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“脱北作家”金柱聖(キムジュソン)さん(仮名)

【独占直撃】韓国郊外のマンションで最新の家電に囲まれて…“脱北作家”の自宅で、脱北者のリアル生活を独自取材!「今後は脱北者もそんなに増えない」理由とは

 日本語を話せる脱北者―。
 
 韓国で“脱北作家”として生計を立てる金柱聖(キムジュソン)さん(仮名)。幼少期を日本で暮らし、1970年の帰還事業で日本から北朝鮮に渡った後、2009年に脱北するという壮絶な半生を生きてきました。北朝鮮で作家を目指していた過去を持ち、脱北後は韓国で作家として活躍する金さん。いま、韓国郊外のマンションで家族と暮らしていますが、現在の生活について、どう思っているのでしょうか。「ミヤネ屋」プロデューサーが聞きました。

―今、どのようにして生計を立てていますか?
「テレビや講演会で北朝鮮の分析をしたり、本を書いたりして生計を立てています。職業は“脱北作家”などと言っていますが、いわゆる『これ』といったものはなく、幅広く『メディア人』だと思っています。文在寅政権になるまではテレビの出番も多かったのですが、文政権になって、だいぶ出番が減りました」

―それは、なぜですか?
「“北朝鮮に近い”立場とされている文政権にとって、脱北者は良い存在ではないと思います。北朝鮮の中では、私たちは“裏切り者”と思われているので。それまでは、ミサイルなど撃ったらコメンテーターとして引っ張りだこだったのですが…」

―作家としては、どんな著作がありますか?
「日本での著書は『飛べない蛙』。これは、北朝鮮での暮らしをもとに書いた自伝のようなものです。ほかにも、韓国国内で小説をいくつか書いています。小説といっても、主には北朝鮮での体験談をもとにしたもので、『こういう話もあるのです』ということを韓国の人に伝えたいという思いから書いています」

―最近の脱北者は、どんな仕事をするんですか?
「最近はいろいろです。自営業も多くなっています。そんな中でも、地道にやってお金を儲けるのが溶接です。船や機械や電気設備などの溶接をするんですね。また、電気設備の設置の仕事も人気です。アパートの建設現場に行って配線をしたり、電線の配線をしたりとか。こういった仕事は日当で給料をもらえるので、結構お金を儲けることができるんですね。後は、会社を運営している人もいれば、食堂で結構繁盛している人もいます」

 金柱聖さんは、取材した今年の春時点では韓国の郊外にあるマンションを購入し、住んでいました。自宅には浄水器付きの冷蔵庫やマッサージチェアなど、最新の韓国家電がずらりと並んでいました。

―脱北者は、もう少し厳しめの生活しているのかなという想像があったのですが。
「脱北者も、どういう脱北者かにもよります。私の場合は妻も脱北者で、北朝鮮では厳しい生活を送っていました。その反動もあり、できるだけ家電などは最新のものを使いたいという気持ちがあるのです」

―書斎には日本、韓国、北朝鮮の本が入り乱れていますね?
「書斎においてある日本の本は、北朝鮮時代に好きだったものもあります。北朝鮮では主に、坂本龍馬や柴田錬三郎に関する書籍や司馬遼太郎の本を読んでいました。1970年代、中学生の時に北朝鮮にわたったのですが、手に入る日本の本は限られていたので、難しい本も読むようになりました。北朝鮮時代に一番好きだったのは、『英雄三国志』と坂本龍馬の本です。特に幕末の歴史が一番好きでした。北朝鮮を幕末の日本に例えて、友人と『幕府はいつ潰れるのだろうか』などと話していました」

―今の脱北者の生活を、どう思っていますか?
「生活は良くはなっているとは思いますよ。徐々に徐々に自立性を持って、独り立ちしていっている人が増えています。一方で、韓国では脱北者の存在は曖昧です。韓国政府も憲法では、北朝鮮住民も韓国国民ですっていうふうに名指しで言ってはくれていますが。これからは、儲けた脱北者の事業家たちが、自分たちの同胞を支援する形が増えるかもしれません。しかし、脱北もブローカーの費用が高騰しすぎて、今後は脱北者もそんなに増えないとも思います」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

読売テレビニュースのYouTubeチャンネル「ミヤネ屋Pが全部聞く」では、北朝鮮で有名な“脱北作家”金柱聖さんの自宅をミヤネ屋プロデューサーが訪問。韓国の最新家電に囲まれた生活や故郷の味を紹介してもらうほか、北朝鮮の住宅事情なども独占インタビューしています。

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