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「KAZU 1」の船体を確認

【独自解説】船体発見の「KAZU 1」、水深100mからの引き上げは「準備に時間がかかる可能性」専門家が解説

 知床沖の観光船事故で4月29日、遭難場所付近の「カシュニの滝」近くの海底に「KAZU 1」という文字が読み取れる船体が沈んでいることが、海上自衛隊の水中カメラで確認されました。今後の動きなどを、海技士で一級小型船舶操縦士でもある神戸大学・若林伸和教授が解説します。

「ソナー」での捜索で発見

 ウトロ漁港から、岬の先端に向かって26kmほどの場所に、観光船が消息を絶った「カシュニの滝」があります。その沖合の深さ100mの所で、ソナー(音波探知機)に船体らしきものの反応があり、自衛隊の水中カメラで詳細な確認をしたところ、「KAZU 1」の文字が読み取れたということです。

一級小型船舶操縦士でもある神戸大学・若林伸和教授

Q.「ソナー」とはどういうものなのですか?
(神戸大学 若林伸和教授)
「超音波を使って海底を探るもので、海底地形などもきれいに映りますので、船体があればそれも映って見つけることができると思います。地元の漁船の方々は、魚群探知機で探していらっしゃるのだと思いますが、魚群探知機は真っすぐ下の海底の上下の起伏だけが分かるものです。今回使用しているソナーは、三次元的な映像で見られますので、より分かりやすいと思います」

写真下部の黄色が「水中ドローン」

Q.今回の船が見つかったところは水深100mもありますが、まだ船内に残っている方がいる場合、どうやって確認をするのですか?
(若林教授)
「カメラの付いた水中ドローンが入っているということなので、可能な限りそのカメラで撮影して、中の様子や人が残っていないかなどを確認すると思います」

Q.もし中に人がいた場合は、早く引き上げて差し上げたいと思うのですが、水深100mだと人は潜れないのでしょうか?
(若林教授)
「一般的には100mは潜らないと思います。海上保安庁の特殊救難隊の潜水士で、できるかどうかのかなり厳しいところだと思います。現場の判断で、船ごと引き上げるということになるかもしれません」

Q.船ごと引き上げるとして、どういう方法になるんですか?
(若林教授)
「通常は『サルベージ作業』と言って、クレーン船で引き上げることになると思います」

Q.クレーン船というのは、知床にあるのですか?
(若林教授)
「知床にはないと思います。北海道にもあるかどうか難しいところです。海上に大きな橋を架けるときに使うものですので、そこら中にある、というものではありません」

Q.サルベージの作業は自衛隊がするのですか?
(若林教授)
「サルベージ船を出すのは、民間の会社になります。多分発見場所の近くに、十分に大きなクレーン船はないと思いますので、それが回航してくるだけでも相当時間がかかると思います」

Q.民間の会社ということは、誰かがお金を出さないといけないと思いますが、その費用はだれが負担するのですか?
(若林教授)
「そうですね、そこをどう解決するのかも、問題の一つです」

Q.サルベージの作業は具体的にどうやるのですか?
(若林教授)
「サルベージ船からワイヤーを下して、船体に掛けます。必要があれば、人が潜水してワイヤーを掛けることもありますが、そのあたりは水深などによって判断します。日本のサルベージ会社は、非常に技術の高い作業をしますので、現場で状況に合わせて行うと思います」

Q.100mというと相当深いと感じますが、サルベージ作業ではそんなに難しくはないのでしょうか?
(若林教授)
「難しいかどうかは状況にもよりますが、水深100mで引き上げるという例は過去にもありますので、十分可能な深さだと思います。作業自体は、うまくいけば1~2日くらいでできると思います」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年4月29日放送)

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