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イランはどんな国?

【歴史】かつては親米だったイランはなぜ反米に?社会の発展が進むも体制が変わらない理由とは…知られざる激動の歩みを解説

 アメリカとイランの対立が激化していますが、かつて親米だったイランは、なぜ反米国家へと変貌したのでしょうか。社会発展も進む中、体制転換が起こりにくい理由とは。石油国有化を巡る争いから『イスラム革命』を経て、現在まで続く両国の対立の歴史を、専門家と共に紐解きます。

■女性の高等教育やインフラも…進むイランの社会発展

石油大国イラン

 中東の石油大国イランは、国土が約165万㎢で、イスラエルの75倍もあり、人口は約8900万人です。首都はテヘランで、世界遺産の『イマーム広場』や『ペルセポリス』があり、原油生産量ランキングは世界5位ということです。

慶應義塾大学・田中浩一郎教授

Q.女性には『ヒジャブ』という布の着用義務があるなど、厳格なイスラム教である一方で、教育水準も高く、女性の社会進出も徐々に進んでいるといわれていますが、現状はどうですか?
(慶應義塾大学・田中浩一郎教授)
「今の体制に対して、色々不満や反感を持っている人もいますが、色んな数字だけで見ていくと、革命から47年の間に社会の発展というのは、ずいぶん進んでいます。識字率や女性が高等教育を受ける比率など、国の隅々まで電気が通っているという開発などは、なかなか侮れないところはあります」

教育アドバイザー・清水章弘氏

Q.厳格なイスラム教の教えを守り、不自由な暮らしだろうなと思う一方でも、体制転換が起こりにくいというのは、教育が影響しているのでしょうか?
(教育アドバイザー・清水章弘氏)
「そう思います。イランというのは、『イスラム革命』前後で教育がさらに変わっていて、愛国教育が進み、宗教色が強まったんです。さらに言えば、2025年の“12日間戦争”のあとも、国防を中心に、小学校から高校まで、イランの教育省主導で、愛国教育や宗教教育というのがさらに強まっていますので、数十年間にわたって国民のイデオロギーとして愛国・宗教というのがありますから、なかなか体制転換は起こりにくいんじゃないかと思いますね」

■始まりは石油国有化を巡る争い?イランが親米から反米になったきっかけとは

石油国有化を巡る争い

 『CNN』によると、1951年、モサデク首相が就任直後に石油会社の国有化を図りました。これに対してアメリカとイギリスは反発し、当時アメリカは、石油政策などについてイランと交渉しましたが、成果を得ることはできなかったといいます。

 そして1953年に、アメリカのCIA(米中央情報局)とSIS(英秘密情報部)がプロパガンダ戦略を駆使し、クーデターを画策。大規模な反政府デモが実現し、モサデク首相が失脚しました。その後、ザヘディ首相が新政権を発足させると、石油国有化を事実上、撤廃。CIAは新政権に安定を与えるために、首相就任後、500万ドルを秘密裏に用意したということです。

 田中教授は「親米の傀儡(かいらい)政権が作られるきっかけとなり、アメリカは国王の後ろ盾となった」と話しています。

親米から反米への歩み

 1961年のパーレビ国王時代には、『白色革命』というものを起こしました。土地改革や、女性に選挙権が与えられ、街ではミニスカート姿の女性が増加しました。しかし、田中教授によると、「権益を奪われた宗教勢力と地主たちが不利益を被り、反王制につながった」ということです。

 そして1979年に、『イスラム革命』が起こります。『CNN』によると、何百万人もの国民が国王政権に異議を唱え、欧米支援の政権が終結し、再び聖職者による支配へと変わりました。

 『AP通信』によると、1979年11月に、学生が、アメリカ大使館を占拠する事件が起こり、アメリカ人52人を444日間にわたって監禁しました。これにより、両国が敵対関係となり、アメリカとイランは国交断絶することになったということです。

早稲田大学・中林美恵子教授

(早稲田大学・中林美恵子教授)
「この国交断絶が今も続いているという状態です。今、アメリカは、産油国になっていますから、当時と状況が違いますが、当時は本当に、石油やエネルギーというのは、産業のすべての礎だったんです。この利権に対する反発は非常に大きくて、その後もイランと、アメリカのこじれた関係が続くきっかけになっています。さらにアメリカは、イランが革命を起こしてから、多くのテロ組織を支援しているとも言っていて、そういったテロ組織への支援なども含めて、“反イラン”となっていったというところもありますね」

(「情報ライブミヤネ屋」2026年3月9日放送)

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