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北朝鮮・金正恩総書記

【独自解説】「アメリカと日本、大韓民国のごろつきのボスらが集まった」“核戦力の配備”の本格化方針示した金正恩総書記、後継者は娘のジュエ氏に内定!?

 北朝鮮の金正恩総書記が、ジュエ氏とみられる娘とともに海軍司令部を視察。演説を行い“核戦力の配備”を本格化する方針を示しました。一方、平壌郊外で爆発物テロが発生したとの報道が出るとともに、金正恩総書記の警備体制強化が確認されるなど、国内は緊迫した状態だといいます。今、北朝鮮で何が起こっているのでしょうか?「コリア・レポート」編集長の辺真一氏が解説します。

後継者に娘のジュエ氏内定か「海軍司令官もジュエ氏に敬礼をして握手」

ジュエ氏とみられる娘を連れて海軍の司令部を視察

 8月27日、金正恩総書記がジュエ氏とみられる娘を連れて海軍の司令部を視察し、演説を行いました。ジュエ氏はこれまで金総書記の視察に15回同行していますが、うち14回が軍事活動関連となっています。今回の演説で金総書記は、8月に行われた日米韓の首脳会談を巡り、先頃、「アメリカと日本、大韓民国のごろつきのボスらが集まった。敵対勢力の無謀な対決活動によって、朝鮮半島は最も不安定な核戦争危険水域と化した」と語りました。また、「軍の部隊に新しい武装手段が引き渡される」などと、“核戦力の配備”の本格化方針を示しました。なお、金総書記が韓国を「大韓民国」と呼ぶのは初めてのことだということです。

「コリア・レポート」編集長 辺真一氏

Q.ジュエ氏を軍関係の施設に同行させるのは、後継者だからでしょうか?
(「コリア・レポート」編集長 辺真一氏)
「ジュエ氏は5月16日の偵察衛星準備委員会以来の登場です。デビューは2022年11月の大陸間弾道ミサイル火星17の発射です。今までは、『北朝鮮が偵察衛星やICBMの開発を続けるのは、全て子どもたちの未来のためだ』ということの象徴として、ジュエ氏を引っ張り出してきたのだという見方が有力でした。しかし今回、特に節目でもないのに同行させて、海軍司令官もジュエ氏に敬礼をして握手しています。これを見ると、後継者に内定しているのではないかという印象を持ちます」

北朝鮮で軍高官を狙った爆博物テロが発生⁉「金総書記の警護が強化されている」

平壌郊外で爆発物テロ?

 8月18日、韓国の「東亜日報」は、「北朝鮮の平壌郊外で1~2か月前に爆発物テロがあった」と報じました。複数の現地住民の話として「轟音と人々の悲鳴が聞こえ、死傷者も出たようだ」と伝えています。また、北朝鮮に詳しい情報筋によると「軍高官を狙ったテロの可能性も排除しておらず、金正恩総書記の警護を強化している」ということです。一方、韓国の国家情報院は「爆弾テロ発生は把握されていないが、動きを追っている」と話しています。北朝鮮では2004年に龍川(ヨンチョン)駅で、死者約200人を数える列車爆発事故があり、そのとき中国は、「金正日総書記(当時)の暗殺を謀ったものだと伝えました。

Q.爆破テロに関して、東亜日報と国家情報院で発表の内容が違いますが、実際のところはどうなんですか?
(辺氏)
「爆破テロの目標や目的が分からない段階では何とも言えませんが、実際に金総書記の警護が強化されているのは事実なようです。軍事パレードで先頭に立って、金総書記を護衛する党中央委員会の護衛部隊、さらに国務委員長の護衛部隊、続いて軍の護衛総局が行進するのは、『金総書記を守るぞ』ということの現れだと思います。また、米韓合同軍事演習では特殊部隊による北朝鮮の最高司令部を狙った“斬首作戦”の演習も行われているので、内にも外にも警戒をしているのは間違いないと思います」

「ここ10年で一番治安が悪い」凶悪犯罪や餓死者が急増、混乱する国内

凶悪犯罪の大型化・組織化が進んでいる?

 韓国の国家情報院によりますと、北朝鮮の凶悪犯罪は、去年の3倍に急増していて、物資の強奪を狙った、手製爆弾の投げ込みなど大型化、組織化しているとのことです。「アジアプレス」の石丸次郎氏によると、「人々は“コロナ禍”の内部統制、経済統制により収入減が絶たれ、非常に厳しい。3~4月ごろから強盗が増加、ここ10年で一番治安が悪い」ということです。

Q.北朝鮮にも犯罪組織があるのですか?
(辺氏)
「組織的犯罪はあります。6月に平壌で開かれた中央委員総会での議題の一つが『検閲・規律を徹底させる』というものだということが、平壌市内を含めて治安が乱れているということの証ではないかと思います」

餓死者が例年の2倍以上

 北朝鮮の食糧難が深刻化していて、餓死者が例年の2倍以上、自殺者が去年の4割増ということです。石丸氏によると「北朝鮮にとって4月は秋の収穫を消費し尽くす時期、またコロナで現金収入がなく4~6月は人道危機的な状況になった。軍の兵士も多くは栄養失調状態」だということです。また、北朝鮮北部に住む人は「3軒に1軒ほどが飢えて、栄養失調であす死んでもおかしくない。飢え死にしても『病気』として診断書を出される」「盗みや強盗をしてまで食べて生き抜くと考えるので、最近は人が怖いです」と語ったということです。

Q.比較的裕福な人が多い平壌でも「食べ物がない」「飢え死にした」という話が出ているようですが?
(辺氏)
「北朝鮮の“米どころ”は、38度線に近い開城(ケソン)という所なのですが、ここで餓死者が出たということに驚きました。普段から困窮・貧困・食料不足が慢性的に続いてきたところに、“コロナ禍”でそれらが輪をかけて酷くなったことが、犯罪が増えた原因じゃないかと思います。内なる不満を外に向けるということで、米韓合同軍事演習に対する反発や、偵察衛星を成功させて不満を解消させるというような考えが、金総書記を中心とした北朝鮮の指導部にあると思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年8月29日放送)

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