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ロシア軍 ウクライナへ侵攻

【独自解説】ウクライナ侵攻から一夜 今日にも「首都陥落」か プーチン大統領の“最終目標”は? 専門家が解説

 2月24日、ついに始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。首都キエフでは何度も爆発音が確認されるなど、ロシア軍の攻撃が続いている模様です。首都キエフが今日にも陥落されるという見通しもある中、はたして現地では何が起こっているのでしょうか。軍事ジャーナリストの黒井文太郎さん、そしてウクライナ出身の国際政治学者で、日本でウクライナ情勢について講演、執筆活動を行っているグレンコ・アンドリーさんが解説します。

首都キエフで被害拡大 ウクライナ国内のいま

ウクライナ出身 国際政治学者 グレンコ・アンドリーさん

Q.アンドリーさんのお母さまがウクライナの首都キエフにお住まいだと伺いましたが、連絡は取れていますか?
(ウクライナ出身 国際政治学者 グレンコ・アンドリーさん)
「そうですね、メッセージのやり取りだけでもできるように定期的にやりとりしています。今のところは無事です。」

Q.キエフの皆さんの様子はどういった感じでしょう?
(グレンコ・アンドリーさん)
「やはり国民は不安に思っていて、どうしたらいいかわからい状態で心が乱れている人が多いです。西部への移動を考える人が多く渋滞も起きていて、スーパーで買い占めが起きたり、ガソリンが売切れたりという状況です。いくつかミサイルもキエフ市内には落ちているのですが、全体的に住宅地は健在なので、ほとんどの人は行政からの要請もあるので家から出ないようにしています。」

Q.戒厳令が出ていますが、キエフからは出られるのですか?
(グレンコ・アンドリーさん)
「キエフから出るのは今のところ自由ですが、なるべく家に留まるようにという要請が行政から出ています。強制ではなく、なるべくということです。」

ロシア軍“ウクライナへ侵攻”の目的

ウクライナ侵攻の目的は?

Q. 東部の親ロシア派といわれる方の住民の人たちがずっとウクライナ政権から苦しめられていたんでそれを助けなきゃいけない。悪いのはウクライナ政権でありウクライナ軍なんでそこを攻撃しますよというのがプーチン大統領の言い分ですよね?
(軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん)
「そうですね。非常に矛盾しているのですが、東部の人を守るのがメインだと言っていながら、それを助けるためにはウクライナ軍を非武装化すると、要はウクライナ軍をせん滅すると、いうようなことを言っているので、話がかなり飛躍していうことですね。」

どこまで侵攻を続けるのか? プーチン大統領「非軍事化を目指すまで」

Q.「親ロシア派の住民」という言い方をプーチン大統領はしています。ウクライナはソ連が崩壊して出来た国で西部の方と東部の方は言語や宗教・文化も違うといわれています。本当に東部に親ロシア派といわれる方はいらっしゃるのですか?
(グレンコ・アンドリーさん)
「少しややこしいのですが、ウクライナ人の意識としては、7、8割くらいが独立派で、2,3割は親ロシア派と言われています。ただ、親ロシア派と言われている人たちが、みんな武器を持ってウクライナの人達と戦うという意思を持っているわけではなくて、ただ単に『ロシアと仲良くしたい、ロシアは良い国じゃないの?』と考えている一般市民なんです。8年前に東部を制圧した親ロシア派というのはロシアが主導して作った組織で、一部ウクライナ人も入っていましたが、あれは事実上、非正規のロシアの武装勢力なので現地の人ということではないです。」

Q.ウクライナはもうITの大国になっていて、その経済発展というのを国民は享受しているわけですから、いまさらロシアに戻るというのは考えにくいと思うのですが。
(グレンコ・アンドリーさん)
「それは、もちろんですよ。ウクライナの国民の圧倒的多数は独立派でありたいんです。ロシアの一部にはなりたくないんです。特に世代の間の感覚の違いがあって、高齢の人はまだソ連時代を覚えているので『ロシアはいい国じゃないの』という意識も強いのですが、独立後生まれた若い人はもう独立があって当たり前なので、今更ロシアの一部になる、もしくはロシアと組んで1つ同盟になるというのは考えてないんですね。」

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん

Q.ロシアはこの侵攻についてかなり作戦を練っていたのでしょうか?
(軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん)
「そうですね。何か月も前からスケジュールをしてそれに則って進めているということですね。ミサイルをもって制空権を取る、防空施設を叩いたというのは、かなり有効な攻撃です。驚いたのは、キエフの郊外の空港をロシアの空挺軍、本来であればパラシュートで降りて攻撃を仕掛ける部隊が、ヘリコプターで乗り入れて一時制圧したんです。スピードの遅いヘリコプターがキエフ郊外を堂々と飛行できるというのは、ウクライナ軍の対空・防空がほとんどもう使えないということですね。ベラルーシの国境から入ってきていますが非常に速い速度で侵攻しています。」

ロシアに対する追加制裁

Q.各国から様々な経済制裁がありますが、プーチン大統領はそれを気にしていないのですか?
(軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん)
「暗黒の90年代という言い方をするんですけれども、ソ連が崩壊してからロシア経済が最貧国というような屈辱的な10年間があったわけです。彼はロシア人のプライドを取り戻したいという意識が強くて、『ソ連の解体は間違いだった』ということで、プーチンとその仲間の哲学は“ロシアの栄光を再び”ということですから、今回の侵攻でロシアの経済的損失は大きいと思いますが、プーチン大統領とその仲間たちの損得勘定とは違うということですね。」

プーチン大統領は核兵器にも言及した(日本時間・2月24日)

Q.核をチラつかせるプーチン大統領の発言はアメリカを睨んだものだと思うのですが、アメリカがきたら「核を打つよ」といっているようなものですよね?
(軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん)
「そうですね。プーチン大統領自身は言った事以上に過激なことをやる人で、アメリカのバイデン大統領は介入しないと言っていますが、それが0%ではないので、何かあったときにアメリカ軍が来ないように、けん制をしたということですね。」

ロシア軍 2月25日にもキエフ到達の可能性

Q.キエフ陥落の目的はゼレンスキー政権の崩落ですか?
(軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん)
「そうですね。キエフを抑えて自分たちの息のかかった人間を担ぎ出して、彼らの要請により我々は来るんだということでキエフを制圧し新たな政権を作るのだと思います。」

Q.西側はNATO、アメリカを含め入っていけません、経済制裁のカードしか切れないわけですがこれは果たして効果はあるのでしょうか?
(軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さん)
「経済制裁は即効性のある、破壊力のある武器になるかというとなかなか難しいです。大きな経済制裁になると西側にもダメージを与えるので、そこが難しいんです。西側ができることは経済制裁でロシアを締めていくことしかできないわけですから、これからバイデン政権を中心に、さらなる経済制裁に進んでいくと思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年2月25日放送)

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