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【密着】最愛のパートナーに先立たれ、どう生きていけば…孤独や不安を抱えた人たちが集う『しあわせ食堂』 前向きに生きる運営者の想い
2026年2月23日 UP
今回、番組が取材したのは、最愛のパートナーを亡くした独り身の高齢者たちです。寂しさの中でも皆さんが口を揃えるのは、“誰かのために何かできることの幸せ”―孤独と向き合いながらも前向きに生きるためのヒントとは?
■最愛の妻が急死…一人暮らしの年金受給者の生きがい
埼玉県に住む岡庭さん(70)は、祖父の代から受け継がれてきた持ち家に一人暮らしです。月々の年金受給額は厚生年金の約20万円ですが、現在の収入は年金だけというわけではなく…。
(岡庭さん)
「大した金額じゃないですけど、裁判所の調停員をやっています。裁判の前に、お互い話し合う場を設けるんですけど、お互いが話し合いで解決できるようなお手伝いをするというんですかね。週1が多いですが、たまに週2あります」
光学系のエンジニアとして会社に勤めていた岡庭さんは、31歳の時、お見合いで妻・悦代さんと出会い、結婚しました。2人の娘にも恵まれ、幸せな生活を送っていました。
ところが、11年前の2015年2月。妻・悦代さんが突然、自宅で亡くなったのです。
(岡庭さん)
「寒い時期です。出勤する前に、妻がご飯の準備をするから、1時間以上前に台所に来て支度を始めるんですけど、当然、暖房もついていません。そういう所に、パジャマ一つで来るわけですよね。やっぱり強烈なヒートショックだと思うんですよ、今、考えると…」
予想だにしなかった妻との別れ。今でも台所に立つと、妻・悦代さんを思い出すといいます。
Q.普段から料理するんですか?
(岡庭さん)
「料理というか、このレベルです(笑)妻が丁寧に作ってくれていたので、大体おいしかったです」
そんな岡庭さんの日課の一つが、代々受け継がれてきた畑を活用した野菜作り。61歳で仕事を引退し、野菜の栽培方法や栄養学を一から学び始めたそうです。
(岡庭さん)
「キャベツ・白菜・ジャガイモ・サツマイモとか、夏になればトマト・キュウリ・ナス・スイカも作っています。あとは生落花生ですね。酒のつまみに最高なので」
Q.ご自身で召し上がるための野菜ですか?
(岡庭さん)
「いや、私と娘夫婦と、あとはたまに他の方にお分けすることもあります」
現在は孫にも恵まれ、娘家族とも支え合って、生活しているそうです。
(岡庭さん)
「自分のやった行為が人のために役立って『ありがとう』と返ってくる。それは、やっぱり生きがいです。体が動くうちは続けていきたいというのはあります」
■前向きになるための場所『しあわせ食堂』を運営する女性の想い
妻や夫・最愛のパートナーに先立たれるという、多くの人がやがて直面する厳しい現実。そのとき私たちは、どのような気持ちで生きていけばいいのでしょうか―。
番組が訪れたのは、東京・新宿区のとある場所。ここは子ども食堂ならぬ、高齢者が集まる『しあわせ食堂』です。夜に営業しているバーのスペースを借りて月2回のペースで開催していて、なんと料理は無料で提供されています。
オープンからものの数分で、あっという間に満席になりました。
(参加した人)
「温かいし、ご飯も白米がすごくおいしいです。1人じゃ、こんなたくさんの食材で作れないから」
(参加した人)
「15回目ぐらいかな」
(参加した人)
「私は10回目ぐらい、常連です」
実は、利用者の多くは、離婚や死別などでパートナーを失った独り身の高齢者です。
(参加した人)
「夫が10年前に…」
Q.ご病気ですか?
(参加した人)
「がんです、大腸がん」
Q.そういうお話を、他の皆さんとされますか?
(参加した人)
「そうなんです。共感できる部分がいっぱいあって。改めて涙が出ちゃう。今でも泣きたくなっちゃう」
Q.この場所の魅力は何ですか?
(参加した人)
「おしゃべりしながら、お食事できることね」
(参加した人)
「私も妻を亡くしました。もう8年ぐらい前に、病気で。自分で料理なんか作ったこともないし、おにぎりも作ったことないし、自分でできなきゃと思ったんですけど、いまだにできません(笑)いっぱい種類があって、温かい料理が食べられて、すごく幸せです」
この食堂を運営している小谷みどりさん(57)は、自身も十数年前に夫を亡くした過去を持っています。
(高齢者食堂を運営・小谷みどりさん)
「高齢になると孤独とか、“病気になったらどうしよう”“このまま死んだらどうしよう”とか、そういう不安って、みんな持っているんです。ここに来て『私、こういうことが不安なんです』って言ってもらって、『私もよ』って誰かが言ってくれるだけで、安心するんですよね。おしゃべりする場に、ご飯もついている感じです」
同じ境遇の人たちが前向きになるための場所を作りたい―そんな思いで、2024年11月からスタートさせた『しあわせ食堂』。料理を作るボランティアの中にも、パートナーを失っている人がいるそうです。
(小谷さん)
「配偶者が亡くなったので、誰かのために料理をする機会がなくなっているんです。誰かのために料理をして『おいしい』って言ってもらえたら嬉しいですよね。ここだと、ボランティアしている人たちも『誰かのためにやれる』という喜びがある。だから、しあわせ食堂なんです」
決して忘れられない、消すことができない悲しみ―それでも『パートナーの分も人生を2倍楽しむ』をモットーに、皆さん前へ進んでいます。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2026年2月16日放送)


