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【悪質】客もワインも来ない!?全国の飲食店で相次ぐ“ドタキャン詐欺” 約100万円の被害も…SNS使った最新手口とは
2025年7月29日 UP
今、全国的に飲食店での“ドタキャン詐欺”が相次いでいますが、その無断キャンセルのウラには別の詐欺目的が…。韓国でも同様の詐欺が社会問題となっています。SNS詐欺の最新手口を元埼玉県警警部補の佐々木成三氏が解説します。
■全国で被害多発!飲食店“ドタキャン詐欺”の手口とは
東京八王子市の飲食店で、2025年6月20日(予約前日)の夜に、高校教員の“古賀”と名乗る男から「八王子〇〇高校の職員、古賀と申します。突然ですが、あす6月21日に予約取れますか?10人で教職員の懇親会です」という電話がありました。
連絡を受けたビストロ『GURECO』店主の木暮誠さんが、「1人18000円で合計18万円です」と答えると、男は問題ない旨を答えた上で、LINEの登録を要求してきたといいます。
6月21日(予約当日)になると、男から「『シャトー・オー・ブリオン82年』ってワインはありますか」とLINE電話がかかってきますが、木暮さんは「ない」という旨を伝えました。
すると、昼過ぎにも「以前、取引をしていた業者に在庫があるとこのこと、元々8万円のものが28万円。常務は創立記念には絶対必要だと言いまして、業者に連絡していただけないでしょうか?」という連絡が来ました。
さらにその後、「業者のLINEのIDを教えますのでお願いします」と何度も取引のない会社へ、店側から発注するように要望が来たということです。木暮さんは断りましたが、その日、予約時間になっても古賀と名乗る男らは現れず、着信も拒否されてしまいました。
(『GURECO』店主・木暮誠さん)
「予約詐欺ではなく、高額ワインを買わせるのが本丸なのかなと。きのうのきょうでの予約で、前金の受け取りが難しいのと、店からほど近い社会的信用力のある学校法人を名乗っていること、10人という前日でもギリギリ準備できる人数など、見事にしてやられた」
ドタキャン詐欺の手口は、このように団体予約が来て、「高級ワインを追加したい」と在庫がある業者のLINEアカウントを紹介されますが、紹介される業者は架空の業者で、購入してもワインは届かず、予約をした人物も現れないというものです。
(元埼玉県警警部補・佐々木成三氏)
「今までも、お店に大量の人数で予約して、その客が来ないという手口の犯罪はありましたが、大量の人数を申し込んで、さらにそこから高級ワインの金額を騙し取るという手口は、私は初めて聞きました。今の犯罪組織というのは、ニセの電話番号や、SNSアカウントなどを持っていますので、こういう手口はできるなという感じがします」
さらに木暮さんによると、男のLINEの名義は、古賀真司→渡辺真司→土屋翔太→小島広大と、だんだん変わっているといいます。
(佐々木氏)
「警察官をかたる詐欺や、SNS型投資詐欺において、ほとんどの犯罪組織はLINEに被害者を誘導するんです。LINEに誘導することで、画像や動画を見せることができます。今回の犯罪の場合は、ワインの映像や、お店が実際にあるのを見せて信頼させるという手口だと思います」
同様の詐欺は全国で相次いでいて、東京都世田谷区では、高校教員の“古賀”と名乗る男から16万5000円のドタキャン被害がありました。佐賀市では医療関係者の“佐藤”と名乗る男から6万6000円の被害が。富山市ではワイン4本96万円を払ってしまった上に、ドタキャン被害に遭ったということです。
(佐々木氏)
「このドタキャン詐欺というのは、犯罪者にお金は全く入らないので、目的はドタキャンではないと思うんです。予約をするときに、あえて高額のコースを選んだり、前日にいきなり申し込んだりするというのは、店側の“何とかこのサービスを提供したい”という心理の隙をうまく突いた手口だと思います」
■韓国ではドタキャン詐欺が社会問題に⁉
同様のドタキャン詐欺が、韓国では社会問題になっているといいます。
2025年6月24日には、韓国で公開予定の映画製作スタッフの関係者になりすましてレストランを予約し、事前に高級な酒を購入させ連絡を絶つというドタキャン事例が続発していると、公式『X』が発表しました。
配給会社は「関係者の名前を使用して予約することはない。製作陣を装った予約・注文の連絡を受けた場合、絶対に応じず、被害が発生しないよう注意してください」と呼びかけています。
他にも、サムスン電子の会長や、韓国大統領候補の陣営などをかたるドタキャンも多発しているということです。韓国『消費者院』によると、ドタキャンに関連する被害救済の受付件数が過去3年間で5倍に急増しています。また、『韓国外食業中央会』の実態調査によると、直近1年間で、外食自営業者の10人中8人がドタキャン被害に遭っているということです。
Q.日本での詐欺と同じ手口ですが、どう思いますか?
(佐々木氏)
「この手口は、これまでの特殊詐欺の手口と一緒なんです。SNSに誘導するというマニュアルを持っている掛け子グループが、海外から行なっているという可能性は十分にあると思います」
(「情報ライブミヤネ屋」2025年7月8日放送)


