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民泊ではない?“一軒家型ホテル”が増加

【ナゼ】「夜中に宿泊客がうちのインターホンを…」問題化する一軒家型“名ばかりホテル” 民泊と何が違う?規制の隙間を突いた新業態の光と影

 今、東京・目黒区で、民家を転用した新たな宿泊施設“一軒家型ホテル”が増加し、問題となっています。民泊とは何が違うのか?なぜ増加しているのか?現地を取材しました。

■区議も問題視する“名ばかりホテル” 取材班が現地で見たものとは?

目黒区内のホテルを調査する目黒区議・白川愛氏

 民家を転用した宿泊施設といえば、海外からのインバウンド客の激増に伴って増え続けてきた『民泊』です。番組でも、一部の施設で起きている迷惑行為について、取材を続けてきました。こうした中、主に海外からの観光客向けの宿泊施設に“新たな流れ”が生まれているといいます。

(目黒区のホテルを調査する目黒区議・白川愛氏)
「“名ばかりホテル”です。戸建ての旅館に関しては、そうだと思っています」

 白川氏の言う“名ばかりホテル”問題―実は目黒区で、新 たな宿泊施設の形として、旅館業法の許可を正式に取得し、一軒家をホテルに転用するケースが急増しています。

目黒区の住宅街に“名ばかりホテル”が急増

 番組取材班は、実際に現地を見に行ってみました。

 1軒目は、渋谷の繁華街から近い住宅街です。個人名が書かれた表札がある3階建ての一軒家ですが、玄関のハンドルにはキーボックスがかけられていて、ホテルの名前と連絡先が書かれた紙が貼ってありました。

 2軒目は、東急目黒線・武蔵小山駅に近い閑静な住宅街です。一軒家にも集合住宅にも見える戸建てですが、表には目黒区に登録されているホテル名の書かれたプレートが貼ってありました。

 3軒目は、目黒区内の静かな住宅街です。ただの一軒家に見える戸建てのドアには、英語で建物名が書かれていましたが、『〇〇ホテル』『△△旅館』といった宿泊施設を示すような表示は一切ありませんでした。

■近隣住民からは苦情や不安の声 事業者による対策は?

現地では迷惑行為も…

 変わってしまった環境に、近隣住民は大きな不安を感じているといいます。また、すでに起きている迷惑行為の証言を聞くことができました。

(近隣住民)
「酔っぱらって、壁が壊れるぐらいドンドンドンドンと叩く」
「駐車場でタバコを吸っている外国人からにらまれて怖かった」
「夜中に、宿泊客がホテルと間違えて、うちのインターホンを押すことが何度もあった」

増加の一途を辿る苦情などの件数

 近隣への迷惑行為はどうすればなくせるのか、取材した物件の多くの事業者からは、回答を得られませんでした。しかし、ホテル開業前に近隣に告知のチラシを配り、説明を行った事業者が、取材に答えてくれました。

Q.客による“迷惑行為”をなくす秘策はありますか?
(都内で約100軒の“一軒家型ホテル”を経営する(株)ISJ・山田創太社長)
「渋谷区とか目黒区の(うちの)物件は、一泊当たりの単価が結構高いんですよ。やっぱり安い物件に泊まられる方は、トラブルも多くて…」

 山田社長は、“宿泊料の単価を引き上げて客の質を上げることで、近隣住民の理解を得られる”といいます。一方、目黒区内の『旅館・ホテル営業』への苦情などは、2021年度に54件でしたが、2025年は6倍以上の349件に激増しているのも事実です。

■規制の隙間と法改正か?“一軒家型ホテル”増加の原因

目黒区内で旅館・ホテルが急増

 目黒区では2018年以降、民泊の数は、ほぼ横ばいが続いています。ところが、2018年には27軒だった旅館・ホテルの数が、2025年は80軒と約3倍にまで増加していて、“一軒家型ホテル”が増えたとみられています。

民泊との違いは?

 民泊は通常、年間180日営業が許可されていますが、目黒区は条例でウィークデーの民泊営業を禁止し、「年間104日のみ営業可能」と厳しく制限しています。しかし、『旅館業法』という国の法律は“一軒家型ホテル”にも適用され、営業日数に制限なく年間365日の営業が許可されます。

(目黒区議・白川氏)
「民泊は目黒区の条例で『平日は営業できない』と規制できていますが、旅館業法は国のほうで規制できず、365日、営業可能です。収益のことを考えたら、事業者は同じ物件ならあえて収益性の低い民泊より、収益性の高いホテル・旅館にしたほうが良いわけですから、当然そっちが増えていくのは目に見えていると思います」

対面チェックイン不要となったが…

 また、“一軒家型ホテル”が急増するもう一つの要因は、2025年4月1日から変わった『フロント要件』です。厚生労働省は2025年、急増する外国人観光客によるホテル不足を解消するため『旅館業法』を改正し、これまで必須条件だったフロントでの対面チェックインを不要としました。これにより、住宅街の“一軒家型ホテル”は従業員が常駐することなく、ネットや自動チェックイン機を使って、世界中から観光客を呼び込むことが可能となりました。

 ただ、“一軒家型ホテル”を経営する(株)ISJ・山田社長は、「ホテルの近隣住民が苦情の連絡をしても、全然対応しない業者もいると聞くので、24時間対応は必須だと思う」と話していました。

■規制緩和を見直す時期に?目黒区は独自の営業規制に乗り出す

目黒区の規制強化案

 目黒区が直面する“一軒家型ホテル”の問題は区議会でも議題に上がり、目黒区は2026年2月25日、旅館・ホテルの営業規制に乗り出しました。目黒区議・白川氏によると、規制強化案として『周辺住民への事前周知の義務化』『宿泊者への事前説明会の実施』『営業者の連絡先等の明示』『営業従事者の常駐』が挙がっているということです。

杉村太蔵氏

(杉村太蔵氏)
「この大きな流れとしては、安倍政権の時に、菅官房長官が旗振り役になって『民泊』などの規制を緩和しました。当時はオリンピックもあったし、これからインバウンドを増やしたいけどホテルが少ないということで、規制を緩和して民泊が増えました。ただ、騒音などの近隣トラブルも出てきました。だから、規制緩和には功罪あるんですが、今、見直しの時期に来ているのも事実かなという気がします」

元日本テレビ解説委員・近野宏明氏

(元日本テレビ解説委員・近野宏明氏)
「今のお話で思い出したのは、アメリカ型です。アメリカは、まずやってみてダメな所があったら直していくという法律のプロセスを踏むことが多いので、日本でもこれだけオーバーツーリズムが問題になってきていますから、もしかしたら、これは法律を見直す良いケースになるかもしれません」

( 杉村氏)
「なぜ、こういうことをしようとしたかというと、恐らく『地方創生』が一番のポイントだったと思うんです。日本にはいろんな素敵な町がありますが、なかなかホテルが進出できない一方、空き家が多いということで、何とか工夫して泊まっていただこうという話でした。それが、まさか東京のド真ん中でこういうことが起きるのは意外だったということなら、規制緩和した後の再規制は難しいですが、何か弊害があったら随時変えていく勇気は必要だと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2026年2月27日放送)

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