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【独自解説】「正直者がバカを見る時代ですね」収集した個人情報も悪用か NTTファイナンス名乗る架空料金請求詐欺が急増中 一体なぜ?専門家が解説
2023年9月14日 UP
後を絶たない、闇バイトによる犯罪。中でもいま増えているのが、架空料金を請求する詐欺事件です。警察は、実際の音声を公開するなど注意を呼び掛けています。いま、なぜこの架空料金請求詐欺が増えているのか?“闇名簿”に詳しい犯罪ジャーナリストの石原行雄氏が解説します。
ある日、ある女性の携帯電話に非通知の着信があり、出てみると「NTTファイナンス」を語る音声ガイダンスが流れました。その指示に従うと「NTTファイナンスの職員」を名乗る男に繋がり、「名前」「携帯電話の番号」などの個人情報を伝えると「昨年の4月15日に利用されている携帯電話より有料情報サイト○○○にご登録されていて、ご利用料金が長期未納です」と伝えられたといいます。そして男は「現在、民事裁判の手続きが進んでいて早急に対応が必要」と話しました。
女性のスマホは半年前に契約したものだったため、去年サイトに登録したとすると「矛盾が生じる」として、「身の覚えがない」と指摘すると、「お客様、ウソを仰るのはよくないですよ。記録が残っています」などと男の態度が一転。さらに「お客様がそのような対応を取るのであれば、こちらはお客様のお名前と生年月日を頂戴できただけで十分です。個人情報のほう全て悪用させていただきます。正直者がバカを見る時代ですね。これが仕事ですので失礼いたします」と捨て台詞を言われたといいます。
Q.番組スタッフの携帯電話にもかかってきています。最近、特に増えているのでしょうか?
(ジャーナリスト 石原行雄氏)
「特殊詐欺などの反社の犯罪グループは、ニュースや世間の情勢を非常によくみています。例えば、『今は強盗事件の方に世間が集中して気持ちを奪われている』と感じると、『じゃあ高額の架空料金請求詐欺が穴なんじゃないかな』と考えて、件数が増えているのだと思います」
全国の架空料金請求詐欺の件数は、2022年1年間で2922件だったものが、2023年は7月までで2929件と、すでに2022年を上回っています。被害額も7月末までで79億円に達しています。
今回この女性は「音声ガイダンスの選択肢が『1』しかなかった」「携帯キャリアも『NTTドコモ』ではなく、『NTTファイナンス』との間に関係がなかった」ことなどから詐欺電話を疑って録音していたといいます。
Q.犯人の話し方などもかなり自然だと聞きますが、受け答えのマニュアルなどもあるのでしょうか?
(石原氏)
「“かけ子”グループは、組織の上から与えられたマニュアルに沿って電話をかけています。しかも1日に何十軒と言うノルマを課せられて、狭い部屋に閉じ込められひたすら電話をかけ続けているケースが多いので、そうしているうちに電話対応のスキルも上がって行くということもあります」
Q.氏名と生年月日が相手に渡ってしまったということで、悪用される恐れはあるのでしょうか?
(石原氏)
「今回の電話に関しては、負け惜しみの憎まれ口のようなところが大きいと思います。しかし、以前私が取材した別の個人情報関連の犯罪では、本名・生年月日・住所・自動車のナンバー・電話番号のうち、2つがあって本気で探れば、個人情報は丸裸にできるということでした。そういう意味ではここで収集された情報がまた別の闇名簿という形でほかの犯罪に悪用される恐れは十分にあります」
NTTファイナンスは「自動音声ガイダンスを用いて通知することはない・電子マネーによる支払い要求はない・ショートメッセージによる案内はしていない・自宅を訪問し集金することはない」と注意喚起をしています。
(石原氏)
「こういうご時世ですので、電話は常に留守番電話にして『知らない番号や番号非通知の電話には出ない』というくらいのことをしても良いかと思います」
(「情報ライブミヤネ屋」2023年9月13日放送)


