記事
【ナゼ】「泉にお賽銭を投げないで」各地で相次ぐ泉への“投げ銭”被害 水質低下の懸念で神社が注意喚起も被害は後を絶たず…「怒りというより、あきれている」「海外の方よりも日本人のほうが多い」 いったいナゼ泉にお金を投げるのか―?
2025年5月20日 UP
各地の神社で問題になっている泉への“投げ銭”被害。神社側は注意喚起の看板を立て対策するも被害は後を絶たないといいます。いったいナゼこんな事態になっているのか―?
■“最強の開運神社”で一躍人気になった神社にまさかの事態…千年の歴史ある泉が硬貨だらけに…
茨城県日立市『泉神社』。その成り立ちは第十代・崇神天皇の時代、紀元前42年と言われています。歴史の森へといざなう参道に、神域の奥にたたずむ拝殿、決して交通の便が良いとは言えない小さな神社ですが、2024年、“最強の開運神社”として大注目されたといいます。
そのワケは…
泉神社が龍の姿のご神木を祀っていることから、2024年の辰年を象徴する“開運神社”として紹介されました。
すると、日本全国から参拝客が押し寄せたのです。2024年は例年の5倍だったといいます。
しかしその結果…思わぬ事態が!
(泉神社の公式『X』より)
「境内禁止事項に明記しております。泉にお賽銭を投げ入れないでください。水質が低下します。お願いします。皆様のご協力を願います。大切な自然を守る為に」
どこまでも青く澄んだ水面…その深い底には1000年以上、途切れることなく、こんこんと湧き出る泉があります。神社の名前の由来にもなった神聖な場所です。しかし今、由緒ある泉の底には、所々硬貨が投げ込まれています。いったいナゼこんな事態になったのでしょうか?
Q.こういうのをご覧になってどうですか?
(東京から参拝)
「ちょっと意味わからないですよ」
「まずいですよね、神様の場所に。それは違う」
(福島県から参拝)
「参拝客の増加に伴って、色んな方がいらっしゃるので、こういったことは仕方ない部分であるかと思いますけどね。マナーを守った参拝というのをして欲しいとは思いますね」
泉に“投げ銭”をする参拝客の中には外国人観光客もいるといいます。
Q.日本のものではない硬貨もあるんですね?
(泉神社・大塚祐慶宮司)
「そうですね。でも海外の方よりも日本人のほうが多い印象があります」
(大塚宮司)
「年に数回、地域の氏子総代さんたちが、ダイバースーツを着て中に潜り、特製の網を使って下からすくい上げながら硬貨をとってくれる」
泉神社では、3か月から4か月に1度の割合で、ウェットスーツに身を包んだ氏子の有志が大量の硬貨を手作業で回収しているといいます。
(氏子総代会・黒澤正明さん)
「テレビで紹介されてから、人が来るようになって、賽銭が多くなったんですけど。これだけきれいな泉なんで、来られた方に良い所を見ていただきたいという気持ちはあります」
拾っても拾ってもなくならない“投げ銭”とのいたちごっこ…。
(大塚宮司)
「この地域に住まれている方が本当に大切にしている場所になっているので、自然を守っていただく、そして次につなげていくということが必要だと思いますね」
泉へつながる階段の下り口付近の「神域につき泉へ賽銭の投入禁止」と書かれた大きな看板は、2024年の1月下旬に設置されました。しかし、看板を設置する際、景観的なことを含めて賛否があったといいます。それでも、投げ入れられる賽銭がとても多く、やむを得ず看板を設置したとのことですが、一定の効果はあったものの、“投げ銭”が完全になくなることはなく、今も続いているといいます。
Q.誰かが泉を監視したり、その都度注意するのも人件費がかかりますし、参拝の方に泉は見せないというのも違いますし、本当に“お願い”するしかないということですよね?
(泉神社・大塚祐慶宮司)
「そうですね。本来、景観を損ねるため看板を立てたくはないんですけれども、お願いというか、ここは信仰の場ですので、神社の参拝の方法などを改めて皆さんに理解していただいて参拝に来ていただければと思いますね」
■“投げ銭”は『トレビの泉』の影響か…山梨・忍野八海の『湧池』でも大量の“投げ銭”被害が―
人はなぜ、泉や池を見たら、硬貨を投げ入れてしまうのか?そのルーツは、イタリア・ローマの観光のシンボルである『トレビの泉』だといわれています。様々な願いをコインに託し、泉に向けて投げるのですが、その『トレビの泉』の影響なのか、日本でも池の中には大量の硬貨が投げ込まれています。
しかし、投げ込まれる場所によっては深刻な影響も―。
『富士名水の里』のシンボル、山梨・忍野八海の『湧池』。青く澄んだ神秘的な池が、多くの観光客を呼んでいます。しかし、池の底には、大量の硬貨が散乱していました。
もちろん、『湧池』では“投げ銭”は禁止されています。しかし、マナーを守らない客が後を絶たず、水質汚染に悩まされているといいます。
(外国人観光客)
「御利益があると思って…」
景観と自然環境を守るため、潜水士とダイビングのインストラクター両方の資格を持つボランティアが、定期的に池に潜って硬貨を回収しています。
(忍野八海 水底コイン回収潜水ボランティア・坂本新代表)
「怒りというよりは、あきれていると言ったほうが正解かもしれません」
Q.「賽銭を投げ入れないで」という看板が立っているにもかかわらず、投げると何かの罪になるんでしょうか?
(本村健太郎弁護士)
「刑法では『浄水汚染罪』という罪があって、“浄水”というのはキレイなお水という意味なので、“浄水”を汚染すると6か月以下の懲役になるんですが、“人の飲料に供する浄水”と限定がついていまして、飲み水として使っていれば罪になるんですが、飲み水でない場合は罪にはならないです」
(「情報ライブミヤネ屋」2025年4月18日放送)


