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【異変】『7月に大災害』根拠ないウワサ拡散で香港からの訪日客減少 発端の“予言本”作者を直撃「安全対策や備えにつながること願う」
2025年6月8日 UP
今、一冊の本をきっかけに、爆発的に広まった根拠のないウワサで、香港からの観光客が減少しているといいます。今回、ウワサの発端となってしまった本の作者に直撃。世界を騒がせる事態となった今の心境とは―?
■“予言本”がきっかけで香港からの訪日客減少?
2025年5月21日に発表された、4月の訪日外国人の数は、2024年の4月より約3割も多い390万人。ひと月当たりでは1964年の調査開始以来、過去最多です。絶好調のインバウンドですが、実はある地域からの観光客が減るという現象が起きていました。
それは、香港です。
香港の航空会社、『グレーターベイ航空』は、搭乗客の減少を受け、2025年5月から成田や大阪、仙台、徳島への直行便を減便。2024年には、人口の3分の1以上に匹敵する人が訪れ、過去最多となった香港からの観光客でしたが、なぜ香港の人たちは今、日本に来ることを避けているのでしょうか?
(香港からの観光客)
「やっぱり、この本の“予言”。みんな知ってるから危ないと思った」
(香港からの観光客)
「『7月に大地震がある』と言っている」
『2025年7月、日本で大災害が起きる』という根拠のないウワサが香港で拡大しているといいます。
ウワサのきっかけとされるのが、1999年に出版された、たつき諒さんの漫画『私が見た未来 完全版』です。
作者自らが見た予知夢などの体験を描写した作品で、そこには『大災害は2011年3月』とあり、出版の12年後に東日本大震災が発生したことで、予言漫画として注目を集めました。
そして今回、ウワサになっているのは、「日本列島の南に位置する太平洋の水が盛り上がる。その災難が起こるのは、2025年7月です」という部分ですが、あくまでも作者のたつきさんが見た夢の話で、科学的根拠はありません。
(香港からの観光客)
「年明けに大勢の人が、この予言の話をしていた。信じている人は非常に多いです。7割ぐらい」
(香港からの観光客)
「半年前にYouTubeで見た」
「僕はネットで翻訳版を読んだ」
(香港からの観光客)
「みんなに(日本に)行くなって言われました。だから7月を避けて、5月に来た」
インタビューをした香港の12人のうち、10人がこの“ウワサを知っている”と答えました。さらに香港の著名な風水師も、「この夏に日本で大地震・大津波が起こる」と発言し、ウワサに拍車をかけたとみられています。SNSを中心に拡散し、特に東アジアで不安と恐怖が増大しているということです。
■なぜこんな事態に…香港の人々の気質も関係?
日本で5路線を運航する香港の『グレーターベイ航空』日本支社社長・伊藤弘輝氏は、このウワサの影響で「例年、予約数が多い3~4月が見込みより3割以上減となり、5月からの減便を決めた。それを補うために香港に行く日本人への販売促進などを積極的に行っている」と話しています。
そして、香港の人の“気質”について伊藤氏は―
(伊藤氏)
「香港の方々は信仰心が高いので、厳密に本の内容を、事細かに信じているというところは、誰から聞いてもわかる。大きな震災に遭っていない中で、天災・災害と共存してきた日本人と、全く異なる考え方を持って当然だと思います」
一方で、仙台空港で飛行機の定期便が減便となった宮城県の村井嘉浩知事は、「かなり非科学的な根拠で、それがSNSによって広がっていって、観光面で影響が出てくるというのはゆゆしき問題であると思う」と話しています
■世界を騒がせる事態になってしまった作者の心境は―?
この本の著者である、たつき諒さんに心境を聞きました。
(『私が見た未来 完全版』作者・たつき諒さん)
「皆様に高い関心を寄せていただいていることは、防災意識が高まっている証拠であり、前向きに捉えております。この関心が、安全対策や備えにつながることを願っております」
また、内閣府は2025年4月24日、公式Xに「日時と場所を特定して、地震を予知することは、現在の科学的知見からは困難」と投稿しています。
Q.橋下さんはどう思いますか?
(元大阪府知事・橋下徹氏)
「香港の方を責めることは出来ないと思います。我々だって、常に災害があることを認識して生活しようと言っていて、特に南海トラフ地震は、今後30年間に7割・8割の確率で発生するということを、日本人すら意識しているんです。だから『大丈夫』だけじゃなくて、『しっかり国を挙げて防災をやっているから、ぜひ来てください』という言い方をするべきじゃないでしょうか」
(「情報ライブミヤネ屋」2025年5月22日放送)


