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山火事で壊滅したハワイ・マウイ島

【独自取材】マウイ島が山火事で壊滅的被害 「フラッシュ干ばつ」発生か?106人死亡・1300人と連絡取れず…被災者が直面する「水質悪化」 現地の今は?必要な支援は?

 ハワイ・マウイ島の山火事で、106人の死亡が確認され、1300人と連絡が取れていません(日本時間8月16日午後2時50分時点)。現地の様子は?必要な支援は?現地を取材するNNNマウイ島カフルイ・岡田光弘記者から最新情報です。

いまだ1300人と連絡取れず…現地の様子は?求める支援は?

NNNマウイ島カフルイ・岡田光弘記者

(NNNマウイ島カフルイ・岡田光弘記者)
「私は今、カフルイ空港の近くにある避難所にいます。ボランティアスタッフの方がたくさん残っていて、発送される前の支援物資が置かれています」

Q.避難所の様子は、いかがでしょうか?
(岡田記者)
「実は、先日まで100人近くの避難者がいたのですが、今はいません。皆さん、州政府が用意したラハイナのホテルに移動しました。ただ、ラハイナを含む被災地は、水質の悪化や停電の続いている場所が多いことから、ここで食事を作って、ここから運んでいます。支援物資の集積所としても、活動を続けていくということです」

Q.『こんな支援物資が欲しい』という声はありますか?
(岡田記者)
「15日に取材したマウイ島内陸部のクラでは、『水が使えない状況なので、水が欲しい』という声がありました。他の地域の方は、カセットボンベやカセットコンロといった物が欲しいと言っていました」

ハワイ・マウイ島の山火事概要

 ハワイ州のジョシュ・グリーン知事によると、「530℃を超える炎が、時速約130kmで駆け抜けた」といいます。1秒間に35m以上という速さで火が広がり、「ハワイ州で史上最悪の自然災害となる恐れがある」といわれる今回の山火事で、106人が死亡、1300人と連絡が取れていません (日本時間8月16日午後2時50分時点)。

Q.「1300人と連絡が取れていない」とは、安否がわかっていないということでしょうか?
(岡田記者)
「1300人全員が行方不明というわけではなく、“当局が、まだ連絡を取れていない”という意味です。スマートフォンをなくした人や、通信が断たれた場所にいる人もたくさんいるので、それをそのまま“行方不明”とは捉えないようにと、当局は注意を呼びかけています」

被害が広がった原因は?悪条件が重なったか

訓練では鳴っていたサイレンが作動せず

 ここまでの被害拡大を招いた一因は、「火災発生時に警戒を呼びかけるサイレンが鳴らなかったからだ」と、住民から批判の声が上がっています。サイレンが作動した形跡はなく、米メディアの取材に対しグリーン知事は、「早期にサイレンを鳴らすためにできたことはなかったか、調べている」とし、ハワイ州司法長官も「今回の火災発生直後の意思決定が適切だったかどうか、包括的に検証する」と述べています。

Q.本来なら、災害時にサイレンは作動するのでしょうか?
(岡田記者)
「ラハイナに住んでいる人に話を聞くと、『災害訓練のときにはサイレンが鳴っていたので、なぜ今回の山火事では鳴らなかったのか?』という声が多く聞かれます。大人は、これまでの経験があるのでサイレンなしでも判断できたかもしれませんが、子どもが一人でいた場合、サイレンを聞くのと聞かないのでは大きく違ったのではないかと言う人もいました」

甚大な被害となった理由は「強風」と「高温・乾燥」

 これに加え、甚大な被害となった理由は2つあります。1つは、「強風」です。山火事発生前にハリケーンが通過していて、強風で火があおられ、被害が広がったのではないかといわれています。そして、「高温・乾燥」です。2023年は、異常な高温に加え降水量が少なく、大気や土壌が乾燥していて、島の約8割が“干ばつ状態”でした。バージニア大学の専門家は、「8月1日から8日に、異常な乾燥状態が、この地域に急拡大した。『フラッシュ干ばつ』が発生したようだ」と話しています。「フラッシュ干ばつ」とは、降水量が少なく、急激に乾燥が進む現象のことで、火災が起きやすい状況だったのではないかという指摘もあります。

Q.こうした悪条件が重なったのですね。
(岡田記者)
「ラハイナの人たちが口にするのは、『まさか海沿いに住んでいる人の所まで山火事の火が及ぶなんてことは、これまで考えてもみなかったし、今回もそんなことは起こり得ないだろうと、皆が思っていた』と。ただ、実際に起きてしまいました」

住民らが電力会社を提訴…水質悪化など深刻な問題続く

住民が電力会社を提訴

 混乱が続く現地で、損害賠償を求める訴訟の動きが出ています。「ハリケーンでの強風で送電線が倒され、火災が発生したり、それを助長する恐れがあることを気象局が十分に警告していたにもかかわらず、電力を遮断しなかった」として、ラハイナの住民が損害賠償を求め、電力会社を提訴しました。

水質の悪化で「水が飲めない・使えない」

 また、被災者の今の生活にも深刻な問題が山積みで、問題視されているのが「水質の悪化」です。火災により水道システムが壊れ、水道水に人体に有害な物質が含まれている恐れがあり、地元当局は飲用・調理・洗濯などに使用しないよう呼びかけています。

Q.水質の悪化(水の汚染)は、かなり広い範囲にわたっているのですか?
(岡田記者)
「ラハイナはもちろんですが、内陸部のクラなど、山火事があった所では大体水質が悪化しています。水は出るのですが、人体に有害な物質を含んでいる恐れがあるので、シャワーを浴びられず、食器も洗えず、飲み水の確保に気を遣い、苦労されている方が多いです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年8月16日放送)

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