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「質問権」の行使に着手

【独自解説】初開催の「専門家会議」に紀藤弁護士&エイト氏が指摘する不安と懸念、”統一教会”への解散命令請求に今必要な3つのコト

岸田首相が年内に着手すると語った「質問権」の行使ですが、「質問権」は過去に行使された例がないため、行使する際の基準を検討する「専門家会議」が招集され、10月25日にその初会合が開かれました。「専門家会議」は今後数回開かれる見通しで、基準が設定されたのち、宗教法人審議会で調査に関する質問案や「質問権」を行使するのかどうかも議論する予定です。今後、解散命令の請求まで進むにあたって気になる点を、紀藤正樹弁護士と鈴木エイト氏が解説します。

「質問権」とは?

「質問権」とは、法令違反などの疑いのある宗教法人に、文部科学省などが運営の実態や報告を求め質問できる権利のことです。質問に応じない、または虚偽の報告をした場合は、代表の役員に対して10万円以下の過料が科せられることがあります。この調査の結果次第では、宗教法人の「解散命令」につながる場合もあるといいます。

紀藤正樹弁護士

Q.今回の「専門家会議」に気になる点があるそうですが…
(紀藤弁護士)
「今回の『専門家会議』は、『宗教法人審議会』のメンバーから選ばれています。『宗教法人審議会』は、『質問権』を行使する場合に、その質問の正当性を諮問されるところです。その審議会と同じメンバーが『質問権』を行使する基準を決めるのは、正当性がどうなのか心配です。私は文化庁の宗務課で基準を決めた上で、『専門家会議』はそれを判断するくらいにしないと、質問者の意図が基準作りに影響したと思われる恐れがあるので、その正当性が疑われるのではないかと思います」

岸田首相「民法も不法行為も入り得る」

 岸田首相は10月19日、「個別事案に応じて、解散命令の請求について判断すべきであり、行為の“組織性”や“悪質性”、“継続性”などが明らかになり、宗教法人法の要件に該当すると認められた場合には、民法の不法行為も入り得る」としました。

鈴木エイト氏

Q.「民法の不法行為も入り得る」となりましたが、気になる点はありますか?
(鈴木氏)
「“統一教会”がどういう団体なのかを、政府がきちんと認定していないことが問題なのですが、民法上の不法行為も入るとなると、使用者責任も入るということになります。そこには“濃いもの”と“薄いもの”があるので、どこで線を引くのかの立て付けを、しっかり設定する必要があります」

(紀藤弁護士)
「『解散命令の請求について、民法の不法行為が入り得る』ということになると、“組織性”が必要なのかという議論も出てきます」

岸田首相、元信者との面談を明言

 また岸田首相は、「元信者と面会する」と明言し、政府として被害実態の聞き取りを行う方向で調整を進めていることを明らかにしました。
Q.この政府の姿勢に関してはどう思われますか?
(紀藤弁護士)
「私はとてもいいことだと思います。実は被害者との面談だけでなく、政府として被害弁護団の意見を聞きたいということも明言されたので、『質問権』の行使の基準であるとか、『質問権』の内容を我々弁護団とも協議する場を文化庁の中に作っていただきたいと思います。しかし、基準作りは文化庁宗務課で考えればいい事なのに、わざわざ『専門家会議』を開くというのは、個人的には質問案を作る時間稼ぎに見えています」

岸田首相、元信者との面談を明言

Q.これから「解散命令」の請求まで進めるにあたって、気になる点はありますか?
(紀藤弁護士)
「最終的には『解散命令』が下るような証拠が必要です。基準作りも、質問の案も、証拠収集も同時に進めないと、迅速にスピード感を持って『解散命令』の請求ができないと思います。現時点で政府が、民事事件以外の証拠をどの程度つかんでいるかを、ある程度公開していかないとだめだと思います。また、行政処分の基準は基本的に公開されていますので、今回の場合も、たとえ抽象的であっても基準は公開しないといけません。その上で『質問権』を行使するという立て付けでないと、年内行使は間に合わなくなるのではないかと恐れています」

(情報ライブミヤネ屋2022年10月25日放送)

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