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プロスケードボーダー・上田豪さん

【独自解説】金・銀メダル!スケートボード女子パーク プロスケーターが明かす強さの秘密と前日秘話『金メダル取る夢を見た…』

日本が金メダル&銀メダル!

オリンピックの新競技、「スケートボード女子パーク」 が8月4日に行われ、日本の四十住(よそずみ)さくら選手19歳が見事、初代・金メダリストに輝きました!!さらに、12歳の開心那(ひらき・ここな) 選手が銀メダルを獲得し、オリンピック日本人最年少出場にして最年少メダリストに!!また 岡本碧優(おかもと・みすぐ) 選手15歳も4位入賞!10代の女性が真夏の東京で躍動しました!!

日本代表選手のことをよく知るプロスケートボーダーの上田豪(うえだ・ごう)さんが独自解説します。

(プロスケートボーダーの上田豪さん)
Q.スケートボード、えらいことになりましたね?
「予想はしていたのですけど、実際にこうなってみると、自分もいま信じられない気持ちでいっぱいです。メダルを取った瞬間、大泣きしました」

決勝戦で大技連発 四十住選手の作戦とは?

8月4日に行われた決勝戦。日本人選手、最初の滑走者は19歳の四十住(よそずみ)さくら選手。

(実況 決勝1回目)「夏のサクラは、早くも咲いたか!?」

60.09 の高得点で暫定1位に躍り出る!!!

(上田豪さん)
Q.四十住選手の予選はなかなか得点が上がらなかったが、決勝の1本目で見事に決めましたね。
「彼女は、予選はあくまでも予選を通過するランで、決勝に全てを残しておいた。(技は温存していたということ?)そうです。完全に温存です。(そういう駆け引きはあるのですね?)ありますね。予選と決勝合わせて6本滑るので、手の内は見せないというのは、戦いの中ではあると思います」

Q.大技「ファイブ・フォーティー」が凄いですね?
「1本目のファイブ・フォーティーは板を掴まないでノーハンドで回った。これが凄い。そしてそのまま、次もファイブ・フォーティー。ここが勝負の決め手になりました」

そして、1回目で58点を超え2位につけている12歳・ 開心那(ひらき・ここな) 選手の2回目。1回目を上回る59.04を記録!!

(上田豪さん)
Q.開さん、12歳ですよ。どういう選手ですか?
「さくら選手と同じで、3人ともスケートボードが大好きで、『もう止めなさい』とストップが入るまでずっと滑り続けています。開選手は“カッコイイ滑り”が、彼女のアイデンティティになっています」

Q.3歳のころからやっているが、ある意味、恐怖心との戦いですね?
「まさしくその通りだと思います。ケガは、やっぱりよくありますね。そこを克服してみんな乗り越えていきます」

日本選手2人が金メダル、銀メダル

そして、予選トップ通過、世界ランク1位、15歳の岡本碧優(おかもと・みすぐ) 選手。大技 「ファイブ・フォーティー」を決勝で見事に決めたが、演技後半で惜しくも着地に失敗。それでも高い演技構成で、4位入賞を果たしました。

(上田豪さん)
Q.4位の岡本選手は最後失敗しましたけど、あれは世界ランク1位のプライドなのでしょうね?
「メダルを取りたいという気持ちが、最後のトリックですね。板を引き込んで自分の足元に持って行くその姿が、スケートボードでなく、僕はメダルに見えました」

Q.岡本選手が失敗したけど、他国の選手が来て彼女を担ぎ上げたのは、『凄いチャレンジをした』というリスペクト(尊敬)なのですね?
「彼女にとって一番の強みは、このエアの高さ、爆発力なんですよね。そこは誰も勝てないです。世界で、さくらが金を取ったいまも、この岡本選手のエアは断トツのナンバーワンなんですよ。それを出し続けてここまで引っ張ってきたのは、間違いなく岡本選手なのです。そこに対するリスペクトだと思います」

熱戦の結果、唯一60点を超えた四十住(よそずみ)選手がそのまま逃げ切り、この競技の初代・金メダリストに!!!さらに、12歳の開心那(ひらき・ここな)選手が銀メダルを獲得し、オリンピック、日本人最年少出場にして最年少メダリストとなりました。

(上田豪さん)
Q.四十住さんの金メダルの要因は?
「努力の賜物ですね。スケートボードが本当に大好きで、1日7~8時間当たり前のように練習しますし、我々と一緒に練習する時には、我々3人でさくら1人にぶつかって行くという感じです」

前日に口にした「金メダル取りたい」…夢が正夢に!

四十住選手(左)と上田豪さん(写真提供:上田豪さん)

(金メダル 四十住さくら選手(19)・試合後のインタビュー)
「金メダルが取れてうれしいです。スケートボードは楽しいスポーツなのでなので、やってみてください。(銅メダルの)スカイとここなは仲が良いので、一緒に表彰台に登れてうれしいです。すごく楽しいです」

(上田豪さん)
Q.四十住さんと家族ぐるみのお付き合いということですが、連絡はとられましたか?
「昨日も連絡とって、さっきも滑っている最中にさくらから連絡がきました。『決勝残ったよ』とか、『金メダル取ったよ』とか。本当に仲いいんですよ。昨日、『明日の目標は?』と聞いたら、さくらの口から初めて『ノーミスで滑りきる』と言ってきたので、『本当のこと言ってくれ』と言ったら、『金メダル取りたい』って初めて口にしたんですよ。『やっと言ったな。もう一回言ってみろ』と言ったら、『金メダル取りたい』と初めて言ったんですよね。そして僕に『内緒だよ。きのう金メダル取ってガッツポーズしている夢を見た』と言ってきたんです」

四十住選手を支えたお母さんと地元の後押し

表彰台の頂点に立ち、はじける笑顔を見せた四十住(よそずみ)選手。スケボーひと筋!19歳の素顔とはー

4年前、高校1年生の四十住選手。練習時間を確保するため、定時制に通っていました。

(四十住さくら選手(当時高校1年))
「自分の練習とか、夢に向かって応援してくれる高校だと思ったので、あっていると思った。保育園の先生になりたいと思っていたけど、スケボーに出会ってからはスケボー一心になったんで」

学校が終わると、すぐに練習へ。地元・和歌山には本格的なスケート場がなく、大阪や神戸、ときには名古屋まで行き、夜遅くまで練習に励んできました。それを支えてきたのは、お母さん。

(四十住さくら選手)
「遠い練習場まで運転してくれるから、その分頑張らないと。東京オリンピックで金メダルをとって、それをプレゼントに」

東京オリンピックでの金メダル。それを夢見て過ごしたスケート漬けの日々。そんな努力が実を結び、2018年にはアジア大会と世界選手権を制したのです。一躍、東京オリンピックの金メダル候補に躍り出た四十住選手をさらに後押ししたのがー

(四十住さくら選手)
「まだ完成していないんですけど、いま作ってもらっているプライベートパークです」

なんと去年、地元の協力もあって、プライベートの練習場「サクラパーク」が完成したのです。

(四十住さくら選手)
「家から10分のところにあるので、これまでの往復3時間の分、練習できるし、もっと難しい技に挑戦したい。ここで寝るのもいけどね、家みたいやから」

練習環境も整い、さらに高みを目指す19歳。そんな四十住選手の武器は、バックサイド540(ファイブ・フォーティー)、空中で体を1回転半させる大技。その大技を武器に夢の舞台へ挑みました!!

銀メダルの開選手 海外からも注目の“マスター”

(銀メダル 開心那選手(12)・試合後のインタビュー)
「今は本当にびっくりしています。2位になれるなんて思っていなかったので。プレッシャーとか全然感じないので緊張もしていなくて、本当に楽しんでいただけです」
「自分のかっこいい滑りを見せられて、2位を取れて本当にうれしいです」

そして、夏のオリンピックで日本人、最年少“銀メダリスト”に輝いた開心那(ひらき・ここな)選手、12歳!おととし、なんと10歳で日本選手権を制覇!11歳になると、日本だけに留まらず、アメリカやフランスなど世界を舞台に活躍するスケーターに成長。

その開(ひらき)選手が得意とする技が・・・スケートボードの先端を滑らせる「ノーズグラインド」!長く滑らせるほど、高得点となる“難易度”の高い技。この技を得意とする開選手は、「ノーズグラインド・マスター」と異名がつくほど海外からも注目されています。

両親にすすめられ、5歳で本格的に始めたスケートボード。当然、思い通りに滑ることができないことも…。しかし―

(開心那選手)
「結構痛いときもあるけど…傷とか、アザだらけ。これが楽しいから、やめられない」

何度も何度も、自分が納得するまで技に向き合う開選手。そんな彼女の夢は…

(開心那選手)
「世界一かっこいいスケーター」

8月5日出場、平野歩夢選手 メダルの可能性は?

8月5日に行われるスケートボード男子「パーク」では、スノーボードで五輪2大会連続銀メダル、さらに史上5人目の夏冬オリンピック出場となる平野歩夢選手(22)が出場。    こちらもメダル獲得が期待されます。

(上田豪さん)
Q.平野歩夢選手のメダルの可能性は?
「難しい部分はあるかもしれません。パークの男子は非常にレベルが高くて、アメリカ勢、ブラジル勢がもの凄く強いんです。我々は入賞してもらいたいなと。代表入りから3か月の間に『命を懸ける』という言葉を言ったので、何か凄い技を練習しているのではないかと思います」

Q.有明のスケートボードの会場を、江東区長によると東京オリンピックのメモリアルパークとして残す方向で都と調整しているということですが?
「ここは聖地ですね。本当に嬉しいです。ついさっきなので、それまでは取り壊す、無くなると聞いていたので、残していただくというのは、日本人選手みなさんのおかげです」

Q.日本は練習環境が良くないのに、なぜこんなに強いのですか?
「SNSの普及で、間近で動画を見られること。スケートボードの強みというのは、目の前でライバルや仲間たちと技を競い合う、目の前で見せ合うということが、一番簡単に出来るのです。空気感や練習している感覚が共有できます。また、100回乗れなくても、101回目に乗れると思ってやります。日本人のコツコツとした努力の積み重ねができることが、スケートボードにはまってきたのかもしれませんね」

(情報ライブミヤネ屋 2021年8月4日放送)

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