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新たなオーバーツーリズム対策

【異変】観光客は村の人口の“1400倍”!?世界遺産“白川郷”が直面するオーバーツーリズムと住民の暮らしを守るための新たなルールとは

 合掌造りの里として有名な岐阜県の白川郷では、村の人口の1400倍もの観光客が押し寄せているといい、大混雑やゴミ問題などで、住民たちの間には危機感が広がっているといいます。村の人口減少も進み、観光業と住民の暮らしの両立に課題は山積。そんな中で、白川村が打ち出した新たなオーバーツーリズム対策とは。

■白川郷ライトアップでさらに混雑予想…新たなルールを導入

白川郷でライトアップが開始

 2026年1月12日、岐阜県白川郷でライトアップが始まり、冬の観光シーズンが到来しました。雪景色に浮かび上がる白川郷32棟の合掌造りに、世界中から訪れた人たちが、幻想的な世界遺産の風景に浸りました。

ライトアップには大変な作業が…

 実は、合掌造りを照らす108基のライトのうち、常設されているのは51基だけです。残りの57基は、私有地などへの設置になるため、ライトアップ当日に運び出して設置し、夜中には撤収しなければなりません。白川郷ライトアップは、地元住民たちの大変な準備があってこそ、初めて成り立つイベントなのです。

白川郷ライトアップ委員会・井高篤史さん

(白川郷ライトアップ委員会・井高篤史さん)
「白川村としては高齢化もありますから、やはり高齢の方々が、重い機材をセッティングするというのも、今後、どういうふうにしていくのか対策を練らないといけない」

新たなルールを導入

 2026年の白川郷のライトアップは、1月12日(月・祝)・18日(日)・25日(日)と、2月1日(日)の合計4回で、日曜日の開催とあって、海外からも大勢の観光客が訪れるといいます。白川村は混雑緩和のために、新たなルールを導入しました。

 1つ目は“完全予約制”です。マイカーで訪れる訪問客は、事前に指定の駐車場を予約・確保しなければ、イベントに参加することはできません。

“入場チケット制”

 さらに、2つ目は“入場チケット制”です。予約制にしても、車やバスの路上駐車など、迷惑行為が後を絶たなかったため、会場4か所にゲートを設置。入場チケットを持っていない観光客は、集落に入れないルールも追加しました。

白川村観光振興課・小関弘翔係長

(白川村観光振興課・小関弘翔係長)
「世界遺産に認定された大きな要因としては、そこに人が住んでいるというところになるので、やはり住んでいる方たちにも、満足していただきながら、今後も住んでいきたいと思ってもらえる村づくりは、観光としてもきちっと意識してやっていかなきゃいけないことだと思っています」

白川村の人口の1400倍

 白川郷は1995年、世界遺産に登録されました。ユネスコ世界遺産ホームページによると、登録された理由は、『長い間、“秘境の地”とされてきた集落は、それ自体が重要な歴史的物証である』ということです。

 白川郷人気は、世界に広がり、登録された1995年、77万人だった観光客は、2019年には215万人に急増。2021年はコロナで一度は落ち込みますが、2024年には再び、208万人にまで回復しました。その数、白川村の人口1455人(2026年1月1日現在)の1400倍です。(白川郷ホームページより)

■ゴミ問題に人口減少…白川郷の伝統を守るためには課題が山積

自然環境を守るための三原則

 世界の人々が称賛する 日本の原風景が今も残っているのは、一体なぜなのでしょうか?1975年代の白川郷は、冬には文字どおり陸の孤島となり、観光客など全く来ない、まさに秘境でした。そんな中、白川郷の人たちは、驚きの決断を下します。

(白川郷荻町集落の自然環境を守る住民憲章)
「美しい自然環境を守るため、『売らない』『貸さない』『こわさない』の三原則を守ろう」

あえて“変わらない”を選んだ

 1971年、世は高度経済成長期の真っただ中でした。そんな中にあって、白川郷はあえて“変わらない”ことに集落の未来を見いだしたのです。

(白川郷荻町集落の自然環境を守る住民憲章)
「合掌家屋が重要な文化財であることを認識し、生活の不便をしのぎ、保存に努めよう」

 住民憲章の制定から55年。今、白川郷は伝統を守りながら暮らす人々の生活の場が、そのまま日本有数の観光地というオンリーワンの存在となったのです。

村のあちこちにゴミが…

 しかし、観光客の増加とゴミのポイ捨ては切っても切れない問題です。これまでもトイレの中にゴミを放置、壊れた傘、マスクや弁当のふたなど、ありとあらゆるゴミが村のあちこちに捨てられてきました。

観光収入が生活の糧

 日々の平穏な生活とつないできた地域の伝統を守る生き方。一方では、観光収入が生活の糧となっているという現実を、住民はどう捉えているのでしょうか?

「ちょっと厳しい」

「ちょっと厳しい」

Q.観光客受け入れに関するキャパシティーの問題は、どう見ていますか?
(住民)
「やっぱりちょっと厳しいかな。おもてなしの心で、接したいのに、なかなかそれができない」

(住民)
「今後、若い方が白川に帰って来なくなると、だんだん自分も年を取っていきますので、これもまた大きな課題になっていくのかなと思っています」

白川村の人口は減り続けている

 白川村の人口は、どんどん減ってきていて、今後は1000人を切るとみられています。

教育アドバイザー・清水章弘氏

(教育アドバイザー・清水章弘氏)
「やはり何かしらのメリットがないといけないと思いますし、僕自身も、よく人口減少が進んでいる町や離島のお手伝いすることがあるんですが、“町全体を存続させていくにはどうしたらいいのか”というのを、学校教育の中に組み込んでいったほうが良いと思います」

■白川村が掲げる『レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)』とは

村営駐車場の料金を値上げ

 2025年10月から、村営駐車場の料金を値上げしました。大型車、マイクロバスは3000円から1万円に。普通車・軽自動車は1000円から2000円に。二輪車・原付は200円から500円になりました。交通誘導員を配置し、除雪作業などに活用するということです。

『レスポンシブル・ツーリズム』

 白川村は、『レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)』ということで、観光客が住民の暮らしを尊重しながら、持続可能な観光に参加するという考え方です。

①指定の駐車場を利用 ②火の取り扱いは厳禁 ③ゴミと思い出は持ち帰る ④夜の観光は受け入れていない ⑤ドローン撮影は禁止

元日本テレビ解説委員・近野宏明氏

Q.海外なら入った瞬間に入島税などを取る場所もありますよね?
(元日本テレビ解説委員・近野宏明氏)
「私もアメリカで国立公園にたくさん行きましたが、入る所でしっかりお金を取っています。場所によっては、入るときに『この中では何をやってはいけない』『こういうことに気を付けてください』というガイダンスを受けてから入ることもありましたから、そうやって入ってくる人たちを数的にコントロールすることもできます」

大型バス訪問を事前予約制に

 そして、2026年度へ向けて、大型バスが村の駐車場を利用する場合、事前予約制の導入を検討中だということです。村の担当者は「周辺の渋滞緩和と、多すぎる観光客数の制限に効果があれば」と話しています。

(「情報ライブミヤネ屋」2026年1月16日放送)

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