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【警鐘】日本の竜巻が“アメリカ化”している⁉同時に複数本発生の恐れも…都会のビル街も無関係ではない!専門家が語る発生の予兆と対策
2025年10月11日 UP
日本で発生する竜巻が、近年“アメリカ化”していると専門家が警鐘を鳴らしています。静岡県で発生した“国内最大級の竜巻”や、茨城県で見られた“複数同時発生”など、なぜ日本の竜巻は強力になっているのか、そのメカニズムと身を守る方法を三重大学大学院・立花義裕教授が解説します。
■国内最大級の竜巻に複数同時発生まで…「竜巻のアメリカ化が進んでいる」
2025年9月、日本各地で竜巻が発生し、大きな被害をもたらしました。
駅前の車を、1台、また1台と吹き飛ばす瞬間が捉えられた映像。9月5日に静岡県や茨城県で竜巻が発生し、被害は静岡県牧之原市を中心に甚大なものとなりました。
アパートの壁が完全に剥がれ、中が見えている状態に…。気象庁はこの竜巻の強さを推定風速75m/s、国内最大級の規模『JEF3』に相当すると発表しました。これは、アスファルトが剥離するほどの強さだといいます。
さらに、その約2週間後(9月18日)には、茨城県つくば市でも突風による被害がありました。映像には、渦を巻くように物が飛ばされている様子が映っています。
黒い屋根の建物は2階建てのうち、1階部分が崩れて倒壊。この日、つくば市では最大瞬間風速18.7m/sを観測。県全域に竜巻注意情報が出されていました。
9月に頻発している竜巻などの突風被害について、三重大学大学院・立花義裕教授によると、「竜巻は、これまでも発生はしていたんです。でも、これほど勢力が強いものは、あまりなかったんです。近年どんどん勢力が強くなってきており、竜巻のアメリカ化が進んでいる」ということです。
日本と比べ、竜巻の発生件数も勢力も格段に違うアメリカでは、2025年3月には南部などの8つの州で死者40人を出す大規模な被害がありました。立花教授によると、日本の竜巻がこの『アメリカ竜巻』に近付いてきているといいます。
実は、つくば市の建物の1階部分が崩れた突風のときにも、その付近を捉えた映像には、同じ雲から2つの竜巻のような茶色い柱が延びている様子がありました。
(立花教授)
「実は、勢力が強い竜巻は、同じ雲から同時に複数本、竜巻ができることがあります。日本では非常にまれですが、アメリカではよくあることなんです」
2022年、アメリカ・テキサス州で発生した竜巻の映像を見ると、確かに2つの黒い渦が見えます。
(立花教授)
「今後は、日本でも何本も同時に発生する竜巻が増える可能性があると、私は思います」
■都会でも発生する?竜巻発生のメカニズムと予兆
竜巻発生のメカニズムは、まず海面水温が上昇し、水蒸気が生まれ、雲が出来ます。その雲が積乱雲に発達し、巨大化すると、上昇気流が渦を巻きます。巨大な積乱雲から大きな竜巻が生まれ、そこから小さな竜巻が生まれるということです。
Q.アメリカは広大な土地があるため、竜巻も巨大化するイメージがありました。日本ではあまり大きな竜巻は来ないと思っていたんですが、違うんですか?
(立花教授)
「アメリカと違うところは、日本は周りが海なので、水蒸気が多いんです。アメリカの竜巻は水蒸気が少ない。ですが水蒸気が多い状態も竜巻が強い一因なので、そういう意味では、広大な陸地がなくても、起こり得ると思います」
Q.都会のビルがたくさんある所で、竜巻はできるんですか?
(立花教授)
「都会は凸凹しているので、元々は竜巻が出来にくいんですが、今回の牧之原市のような竜巻ぐらいのスケールになると、都会でもガンガン来ます。あれに近い被害が起きるかもしれません」
竜巻の予兆や予測について、立花教授によると「『竜巻が出来そうな巨大な積乱雲がある』という予測はできるが、竜巻は様々な要因が重なってできるため、予測は難しい」ということです。
よくニュースなどでも『竜巻とみられる突風』と報じられているのは、「気象庁の職員や専門家が事後の被害を検証して、竜巻か判断するから」だということです。
(立花教授)
「強風の原因は、たくさんあるので、竜巻かどうかは、現地に行って調べます。今は、皆さんが写真や動画を撮るから分かりやすいですが、ちゃんと現地に行って、竜巻か検証しています」
竜巻が発生するサインは、『低く黒い雲が接近してきている』『雷鳴・雷光がある』『急に冷たい風が吹く』、また、特に“音”に注意だということで、『ゴーッという音』や耳鳴りがあると竜巻が近いといいます。
(立花教授)
「竜巻の真ん中は、台風並みに気圧が低いんです。ということは、気圧が違うので、すごく強い風が吹きます。そうすると電線が揺れたり、ちょっとした隙間でピーピー音がなったりするんです。音が急に増してきたら、すぐそばに竜巻があるというサインです」
2025年9月18日のつくば市の突風が来た際の気温を見てみると、午後2時50分に32℃だったのが10分で7.7℃、20分で9.6℃下がったといいます。そして最大瞬間風速も、午後2時50分には6m/sで南から吹いていた風が、10分後には18.7m/sになり、北西からの風に変わったということです。
Q.音や気温や風向きなどの気候に敏感になることが大事ということですね?
(立花教授)
「そのとおりです。気象現象に敏感になれば、気付けます。急な風が吹いてくる、急に寒い風が来る、これに気付くことが大事です」
竜巻から身を守るためには、屋内に居た場合、カーテンを閉じ、窓から離れ、窓の少ない部屋(トイレや浴室)へ避難します。踊り場が内側にあるマンションの場合、そこに避難しても良いということです。
屋外に居た場合は、電柱や木から離れ、頑丈な建物(都市部などの場合は地下)へ避難してください。側溝などに伏せるのも良いということです。しかし、車・プレハブ倉庫などはそれごと飛ばされてしまう恐れがあるため良くないということです。
(「情報ライブミヤネ屋」2025年9月22日放送)


