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【北朝鮮】「到底許せない犯罪的な行為」金総書記が大激怒!?進水式で駆逐艦が横転、異例の報道のウラ側 さらに“最強”部隊『暴風軍団』の最新映像とは―
2025年6月18日 UP
2025年5月、北朝鮮で駆逐艦が横転するという重大事故が発生しました。これに対し、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は激怒し、国内では異例の報道がされる事態に。朝鮮半島で巻き起こる異変のウラ側を『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が解説します。
■駆逐艦進水式での事故に金総書記が激怒、異例の報道も
2025年4月、平壌(ピョンヤン)近郊の港町、南保(ナンポ)では、金総書記が、新たに作られた新型駆逐艦の進水式に出席しました。巡航ミサイルや対空ミサイルなどの武装システムを備えた5000トン級の駆逐艦が、約400日余りで造船されたといいます。
(金正恩総書記)
「先進海洋強国を目指す道のりにおいて、重要な出発点となる新型の駆逐艦を目にし、実に感無量だ」
この時は満足げな笑みを浮かべ視察した金総書記でしたが―
2025年5月21日に行われた、同じ規模の駆逐艦の進水式で、進水の際に駆逐艦の一部が破損し横転するという重大事故が発生しました。事故後とみられる様子を捉えた衛星画像では、船体が横倒しになり、青いシートで覆われているのが確認できます。進水の過程で、未熟な指揮と操作の不注意により、台車の移動がなめらかに進まず横倒しになったとして、現在は修理中ということです。
これに対し、金総書記は「到底許せない深刻な重大事故で、犯罪的な行為だ。国家の尊厳と自尊心を一瞬にして落とした」と大激怒しています。また、2025年6月に行われる朝鮮労働党の重要会議で関係者の処遇を検討する考えを示しています。
そして、事故の翌日に、朝鮮中央テレビでは「駆逐艦の進水過程で厳重な事故が発生しました」と異例の報道がされました。2025年5月25日、造船所のカン・ジョンチョル技師長、船体総組立のハン・ギョンハク職場長、行政府のキム・ヨンハク支配人の3人を拘束したと実名報道しています。
さらに、同年5月26日には、党幹部である朝鮮労働党・軍需工業部のリ・ヒョンソン副部長を拘束したということです。
『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、事故を公表した理由について「国際社会が衛星写真などで動向を追跡しているため、隠ぺいは不可能と判断したのではないか」と分析しています。
(『コリア・レポート』編集長・辺真一氏)
「さらに西側の平壌・南保造船所で、4月に進水した式典のテープカットを見ると、ものすごく盛大に行われているんです。市民も総動員して行っているので、今回の東側での式典も、同じように市民を総動員して、華やかにセレモニーを行おうとしたところを、目前でこのようなミスがあったので、金総書記からすると恥をかかされたという思いではないでしょうか」
2025年5月22日付の『中央日報』によると、金総書記は、2021年に「経済・国防力発展5か年計画」というものを提唱していて、2025年が最後の年だといいます。韓国の専門家の分析によると、「国防分野の成果を促し、速度を強調するあまり、事故につながったのではないか」「金日成(キム・イルソン) 主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記と同等、または上回るための差別化した成果を求める余り、事故につながったのではないか」ということです。
Q.最近は金日成主席や金正日総書記の名前を出さなくなった印象がありますね
(辺氏)
「そうですね。北朝鮮側は全面的に金正恩総書記を持ち上げて、ある意味では神格化するという方向に動いていると思います。ですから、金日成主席や金正日総書記時代の業績は、すべて過去の業績で、これからやることは、全部“金正恩総書記の業績”という形で称えていくという方針に、明らかに変わったとみられます」
■“現代の戦争”への対応?北朝鮮最強の特殊部隊『暴風軍団』とは
2023年2月に、朝鮮中央テレビで軍の訓練の様子が報じられました。『暴風軍団』と呼ばれている特殊部隊で、『暴風軍団』の元兵士によると、北朝鮮軍で最も強い部隊だといいます。辺氏によると、任務の内容は『要人の暗殺や軍事施設の破壊』などだということです。
今、金総書記が掲げているのは、現代の戦争への対応を進めることで、2025年5月14日には『暴風軍団』を含む特殊部隊の最新映像が公開されました。横たわるハシゴを、まるで忍びのように走り抜け、至近距離での戦闘に備えて、攻撃や防御の戦術の形を猛特訓していました。
タイヤを用いる訓練では、重量のあるタイヤを持ち上げ、時には一発でくぐり抜ける訓練。衝撃に耐えるための、痛々しい訓練も…。石を用いる訓練では、兵士の背中に石を載せ、叩き割ったり、さらに、額に載せた石をツルハシで砕いたりと、様々な訓練内容が映っています。
訓練は肉体を強化するだけではなく、陸地での戦いを想定した銃撃訓練で、戦車を用いた砲撃訓練や、水中での戦いに対しても抜け目がなく、さらに、リモコンのようなもので無人機を操縦する様子もありました。
Q.ウクライナに『暴風軍団』が派遣されたことで、ウクライナには、かなりの被害があったそうですね
(辺氏)
「『暴風軍団』の存在というのは、以前から話を聞いていましたが、今回、初めてウクライナで実戦をしたとみられます。それで、ウクライナも、北朝鮮の特殊部隊の恐ろしさを思い知ったと思います。何が恐ろしいかと言うと、この種の訓練というのは、恐らくアメリカや韓国の特殊部隊で行われているものなんです。
『暴風軍団』の中には、偵察隊や、夜間に進出して施設を爆発する破壊部隊、狙撃部隊、要人暗殺部隊など、たくさんの部隊があるとみられます。アメリカ・韓国の部隊にないものもあるんです。それは『特攻隊』、自爆覚悟で特攻するという部隊がいるとみられます。
ウクライナに1万5000人の特殊部隊員が派兵されて、実際にこの半年間は、北朝鮮の兵隊が負傷して生け捕りにされたのが、たった2人しかいないんです。ということは、降伏して脱走するという兵士が1人もいないということになり、その精神力が、恐らく北朝鮮が誇っているところだと思います」
(「情報ライブミヤネ屋」2025年5月28日放送)


