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【独自解説】金正恩総書記に“健康不安説”浮上!?アルコール依存・ニコチン依存・皮膚炎…「“病気による自然死”願う希望的観測か」専門家が解説
2023年6月10日 UP
金総書記に“健康不安説”浮上!?
5月31日、韓国の情報機関が金正恩総書記の“健康不安説”を公表しました。目にクッキリとクマができて、明らかに疲れた様子が見られるというのです。また、AIで分析した結果、体重は140kg半ばと推定されたといいます。いま金総書記の身体に一体何が起きているのか?これから北朝鮮はどうなるのか?コリアレポート編集長・辺真一氏が解説します。
”健康不安説”は「北朝鮮に変化を求める願望」
北朝鮮の狙いは、軍事・経済の両輪での達成、そして金一族の悲願は「祖国統一」すなわち朝鮮戦争の勝利と言われています。しかし、辺真一氏によると、本音は「金一族体制の維持と安全の担保」だといいます。
Q.祖国の統一より金一族体制の安全が大事なのでしょうか?
(コリアリポート編集長 辺真一氏)
「一言で言うと、東ドイツの二の舞は避けたいということです。東ドイツは経済的に西ドイツに吸収されて国家が消滅してしまいましたが、それが北朝鮮にとっては悪夢なのです。実際に南北の経済力を比べると、韓国は世界第9位の経済大国にのし上がりましたが、北朝鮮は下から数えた方が早いような状態で、国力が段違いです。このままだと飲み込まれてしまうのではないかという懸念があって、今は統一より体制維持の方に力を入れています」
そんな中、韓国情報機関が金正恩総書記の異変の数々を指摘しました。まずは、不眠症ではないかという指摘、2つ目はアルコール依存ではないかということ、3つ目はニコチン依存、4つ目は皮膚炎、さらに5つ目は推定140kg台という激太りです。こうしたことが重なって、健康不安説が再燃しているのです。体重に関しては、2010年は90kgとされていたのが、2019年には推定130kgになっています。2020年には20kgの減量に成功していたのですが、2023年5月には推定140kg超と報道されています。
Q.韓国情報院は、AIなどでいろいろ分析しているのですか?
(辺氏)
「AIだけではなく、いろいろな手法を使っています。例えば金総書記のシワが何本で、ホクロやシミが何個あるかというようなことで、影武者を使っているかどうかなど識別ができます」
Q.皮膚炎などいろんな体調不良の情報が出てきていますね
(辺氏)
「金正恩総書記が就任してから11年の間に、韓国から金総書記の健康不安説が7回出ています。その理由は、肥満とヘビースモーキングです。そして、金総書記の動きが1か月以上伝えられないとなると、毎年のように健康不安説が持ち上がります」
Q.ロシアのプーチン大統領の不可解な行動の理由を、健康不安に求める報道もあるのですが、北朝鮮の場合はどうなのでしょうか?
(辺氏)
「北朝鮮の場合は若干違います。北朝鮮でほとんど変化が起きない、改革開放もないということはクーデターも起きない、デモ1つ起きないという中で、『北朝鮮に変わってほしい』という思いから生まれる願望が、金総書記の“病気による自然死”なのです。希望的観測で、この手の情報に走ってしまう傾向にあるのです」
Q.しかし韓国も、急に政権が変わったら困るのでは?
(辺氏)
「実際に金総書記に万一のことがあった場合、後継者に妹や娘の名前が挙がっていますが、次は軍部が権力を掌握するということが起こり得ます。そうなると、朝鮮半島の軍事的緊張が高まるということで、金正恩体制の長期安定も困るけれど、急死されても困るという矛盾があります」
軍にも届かない食糧「今後は脱北者も増える」
一方北朝鮮の経済状況ですが、2020年に発表された北朝鮮の経済政策「新5か年計画目標」では、経済成長率が年平均+7%などとなっていました。しかし、韓国の推定では2020年は-4.5%、2021年は-0.1%などとなっていて、辺氏は「成長率プラス自体が、ほぼ不可能な設定」と話しています。
頼みの中国は、“ゼロコロナ政策”などもあり、2019年~2020年にかけて貿易額は急減していました。しかし、2023年の1~3月期で輸出・輸入とも4億ドル以上と、少しずつ戻ってきています。辺氏によると「米の輸入も増えてはいるが、国民にはなかなか届かない」ということです。食糧階級のピラミッドによって一般国民、特に地方の隅々まで食糧がいきわたるのには、相当時間がかかるといいます。
Q.軍事パレードでも太った軍人が見られないということは、軍の食糧も十分ではないということでしょうか?
(辺氏)
「そうです。それが北朝鮮にとっての死活問題となっています。金正恩総書記も『ご飯を食べる者は農村に行け』や『一粒残さず収穫しろ』というような言葉を出しています。実際に北朝鮮では“献米運動”といって『お米を寄付する』というものがあります。無いものを寄付するという大変な話なのですが、それだけ食糧事情が芳しくないということです」
Q.今日明日食べるものが必要な状況だと、体制を変えようとする元気もない状態ということでしょうか?
(辺氏)
「金正恩総書記が2012年に登場したときに『これ以上ひもじい思いをさせない』と言ったことを、1日も早く守って欲しいということだと思います。おそらくこれから中朝の国境が解放されると、脱北者の数も増えてくると思います。コロナ前は約1000人でした。今は60人くらいですが、今後はもっと増えると思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年6月8日放送)


