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【密着】二人三脚でのローン返済にがん闘病…最愛の夫亡き後も「人生楽しまないとあかん」笑顔絶やさず前向きな81歳女性の“生きがい”
2025年7月6日 UP
2025年6月13日(金)は、2か月に一度の年金支給日。『ミヤネ屋』は、苦しい生活の中、前向きに生きる年金受給者に密着しました。ローン返済や夫のがん闘病、様々な苦労の中でも楽しむことを忘れない81歳女性の、今の“生きがい”とは―。
■ローン返済や夫のがん闘病に奔走…前を向き懸命に生きる女性
大阪府貝塚市で出会ったのは、月々約6万円の年金を受け取っている、中村一恵さん(81)。
現在は一人暮らしで、週に1回、娘さんが生活のサポートをしてくれるといいます。
一体、どんな生活をしているのか、自宅へお邪魔することに…。
Q.どれぐらいお住まいですか?
(中村さん)
「今年(2025年)で45年です。」
住まいは築45年の一軒家。収入は年金のみで、貯金を取り崩して生活しているといいます。
Q.どんな節約をしていますか?
(中村さん)
「やっぱり着るものを、できるだけ買わないように。これ、みんな10年以上前の服です」
1943年、現在の三重県伊勢市で、3男2女の長女として生まれた中村さん。22歳のときに、6歳年上の夫、浩之さんと結婚。マイホームを建て、2人の娘を大切に育ててきました。
(中村さん)
「紹介結婚・お見合いをして。ちょっと難しそうな感じ、一見ね。でも、お話ししたら結構、気を使ってくれはって。道を歩いていても水たまりがあったら、避けてくれたり、ケーキとか、私の好きな花も買ってきてくれたりしました」
幸せな新婚生活がスタートしたかと思いきや、当時はローンの支払いに相当苦労したといいます。
(中村さん)
「ローンを30年近く払いましたかね、主人が定年するぐらいまで。もう1軒、主人の親のローンも払っていたので、私は内職をしていました。ローンの1件目を、ちょっと支払うぐらい頑張ろうと思って」
家計の負担を少しでも軽くするため、中村さんはミシンを使ったタオルの仕上げ作業の内職を行い、50代になってようやくローンを払い終えました。
厳しい生活を夫婦の力で乗り越え、幸せな日々を送ってきた中村さん夫妻。ところが、21年前に、夫・浩之さんの体にがんがあることが判明しました。
さらにそれは、一度だけではなく…
(中村さん)
「一番初めは2004年に大腸がんで、ステージ4ぐらい。2011年は出血して、直腸がんになった。2015年は肺がんです。ヘビースモーカーだったので」
Q.がんの手術、1回分の費用は?
(中村さん)
「50万~60万円だったと思います」
中でも、直腸がんの際は、手術できる病院が近くになく、2人で奔走したといいます。
(中村さん)
「(手術をしてくれる病院を)ネットで色々調べたら、埼玉県にありまして、そこに直接、主人が電話したんです。2011年7月の初めに手術しました」
この時、中村さんは埼玉県内でアパートを借りましたが、病院から遠かったため、ホテルを予約して通うことに。ホテル代などの宿泊費に加え、退院後の診察などで、大阪と埼玉の間を何度も行き来することになり、費用は200万円以上かかったのだとか…。
そんな中村さんの献身的なサポートもあり、2015年には、すべてのがんが完治しました。そんな10年以上に及ぶ凄絶な闘病生活のさなか、中村さん夫妻は、人生に悔いが残らないように、あることを行っていました。
浩之さんの体調がいいときには、決まって、海外旅行に出かけたのです。
(中村さん)
「一番初めはオーストラリアに行って、そのあとヨーロッパの方へ。フランス・ドイツ・カナダなど。私が『海外に行ってみたい』と言ったんですよ。主人が元気になった“今のうちに楽しい生涯を”と思って、その時お金を使い過ぎたから、今、大変です(笑)」
夫婦の時間をかみしめるように、たくさんの思い出を紡いできた中村さん夫妻。
2023年1月6日、夫の浩之さんが誤嚥性肺炎により、病院で息を引き取りました。85歳でした。
浩之さんが亡くなる数週間前、新型コロナの影響で、病室への立ち入りが制限されていたため、リモートで面会を行いました。次第に話すこともままならなくなっていく浩之さんに、中村さんが渡したのは、一通の手紙…。
(中村さんの手紙)
『お父さん、大丈夫ですか。私も頑張ってるから、お互いに頑張りましょうね』
浩之さんからの返事の手紙は、笑顔であふれた夫婦の写真と共に部屋に飾られていました。
(浩之さんからの手紙)
『一恵へ。11月2日、体は元気にしているよ。又、旅行に行きましょう。浩之』
(中村さん)
「(海外旅行も)行って良かったと思います。良い思い出ができましたしね。お金には換えられないこともあります」
■年金支給日には自分にご褒美!中村さんの今の“生きがい”
2か月に一度の年金支給日は、娘さんの車でお出かけするのがルーティーンです。
まずは郵便局へ。2か月分の年金が振り込まれているかを確認します。
続いて向かったのは『くら寿司』です。実は、こちらの『くら寿司』には、全国で唯一、魚の市場が併設されており、各地の漁港から仕入れた新鮮な魚が30~40種類ほど販売されています。
キハダマグロとイサキとアナゴをカゴに入れていく中村さん。
(中村さん)
「きょうは年金を頂いたから、ご褒美です(笑)」
新鮮な魚を買って、自宅で食べるのが、2か月に一度のご褒美なんだとか。
現在の収入は、自身の年金と夫・浩之さんの遺族年金を合わせた十数万円。週2回、デイケアに通い、マッサージなどの軽い運動や、同年代の友人らと楽しく過ごしています。
そんな中村さんの今の“生きがい”を聞いてみると―
(中村さん)
「森進一さんです。ファン歴40年以上。昔はツアーでハワイまで行きました。主人も森さんの歌が好きで、『襟裳岬』とか、一緒に歌ってました。やっぱり、人生は楽しまないとあかんからな、ということで、今も、どうにか一人ですけど、やっていけていると思います」
亡き夫の分も、今を懸命に生き抜き、笑顔が絶えない中村さんでした。
(「情報ライブミヤネ屋」2025年6月16日放送)


