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【注意】マイホーム購入後にトラブル発覚!“20年の壁”とは?『瑕疵担保責任・不法行為責任の違い』と『民法改正の影響』を法律のプロが解説
2025年11月22日 UP
全国各地で発覚する住宅トラブル。もしも自分が住むマンションでトラブルが発生し、購入後に発覚したら、販売会社等にどこまで責任が問えるのか?旧民法の落とし穴とは?元検事・亀井正貴弁護士の解説です。
■マイホームに欠陥発覚!『瑕疵担保責任』と『不法行為責任』の違い
現在トラブルの渦中にあるのは、1985年に分譲された兵庫・西宮市のマンションです。2022年、大雨の翌日に住居の壁から水が漏れ出すトラブルが発生し、調べていくと、上層階で詰まった排水管を発見しました。
その排水管にはコンクリートブロックが詰まっていて、管理組合が建築士に調査を依頼したところ、365件の建築基準法違反が発覚。さらに、地下に廃材や空き缶が放置されていたり、コンクリート内にライターが入っていたり、排水管はさびて漏水したりしていました。
一級建築士でもある福島敏夫弁護士によると、「マンションが基本的安全性を損なう瑕疵があると認められる場合、民法上の不法行為責任に該当する可能性がある。マンション完成から20年たっているかが重要になる」ということです。
元検事・亀井正貴弁護士によると、「旧民法724条では、住宅の引き渡しから最長20年がたつと損害賠償請求権が消滅し、住民は誰に対しても何の責任も問えなくなる」といいます。2020年に民法が改正され、除斥期間の20年は撤廃されましたが、改正以前に建てられた住宅には旧民法が適用されます。
(元検事・亀井正貴弁護士)
「わかりにくいと思いますが、除斥期間と時効は違います。『瑕疵担保責任』と『不法行為責任』という2つの権利があって、両方で請求でき、瑕疵担保責任の時効は10年です。不法行為責任の時効は“知ってから”3年ですが、知らなければ時効は進行しないので、それはおかしいということで、せめて20年で消しましょうと除斥期間が設けられました」
Q.なぜ20年が問題にされているのですか?
(亀井弁護士)
「瑕疵担保責任の時効は10年で、今回のケースでは全く話にならないので、不法行為という形で引っ張ろうとしたら20年だからです。不法行為責任の時効は“知ってから”3年なので、例えば19年目に知ってもそこから3年間いけます。しかし、暴行や交通事故と違って、建物を建てる中で不法行為の構成を立証するのは、一定のハードルがあります。故意でも過失でも、建築に関する不法行為の場合は、悪意に近いものを立証しなければいけないという判例があります。また、今回のケースは築40年で旧法が適用されるため、この20年にも引っかかっていません」
(※瑕疵担保責任は新法で『契約不適合責任』と名前が変わっています)
■ケース①築15年の家で雨漏り…『防水加工なし』では施工不良か
難しい住宅トラブルですが、身近で起き得るトラブルをケースごとに見ていきます。
Aさんは築15年の家に住んでいましたが、雨漏りが発生しました。販売会社に確認して調べた結果、防水加工をしていなかったことが判明し、Aさんは「施工不良!販売会社の責任だ」と主張しました。しかし、損害賠償は認められない可能性があり、亀井弁護士によると「瑕疵担保責任の時効(10年)を迎えてしまっている。築10年以内なら施工不良が認められるケースもある」ということです。
Q.「防水加工をしていない」のは不法行為ですか?それとも瑕疵担保責任ですか?
(亀井弁護士)
「やらなければいけないことをしていない=契約不履行・債務不履行ではありますが、自主的に加害行為をしたとまで評価できるかという問題から、不法行為として証明するのは難しいです。瑕疵は認められますが、瑕疵担保責任は引き渡しから10年で時効なので、権利は消えています」
■ケース②『カーテンレール未設置』は手抜き工事?
Bさんは新築の住宅を購入しましたが、カーテンレールの未設置が発覚。自腹で購入し、Bさんは「手抜き工事!設置代金は販売会社が払うべきだ」と主張しました。しかし、設置代金の請求は認められない可能性があります。亀井弁護士によると、「カーテンレールは標準契約に含まれないのが一般的。契約・見積もり時に確認が必要」だということです。
Q.カーテンレールはオプションですか?
(亀井弁護士)
「基本的には、そうなります。国交省が標準的な契約内容を指導しているのですが、その中に入っていないので、当事者同士の契約の中に入っているかどうかが問題です」
■ケース③南側にタワマン建設!日当たり悪化で販売会社の責任は?
Cさんは日当たり良好なマンションを購入しましたが、購入後、マンションの南側に別の会社によるタワーマンションの建築が始まり、日当たりが悪化しました。マンション購入時にはタワーマンションの計画はなかったものの、販売時の広告には『日当たり良好』『南向き』と書いてあったため、Cさんは「販売・購入時と話が違う!販売会社に賠償責任がある」と訴えましたが、亀井弁護士によると「マンション建築時は日当たりについてはウソではなかったため、販売会社への損害は認められない可能性が高い」ということです。
Q.日照権の問題はないんですか?
(亀井弁護士)
「まず、日照権として阻害されているかをクリアする必要があります。阻害されているとしても、例えば近々ビルが建って日当たりが悪くなることを知ったうえで売ったら問題が生じますが、販売の段階では日照阻害条件はなく日当たりは良い状況ですから、販売会社は責任を負わなくてもいいです」
■ケース④見晴らし悪化で花火が…損害賠償は認められる?
Dさんは、年1回の花火が見えるマンションを購入しました。ところが1年後、花火が見える方角にタワーマンションが建設され、花火が見えなくなりました。ただ、このケースではDさんのマンションと新しく建設されたマンションが同じ販売会社だったため、損害賠償が認められた判例もあります。亀井弁護士によると、「販売会社は眺望で購入したことを知りながら建築したので、販売会社側に責任があり、慰謝料の支払い命令が出た」ということです。
Q.同じ販売会社がポイントですか?
(亀井弁護士)
「ポイントです。眺望を保証して売ったなら、その後も続けなければいけません。ただ、部屋に入ったら花火がたまたまキレイに見えて『良かったですね』程度では、販売会社が保証しているわけではないので、損害賠償は認められない可能性が高いです」
Q.今までのケースは交渉する会社がまだ残っている前提でしたが、吸収合併して会社がなくなったり外資系になったりしたら、交渉相手が変わりますよね?
(亀井弁護士)
「変わりますし、その場合には全くお手上げになります。しかも、今回の事例の場合でも、マンションの価値が下がったから何百万~何千万円という話ではなく、販売会社が悪いけど、『精神的被害を受けた』であればそんなに大きな金額にはならないので、逸失利益等ではなく『慰謝料』という形になります」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年11月10日放送)


