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　8月10日、第2次岸田改造内閣の新閣僚が発表されました。今回“統一教会”に関係したとされる7人の閣僚が交代し、新たに9人が初入閣となりましたが、この顔ぶれが意味するところは何なのでしょう？政治ジャーナリストの田崎史郎氏が解説します。

Q.第2次岸田改造内閣が発足しましたが、全体の印象はどう感じましたか？
（田崎史郎氏）
「刷新した、変わったという感じを与えない内閣です。去年岸田内閣ができたときは、目の前に“総選挙”があったので、初入閣や当選回数が若い人などをどんどん起用して、清新なイメージを与えました」

（田崎氏）
「それに比べて今回は、『仕事をしっかりやっていく人たちを揃えよう』というのが改造の意図でして、初入閣の9人というのは、これまでと比べて少ないんです。再入閣も、前回の4人に対して5人です。そういう意味で堅実な内閣なのですが、正直パッとしないなと感じます」

Q.再入閣の人を見ると、大事なところは抑えにきたのかなと見えますが？
（田崎氏）
「新しく防衛大臣になった浜田靖一氏は、ハマコー氏（浜田幸一氏）の息子です。“防衛族のドン”と言われていて、防衛政策に精通しています。今年後半の大きな政治課題である防衛費の増額で、『どの分野を増やすのか？その予算は？財源は？』などといったことを解決する担い手になります」

（田崎氏）
「加藤勝信厚労相は3回目です。厚労相が務まる人は実は少ないので、彼は厚労行政のプロとして起用されたということです。加藤氏は茂木派ですが、茂木派の閣僚推薦リストには入っていませんでした。それを岸田首相が『加藤氏に任せたい』と一本釣りをした形です」

（田崎氏）
「また、経産相の西村康稔さんは安倍派です。旧通産省出身で、今の経産省の課題を解決するのに、実力とともにふさわしい人です」

Q.今回は岸田カラーを出すというより、派閥の力が働いたのでしょうか？
（田崎氏）
「堅実なしっかりとした仕事をしていくのが、岸田さんのカラーだと思います。派閥のバランスが取れているかというと、茂木派のポストが、衆議院で3あったのが2に減らされています。一方麻生派が、衆議院で3だったのが4に増えていますので、派閥均衡になっているかというと少々疑問です」

Q.河野太郎氏と高市早苗氏を内閣に入れた意味は何でしょうか？
（田崎氏）
「デジタル相の河野氏については麻生派ですが、麻生派の推薦リストには入っていなかったんです。岸田首相は『デジタルを推進したいんだ！』ということで入閣させました」

（田崎氏）
「経済安保担当相の高市氏は、無派閥です。しかし、政調会長もやっていて保守派の支持も厚く、亡くなった安倍元首相のバックアップもあったということで起用しました」

Q.河野太郎氏と高市早苗氏を内閣に取り込むということは、次の総裁選のときに二人が動けなくなるという側面もあるのではないですか？
（田崎氏）
「次の総裁選は2024年なんです。そこまで留任していればそういうこともいえますが、今の段階では、必要に応じて起用したんだと思います」

Q.自民党の政調会長で自民党執行部に戻った萩生田光一氏ですが、悪い人事ではないと思うのですが…
（田崎氏）
「むしろ非常にいい人事です。財務省が言うには『財務について説明するのは、各大臣に次いで与党の政調会長だ』ということです。各省庁も、自民党の了解を取らないと政策は進まないので、政調会長のところに来るんです。また、いろんな委員会の実施権も握っています。そういう意味で非常に重いポストで、萩生田氏が力を付けていくにはいいポストだと思います。また、亡くなった安倍元首相が『自分の次は萩生田だ』と言っていたんです。岸田首相も聞いていますので、萩生田氏が成長する機会を与えたいということと、今自民党の中で『安倍さんはこう言っていたからこうしよう』と、いろいろ安倍元首相の名を借りて物事が行われています。しかし萩生田氏が『安倍元首相の本当の考えはこうだ』と言えば『萩生田氏がそう言うならそうなんだろうな…』となるんです」

Q.今回、“統一教会”に関係したとされる7閣僚が交代しましたが、どう感じましたか？
（田崎氏）
「政治家なので、誘いがあれば行ってしまう気持ちも分からなくはないんですが、“統一教会”は被害が出ている団体なので、被害者の気持ちを考えて行動しないといけないと思います」


（情報ライブミヤネ屋　2022年8月10日放送）