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会見した元2世信者 小川さゆりさん(仮名)

【独自解説】『両親の署名入り』会見中止要求は「“教団”の悪質性が如実に表れている」 鈴木エイト氏が解説 元2世信者が涙の訴え、語られた切実な思いとは

 10月7日“統一教会”の元2世信者の女性が会見を行いその切実な思いを語りました。これに対し、教団側が会見の中止を要求していたことがわかりました。女性の両親の署名入りで送られてきたメッセージに書かれていた驚きの内容とは?教団の一方的な主張から見える狙いは?鈴木エイト氏が解説します。

会見に対し“統一教会”からは中止要請 元2世信者「怒りを感じる」

元2世信者小川さゆりさん(仮名)が話した“生い立ち”

 10月7日に“統一教会”の元2世信者小川さゆりさん(仮名)が、日本外国人特派員協会で会見を行いました。小川さんは、6年前に教団を脱会して、一般男性と結婚しています。小川さんの両親は、20歳前後に入信して合同結婚式で結婚していて、現在も熱心な信者を続けているそうです。母親は“統一協会”から出馬した議員の選挙活動を「ウグイス嬢」などで手伝ったこともあるとのことです。小川さんは、「親が高額な献金をしていたせいで貧しい家庭環境で育ち、学生時代は長期に渡っていじめを受けた」といいます。また、「借りた奨学金を生活費に使われて兄弟の学費を肩代わりしたこともある。200万円ほどあったアルバイトの給与は、献金のために両親に没収された。幼少期から教会での行事や宗教行為を強制され、教会以外の人間はすべて悪で、恋愛やそれらの情報を見ることも悪と教育を受けた。教義の矛盾や家族崩壊のストレスで精神疾患を患った」と語りました。

“統一教会”が会見中止を要請

 そして、会見開始から約50分経過したときに、“統一教会”からの会見の中止を要請するメッセージが小川さんの夫のもとに届きました。メッセージは、この日の午前中に英文で、会見直前に日本語訳で特派員協会に届いていて、確認できたのが会見開始後だったということです。メッセージは小川さんの両親の署名入りで「小川さんが安倍元首相の銃撃事件以降症状がひどくなり、多くの嘘を言うようになってしまっている」と会見の中止を求めるものでした。小川さんは「心の症状については、もう4年前の時点で治っている。私が苦しんでいた時、両親は病名すら知らなかった。こうしたときに病気を持ち出してくることに怒りを感じる」とコメントしています。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏

Q.なぜ教団は、会見の中止要請をしたのでしょうか?
(鈴木エイト氏)
「教団としては、日本での教団の実態や、元2世信者の切実な訴えを海外に配信されたくなかったのだと思います。教団は海外のメディアなどを使って『日本では宗教破壊が起こっている。自分たちは被害者だ』と発信をしようとしていて、それが2回目の田中会長の会見だったのですが、裏目に出て教団側が責められる結果になってしまいました。今回、さらに元2世信者の訴えが海外に届いてしまうことを恐れたのだと思います。教団は、今まで海外の人権団体などを使って、『日本では宗教弾圧がある』などとアピールしていたのですが、それが無に帰する恐れが出てきたのです。元2世信者の小川さんの人格を傷つけてまで、こういうことをしてしまう教団の“悪質性”が如実に表れた出来事だと思います」

夫婦で話し合ってメッセージの発表を決意

Q.教団のこの対応は異例で、外国に報じられたくないという意図が透けて見えますね。
(鈴木氏)
「そう思います。当日取材した記者の話では教団からのメッセージは、小川さんの精神状態を気遣うような形を取ってはいるのですが、実際には彼女を傷つける様な内容だったそうです。そして、彼女が涙を浮かべたのは、彼女が夫のサポートについて語る場面であって、教団のメッセージについて語るときには涙を止めて、本当に怒りの表情で毅然と語っていたところもポイントだと思います。『メッセージをこの場で発表しよう』ということも、ご夫婦で話し合って決められたそうです。教団が、親を使って娘を傷つけることをいとわない形でこういう発表をさせた悪質さは特筆すべきだと思います」

番組の取材に“統一教会”からは「回答なし」

なお、会見中止の要請をしたのか“統一教会”に直撃しましたが、回答はありませんでした。

元2世信者が涙の訴え「どうかこの団体を解散させてください」

元2世信者 小川さゆりさん(仮名)の訴え

 会見で小川さんが訴えたのは、「救済、被害防止のため、今の臨時国会で高額献金を規制する法律を成立させてほしい。新しい法律で、団体そのものを規制・解散できるようにしてほしい。親の行き過ぎた信仰心により、子ども(元2世信者)の人権が脅かされているので、子どもを守る法律や仕組み、組織を作ってほしい。“統一教会”と“政治家”の関係が利用されて、結果的に勧誘や被害が広がったので、政治家側の行動基準について、法律でルールを定めてほしい」というものです。

「どうかこの団体を解散させてください」と訴える小川さゆりさん(仮名)

 そして小川さんは「お金を返しもしないで『自分たちが正しい』という主張だけを続けている人たちと、自分と、どちらが悪なのかこれを見てくださっている多くの方は、分かってくれていると私は信じています。私が正しいと思ってくださるなら、どうかこの団体を解散させてください」と訴えました。

「解散命令請求」に対する岸田首相のコメント

 岸田首相は宗教法人の解散などについて「極めて重い『解散命令請求』は“信教の自由を保障する”観点から判例も踏まえて、慎重に判断する。宗教法人に“法令からの逸脱行為”があれば厳正に対処する『宗教法人法78条の2』に基づく『報告及び質問に関する権限』は、『解散命令』に該当する疑いがある場合に限られていると認識している」とコメントしています。

(鈴木氏)
「小川さんの理路整然とした話し方と内容に比べて、岸田首相の回答は煮え切らない感じがします。『本当に困っている、現在苦しんでいる人が、この岸田首相の姿勢で本当に救えるのか?』と多くの国民が思うのではないでしょうか」

(情報ライブミヤネ屋2022年10月10日放送)

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