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“ながら食い禁止”のラーメン店が話題に

【独自解説】“ながら食い禁止”“子連れ入店拒否”独自ルール設ける飲食店増加、売り上げアップも!「お客様は神様」時代は終わりか?

 “食事中のスマホ禁止”“子連れ拒否”など、独自ルールを作る店が増えています。迷惑動画問題も頻発する中、回転寿司や食べ放題といった日本発の食文化が崩壊の危機に…客と店との新たな関係とは?グルメジャーナリスト、東龍氏の解説です。

ながら食い禁止、賛否両論も売り上げ増⁉店側はターゲットの明確化を

グルメジャーナリストの東龍氏

 アメリカメディアCNNが「東京のラーメン店、食事中のスマホを禁止」と配信し、話題になった人気ラーメン店があります。店主によると、客がスマホで動画を観ており、提供したラーメンに4分ほど手をつけなかったそうです。そこで店主は、動画を観ながらラーメンを食べる“ながら食い禁止”の店内ルールを設定。批判の声はありましたが、回転率が上がって売り上げも上がり、店の雰囲気も良くなったといいます。

独自ルールには苦言も

Q.行列ができる人気店だと、待っている客も早く食べたいし、店側も回転率を上げたいですよね?
(グルメジャーナリスト 東龍氏)
「そうですね。特に、こだわりや自信がある店主の場合は、そうなると思います。ただ、飲食店と客は対等の関係であるべきで、客側は飲食店へのリスペクト、店側は客を楽しませることを、大前提にしなければなりません」

「子連れ入店お断り」にしたキッカケ

 また、子連れの入店を拒否する店も増えており、店側は「子どもが悪いのではなく、それを注意しない保護者が悪い」といいます。例えば、他の客の料理を子どもが勝手に食べたり、店内で騒ぐ子どもを店員が注意すると、「あんたのせいで注意された」と親が子どもに八つ当たりして店の雰囲気が悪くなるそうです。そして、そんな客らが店を逆恨みし、グルメサイトなどで誹謗中傷やウソの情報を書き込むというトラブルも見受けられるということです。

Q.高級温泉旅館など、中学生以下お断りという施設は、日本には結構ありますよね?
(東龍氏)
「飲食店営業許可の範囲内であれば、ルールを設けること自体は問題ないです。ただ、店側がどういった客層を喜ばせたいのか、ターゲットにしたいのか、そこを明確にしないとズレが起きます。本当は落ち着いて食べてほしいと思っているのに、『子ども連れお断り』というのをしっかり伝えておかないから、問題になります」

「お客様は神様」時代の終焉?店側の“コミュ力不足”も炎上の一因に

子ども入店禁止だったが、可能にした店も

 一方、一時期子連れ入店を禁止にするも、入店可に戻した店もあります。こだわりの食器でパフェなどを提供する店なのですが、子どもが食器を割っても親が「子どもは割るもの」と開き直ったり、騒ぐ子どもを注意することが多くなり、スタッフの心理的負担となったことから、約7年間子どもの入店を拒否していました。しかし、マナーの良い子連れの常連客まで入店できないことにジレンマが募っていき、入店可能に戻しました。子連れ禁止の時期があったことで客側が考え、今では“小さな紳士・淑女”ばかりになったそうです。

Q.子どもNGの時期があったので客側も理解して、マナーも洗練されたということで、一時期でも禁止にして良かったという例ですよね?
(東龍氏)
「大切なのは、客側の飲食店への理解だと思います。日本の飲食店は、東京だけで10万店以上といわれるほど多く、これまでは“客におもねる”状況でしたが、日本の食文化が世界的に評価されていくにつれ、今はそういった時代ではなくなってきました」

 東龍氏によると、お客様が神様だった時代は終わるだろうということです。また、SNSの登場で飲食店内の問題が表面化し、店側の“コミュ力不足”と客側の飲食業への理解不足が、状況を悪化させているといいます。

Q.店側の“コミュ力不足”とは、どういう意味ですか?
(東龍氏)
「店側がルールを設けるのは全く問題ないのですが、それをしっかり客側に伝え、理解して、納得して入ってもらっていないので、後から『こんな店だったの?』となった場合、余計なトラブルが生じてしまいます。大体は、それで炎上しています」

コスパ重視の弊害…客も飲食店経営に対する理解を

1つだけ注文して複数人でシェア禁止

 また、コスパ重視の弊害もあるといいます。茨城の中華そば店では、2人で入店した客らが中華そば1杯(400円)を注文し、それをシェアして食べていたといいます。それだと商売にならないと思ったこの店は、「食べない方の入店はお断りします」とSNSに投稿しました。それに対しネットでは、「営業努力もむなしくなりますね」「ミニラーメンを作ってほしい」「ルールに従えないのなら来なければいい」など様々な意見がありました。

Q.一杯400円というのは、人件費や光熱費もかかる中で店側も相当努力されているはずですが、このようなことをされたら、やっていけないですよね?
(東龍氏)
「今はコスパ至上主義で、なるべく得したいと思う人が多いです。また、レビューの問題もあります。1億総レビュアー時代と言われている今、そのレビューの大体は料理の味やスタッフの印象です。ですが、その空間や土地、テーブルウェアや空調など、全てにお金はかかっています。そのことを、客側がもう少し理解してくれれば良いのですが」

日本発の食文化が崩壊の危機?カギになるのは「食育とコミュニケーション」

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 回転寿司店で一度取った寿司をレーンに戻したり、回っている寿司にアルコール消毒液を噴射する、勝手にワサビを載せる、湯飲みや醤油ボトルを舐め回すなど、相次ぐ“寿司テロ”問題。東龍氏によると、この問題は回転寿司店だけでなく、食べ放題やバイキングなど日本発の食文化を破壊する恐れがあると指摘しています。

Q.客側と店側の信頼関係を、これから新しく構築していくことが重要ですよね?
(東龍氏)
「それには、食育が大切かと思います。飲食店をリスペクトできるように、そして日本の文化を海外に発信できるような教育が必要ではないかと感じます」

Q.食育や食事マナーを、子どもだけでなく大人も勉強しないといけませんよね?
(東龍氏)
「おっしゃる通りです。そして、飲食店側もコミュニケーションをしっかりと、『こういったお店です』というのを明確化するというのも大事です」

(情報ライブミヤネ屋2023年4月6日放送)

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