ることに集中

人数制限が効果的

Q、「クラスターにならない状況を作ることに集中」とはどんな対策をすればいいのでしょうか?

(峰医師)
 「人が流れているところで感染するというよりも、人が多く集まるところで感染が大きくなると考えます。そういう人が多いところでクラスターが発生すると、被害が大きくなります。感染者が多いと濃厚接触者の数も非常に大きくなります。人と人との接点を減らすという事に力を注いで、無駄のない対策をして、過剰に恐れないことが大切です。」

Q、専門家によっても意見が違いますが、オミクロン株は、インフルエンザと同じなのか、ずっと怖いものなのか、先生の意見はどうなのでしょう?

(峰医師)
 「まず、死者が出る病気であるというのは変わっていません。オミクロン株はデルタ株よりは弱毒化しているとはいえ、インフルエンザより(重症化などにより)病床のひっ迫を起こしたりしますし、死者も多い病気です。そして、感染していいことは何1つないので、予防できるのなら予防するに越したことはないというのが原則です。あとは社会活動とのバランスを取りながら、対策を考えていくしかないと思います。アメリカでも、感染対策をしないという人たちもいます。しかしそういう人たちが感染すると、まじめに感染対策をしている人にまで影響があったりしますので、できる対策をやっていくというのが重要と思います。」

日本は「海外を見習え」というのは間違い

ニューヨーク州感染状況(1月22日現在)

Q、提言に「海外を見習えというのは間違い」とありますが…

(峰医師)
 「アメリカなどは1日に100万人を超す感染者を出して、2000人以上の方が亡くなるという状況があって、アメリカの人もイギリスの人も感覚がマヒしています。日本で毎日300人~500人亡くなるという状況で冷静でいられるかを考えてください。オミクロン株で弱毒化したからと言って、感染を野放しにしていいわけではないという事を意識して、バランスをもって対策をすることが重要だと考えます。」

Q日本では休校による子どもたちの学びの場がなくなるという問題があります、アメリカでは?

(峰医師)
 「以前アメリカでは極端な政策をとって学校をすべて閉じていました、そのためメンタルクライシスと言って子どもの“うつ”の症状や自殺をしてしまう子どもが増えたりしました。今はできるだけ学校を開けようという政策をとっているところです。日本でも、いろんな工夫をして学級単位の閉鎖はありだとしても、過剰すぎる学校閉鎖をしてしまうと影響が大きいので、そこのところの議論も重要だと感じます。」

ワクチン接種の有効性

Q、この規制の多い生活を早く終わらせるためには何が必要でしょうか?

(峰医師)
 「まずは、ワクチンの3回目接種がイギリスのように高い割合になってくれること、そして経口治療薬が速やかに使える体制と、しっかりとした検査ができ、陽性の患者にはすぐに治療が行える環境が整うことが何より重要と考えます。3回目の接種に関しては、高齢者などリスクの高い人に関しては、確実に重症予防の効果がありますので、しっかりと進めていくべきと思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年1月24日放送)

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