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【衝撃】「家族からも『車には乗るな』と指示を受けていたらしい」逆走車に正面衝突された運転手が語る事故当時の様子 中には故意に逆走する人も⁉後を絶たない逆走事故、その危険性と対処法とは―
2025年5月5日 UP
一般道でも高速道路でも、後を絶たない逆走事故。慣れない道を運転する人が増えるゴールデンウイークは、特に注意が必要です。今回、一般道で逆走事故に巻き込まれた男性運転手に話を聞くことができました。なぜ逆走が起こるのか?その危険性は?高速道路走行時に逆走車と遭遇したときの対処法とは―。
■「こっちに向かってくるけど避けようがない」右折待ちで停止中、突然前から逆走車が…
これは、2025年3月、東京・八王子の一般道を走る車の車載カメラの映像です。右折するために、対向車が走り去るのを待っていると…。
交差点手前でセンターラインを大きく越えた車が、赤信号だったにもかかわらず、ノーブレーキで正面から衝突してきました。
衝突された車の男性運転手にはほとんどケガがなかったものの、同乗していた妻と子どもは、むち打ちや全身打撲などのケガをしました。購入して約1年だった車は、廃車になったといいます。
衝突された車の男性運転手に、話を聞くことができました。
(運転手の男性)
「もう動けなかったです。焦りましたよね、向こうもこっちに向かってくるし、こっちも避けようがないので…。前の長い車なので、まだ助かりましたけど、もし右折が始まっていたら、妻と子どもが左側に乗っていたので、本当に命に関わるような事故だったと思います」
事故の後すぐに病院に搬送されたため、逆走車の運転手とは話す機会がなかったといいますが、後に保険会社から聞いた話では…。
(運転手の男性)
「相手が80歳ぐらいのご老人で、運転中は意識を失っていたような状態だったらしく、事故当時のことを覚えてないということで。耳も遠くて、会話もできないような方で、家族からも『車には乗るな』と指示を受けていたらしいです」
■「追い越し車線を走り続けるのはリスクが高い」NEXCO公開の映像に見る逆走車の“視点”
逆走事故は一般道だけではなく、高速道路でも。これは、『NEXCO東日本』が逆走事故の注意喚起のため、SNSで公開している映像です。片側3車線の高速道路に現れた、1台の逆走車。その先には複数の車がいましたが、急ブレーキで減速して車線変更し、なんとか逆走車を回避できました。
こちらは、逆走車を発見し、路肩に寄せた車の車載カメラの映像。すると次の瞬間、後方からスピードを出して走ってきた車が、逆走車とあわや接触。間一髪で逆走車を避けましたが、大事故にもなりえた瞬間です。
(交通事故鑑定『ラプター』 中島博史所長)
「一般的に、逆走している車は、自分が逆走していると思っていないことが多いです。逆走車の視点で見たときに、“キープレフト”で走ってくる可能性が高いので、追い越し車線を走り続けるのは、逆走車と衝突するリスクが高いと思います。追い越し車線は一番速く走っているレーンですから、事故が起きたときには結果が大きくなりがちです。高速道路での対面の衝突事故だと、死亡事故になるケースは結構多いと思います」
■『高速出口に誤進入』だけではない故意の逆走も…JAFは実験映像で危険性示す
国交省によると、2011年~2023年に起きた高速道路の逆走事案は2654件で、そのうち約2割が事故に発展。逆走事案は毎年200件以上あり、2日に1回の割合で発生していることになります。年代別で見ると、逆走した運転手の年代は65歳以上が約7割を占めています。
また、逆走理由についての調査では、約3割が逆走した認識を持っていませんでした。一方、逆走が発生する理由の中には、『IC・JCTの分岐を間違え、本来のルートへ復帰するため故意に逆走』『一般道から誤って高速出口に進入』『高速道路に誤進入し、一般道に戻ろうと料金所手前でUターン』など、様々なケースがあります。
しかし、どんな理由でも逆走は非常に危険です。『JAF』が公開している逆走の危険性を示す実験映像では、前方を走行している車を認識できても、その車が逆走していることには気づきにくいことがわかります。
また、対面で走行しているため、接近するまでの時間が極端に短く、“急に目の前に現れる感覚”になることもわかります。
また、カーブ区間の多いインターチェンジは見通しが悪いため、万が一逆走車が来ると出会い頭の事故になりやすく、大変危険です。十分に速度を落として走行してください。
■逆走車を見たら?自分が逆走したら?「車間距離・時間含めて確保しておくことが大切」
『NEXCO東日本』HPによる、高速道路で逆走が発生した場合の対処法です。“逆走車情報”を見た場合は速度を落とし、十分な車間距離を取って走行してください。また、逆走車は追い越し車線を走行してくる傾向にあるため、注意が必要です。
もし逆走車を発見した場合、『同乗者が110番』『サービスエリア等の非常電話から通報』『料金所のスタッフに申し出る』のどれかを行うことで、情報板やハイウェイラジオなどで告知されます。
(交通事故鑑定『ラプター』中島所長)
「逆走車を見たら、自分の身を守るために、回避することに専念するのが重要だと思います。また、逆走車との事故を回避するためには、自分の周りの状況も把握していて、何かが起きたときに回避できるだけの余裕があるように、車間距離・時間含めて、確保しておくことが大切です」
次に、自分が逆走してしまった場合の対処法です。まず、中央分離帯が左にあったり、標識の裏側が見えていると、逆走の可能性があると思ってください。逆走していることに気づいたら、向きはそのままでいいので、近くの安全な場所に停車し、ハザードランプを点灯させて、ガードレールの外側など安全な場所に避難したうえで、110番や非常電話で通報してください。
(読売テレビ・高岡達之特別解説委員)
「上記のようなことは各道路会社がやっていて、音声で警告したり、情報を出したりしています。ただ、車のラジオはつけていない人がほとんどだし、情報板に出しても、要するに法律を守って走っているほうが注意することで、逆走したほうは意識していないことも多いわけです。日本では、原因の話をしたときに『間違いでやることはあるだろう』というようなルールですが、アメリカでは『逆走防止装置』があって、少し逆走しただけでタイヤをパンクさせます。私は、“つい間違えたこと”で自分の人生も他人の人生も変え得る損害のことを思ったら、パンクが何だと思いますけどね」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年4月28日放送)


