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　世界初のAI俳優が誕生し、世間から注目を集めています。しかし、これに対して映画俳優組合やハリウッドスターたちが猛抗議。エンタメ界におけるAIと人間の共存のあり方は今後どうなっていくのか、ITジャーナリスト･高橋暁子氏の解説です。

■芸能事務所も関心をよせる？世界初の“AI俳優”が誕生！

｢あなたと知り合えてうれしいです。見てくれてありがとう｣

　カメラの前で、色んな表情を見せるこちらの女性は、今話題の“新人俳優”だといいますが、実は、この女性は人工知能＝AI(エーアイ)で作られた人物で、名前はティリー･ノーウッドです。世界で初めての“AI俳優”です。

　彼女は、AIでありながらSNSのアカウントも持っていて、そこには、様々な動画が投稿されています。

　まるで、本物さながらの迫力ある映像で、AIとは思えないリアルな動きでアクションシーンや鬼気迫る演技もこなしています。

　本物と“ダマされてしまう”クオリティのAI俳優を生み出したのは、オランダ人俳優のエリーネ･ファン･デル･フェルデン氏です。AI企業のCEOも務めていて、2025年9月28日、世界初となる“AIタレントスタジオ”の設立を公式に発表しました。

(AI企業・エリーネ･ファン･デル･フェルデンCEO)
｢AI俳優のティリー･ノーウッドが多くの芸能事務所の関心を集めていて、現在、契約を議論中です。ティリーを、次のスカーレット･ヨハンソンやナタリー･ポートマンにしたい｣

　すでに 多くの関心を集めているというAI俳優。AIで作られた俳優を使うことで、俳優たちを長時間拘束することなく映画などを製作できるため、コストの削減や、制作効率の向上に繋がるということです。さらに、生身の人間では難しい危険なシーンなど、多様な表現が可能になるというメリットもあります。

■“AI俳優”に映画俳優組合やハリウッドスターたちが猛抗議！

(映画俳優組合･SAG-AFTRA)
｢ティリー･ノーウッドは俳優ではありません。無数のプロの俳優の演技を無許可で、対価を払うこともなく学習したコンピューター･プログラムによって生成されたキャラクターです。盗んだ演技によって、俳優の仕事を奪い、生活を脅かし、芸術の価値をおとしめるという問題を生み出します｣

　さらに、ハリウッドスターたちからも反発の声が続出！

(ウーピー･ゴールドバーグ氏)
｢5000人の俳優の要素を合成して作られたものと、私たちは闘わなければならない｣

(エミリー･ブラント氏)
｢もう最悪。本当に恐ろしい。私たちから人間的なつながりを奪わないで｣

　2023年には、映画俳優組合が急速に拡大するAIの活用制限などを求め、約4か月にわたる大規模なストライキを実施しています。

　さらに『アバター』や『ターミネーター』などで知られるジェームズ･キャメロン監督も…

(ジェームズ･キャメロン監督)
｢10年後にはどうなってしまうんだ？映画の最終シーンまでセットなし、カメラクルーなし、アーティストもなしでできてしまうかもしれない。この新しいテクノロジーをコントロールする必要があると思う｣

　一方、AI俳優生みの親･エリーネ氏は―

(エリーネ氏)
｢AIは人間の代わりではありません。アニメや人形劇･CGが人の演技を損なうことなく、新たな可能性を切り開いたように、物語を生み出し、構築するための方法を提供するものです｣

　これからうまく共生していかなければならない人間とAI。近い将来、“AI司会者”や“AI芸人”がお茶の間をにぎわせる可能性もあるかもしれません。

Q.もう見ただけではAIだと分からないですよね？
(ITジャーナリスト･高橋暁子氏)
｢すごいですよね。今、生成AIで作られた声優の声を無断利用した目覚まし時計や、画像生成AIで作ったアニメなんかもあるので、この流れはこれからも進んでいきそうです｣

Q.今後どうなっていくと思いますか？
(高橋氏)
｢AIは全く新しいものを作るというのは正直、得意ではありません。既存のあるものから学んだものなら得意なので、人間は全く新しいものをどんどん出して対抗していくしかないと思います。例えばお笑いとか音楽のライブなど、『生(ナマ)』というものが価値を得るようになると思います｣

(｢情報ライブミヤネ屋｣2025年10月7日放送)