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中継 読売テレビ・西山耕平ディレクター(静岡・焼津漁港)

【独自リポート】静岡・焼津港「冷凍カツオ窃盗事件」“怒号”飛び交う説明会、紛糾の中ささやかれる「年内に新たな告発の可能性」

静岡・焼津で冷凍カツオの窃盗事件

 静岡・焼津(やいづ)港で行われていた“冷凍カツオ”の窃盗。漁協の調査によると、少なくとも20年前から“抜き取り行為”が行われていた事が分かりました。怒りをにじませる漁業関係者に対して、焼津漁協が説明会を行いました。現地・焼津漁港から読売テレビの西山耕平ディレクターが最新情報を伝えます。

(読売テレビ・西山耕平ディレクター)
「焼津漁港に来ています。この港の中にある漁協の建物、2階の事務所で漁業関係者らへの説明会が午後1時から始まりました。きのう(12月6日)は、海外の巻き網漁船の経営者らへの説明というのが行われ、きょう(12月7日)は、カツオの一本釣り漁船の経営者らに説明がなされているということです。先ほど、確認をしたら14名の参加がありました。きのうは報道陣が2階の溜まり場のところまで行けて、怒号の様な声が飛び交っていたということですが、きょうは一転して、建物の外に出るように言われてしまいました。ですので、その関係者らの怒りの声、生の声というのはこちらには聞こえてこないのですけれども、経営者の方に話を伺うと、11月末に出した漁協による調査報告書を読んでみても『全てが書かれているわけではない、もっと詳しく説明してほしい』といった声が大半でした。」

漁業関係者たちから怒りの声

関係者5人が逮捕・起訴

(漁業関係者)「問屋じゃないんだよ、船主なんだよ、盗まれているのは!」
(漁業関係者)「不手際じゃないんだよ、故意でやっているんだからさ!」

 “盗まれた”と怒りの声を上げているのは、静岡県焼津漁港の漁業関係者たち…その怒りの理由は、漁師が血と汗を流して水揚げしたカツオが、抜き取られていたからでした。しかも、逮捕・起訴されたのは、焼津漁協職員、水産加工会社の社長と常務、運送会社の運転手2人の計5人。あろうことか、漁協関係者による犯行でした。抜き取られたカツオの量は、この3年間で、4.4トン、時価約104万円に上ります。

(漁師)「やりきれないよね。苦労して獲ってきているのに横流しされたんでしょ。」

 やりきれない思いを口にする漁師たち…1日、500トン以上の魚が水揚げされる中、窃盗の手口は実に巧妙なものでした。

事件の構図

 本来、水揚げされたカツオはセリにかけられた後、トラックに積み込まれ、計量所で重さを計り、購入した会社へ運ばれていくのですが、逮捕された漁協の職員の男は、カツオの計量や配送の指揮を担当していて、犯行の際、共犯者であるドライバーにカツオの配送を指示。ドライバーは受け取ったカツオの一部を計量所に通さず、そのまま共犯者の水産加工会社の役員の名義に変更され、指定の冷凍庫へ配送されていたといいます。被害にあった水産加工会社によると、カツオは“鮮度の良いもの”を中心に狙われていたといいます。

“抜き取り”は20年前から―「これは氷山の一角」

11月29日 焼津漁協が謝罪

 11月29日、“身内の犯行”に謝罪会見を行った焼津漁協は調査委員会を設置し、職員などから聞き取りを実施、静岡県に調査報告書を提出しました。調査委員会のメンバーは、事件と関連性が低い部署の漁協職員4人、弁護士1人、市役所職員1人で、調査方法は、焼津漁協に所属する全職員116人と、退職した8人への聴取でした。

 報告書によると、起訴された焼津漁協の職員・吉田稔被告らは、冷凍カツオの窃盗を2018年頃から繰り返し行っていたということです。さらに、このような“カツオの抜き取り”が、少なくとも20年前から習慣的に行われ、これまで10件の不正行為が確認されましたが、“抜き取り行為”に関与した人数・被害総額については、調査困難として明らかにしませんでした。関与した職員は対価として、水産加工会社などから一度に数万円の現金を受け取り、そのお金が団体旅行や飲み会の費用に充てられるケースもあったといいます。

 ただ、調査報告書では事件に関わったとされる職員や会社の名前は明らかにされず、“捜査機関からの調整”といった理由で非公表の部分が多く、更なる逮捕者も想定されるということです。

Q.漁協の調査報告書によると、「“抜き取り行為”は少なくとも20年前から、10件を確認」となっていますが、本当に10件で終わっているのかと、普通は思いますよね?
(西山耕平ディレクター)
「まさに、その通りなんです。これに関しては漁協も、『真摯にこれから情報開示に努めるので、何かあったらその際つぶさに報告はしたい』と言っていますけれども、こちらに来て情報に接しますと、どうやら年内に、また新たな告発がされる可能性があると耳にしました。ですので、もうこれは氷山の一角じゃないかというのが、経営者の大半の意見ですね。」

組織全体での関与は否定

組織的関与は否定

 20年前から横行していた“カツオの抜き取り”。しかし漁協側は、“組織全体での関与”を否定しました。調査委員会メンバーの相川洋介弁護士は、「複数人が関与していたことは事実です。組織的・系統的にやっていたかどうかについては、調査の聞き取りの中では認められないところで、個別にやっている感覚のほうが強い。それを他の“セリ人”や“帳面係”などが知らないかというと、そういう訳ではない。」と説明しています。

 組織だった犯行ではないというものの、一方でかなり昔から、漁協組合の社員旅行や年末年始の飲み会に費用が充てられていたケースもあるということです。“カツオの街”の信頼を揺るがす事態に焼津市長は、

(焼津市長)
「漁協は“水産都市焼津”ということの1つの機関として、大きな役割を果たしている。しっかりとこの問題を解決していただきたいという願いがある。」

漁業関係者への説明会では

 そんな中、12月6日に開催された、漁業関係者に向けて行われた説明会では、漁業関係者に向けて焼津漁協の幹部らが頭を下げ、謝罪しました。調査報告書の内容や再発防止の説明も行いましたが、漁業関係者からは怒りの声が飛び交いました。

(漁業関係者)
「盗っ人に管理はできないって言ってるの、こんなルール作ったって。俺は何回も言ってきたんだから、盗っ人の運送屋が盗んでいたら何にも管理なんか出来っこねぇじゃん!」

Q. 説明会で怒号が飛び交うのは当然ですよね?完全に盗んでいるわけですから
(西山耕平ディレクター)
「おっしゃる通りです。盗まれたお金が、関係者らの飲み会や旅行に充てられていたという事実があるわけで、これは漁協も認めていますので、経営者らからしてみますと『組織ぐるみだったんじゃないか』と疑う声は当然だと思います。」

 説明会を終え、参加した漁業関係者は…

(漁業関係者)
「問題は深いので、出席した人は納得していないような説明だったと思います。とにかく、新たに調査委員会などを立ち上げてもらって、やってもらわないと。まだまだ時間がかかるんじゃないかなと思っています。」

 そして12月7日、午後1時から始まった2回目の説明会。集まった漁業関係者は…

(説明会参加者)
「船員が命がけで取ってきた魚をそういった風に扱われたことに関して、遺憾の意を示さざるをえないと思います。どういった経緯で起こったのか、詳しいところを聴きたいと思っています。」

過去にもあった“カツオ抜き取り行為”の告発

過去にもあった“抜き取り行為“

 実は2012年にも、“カツオ抜き取り行為”に関して、人物名を特定した告発が行われていました。当時は、事件の有無の確認は行われましたが、名指しされた人物が全面的に否定したため、それ以上の追及は行われなかったということです。

 焼津漁港には、長年ささやかれてきた“噂”があります。「“焼津で水揚げすると量が少ない”んだよね。九州とかで水揚げすると、こんなに水揚げできるんだって、昔からだよ。10年前からみんな言っていた」と地元の漁師が話してくれました。

再発防止に向けて

 焼津漁協は再発防止に向けて、2021年4月までは、トラックスケールかパレットのどちらかのみで計量していましたが、2021年5月以降は、トラックスケールの通過を義務化し、出入り口には警備員を配備、トラックの動線を整備しました。今後は、職員の倫理意識の向上、人員配置や人事体制の見直し、風通しの良い組織を作るということです。

 日本有数の漁港で起きた前代未聞の事件。本当に“組織的な関与”はなかったのでしょうか。“焼津ブランド”の信頼性が、消費者から問われています。

(情報ライブミヤネ屋 2021年12月7日放送)

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