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【独自解説】金正恩総書記、軍事パレードに“白い軍服”の意図は「米韓に対する強い意思表示」ウクライナ情勢で核実験早まる可能性も?専門家が分析
2022年5月2日 UP
北朝鮮は4月25日、「朝鮮人民革命軍」創設90年の節目にあわせて大規模な軍事パレードを開催しました。公開された映像では、金正恩(キム・ジョンウン)総書記のそばに、今回も“謎の女性”の姿が…彼女は一体何者なのでしょうか?さらに、強く反発していた米・韓合同軍事演習が28日に終わり、“何らかの動き”があるとみられています。噂される「核実験」のXデーはいつになるのでしょうか?北朝鮮情勢に詳しい、「コリア・レポート」編集長、辺真一(ピョン・ジンイル)さんが解説します。
金正恩総書記“白い軍服”の意味は?
4月25日に行われた過去最大規模の軍事パレードでは、スカイダイビングや花火の打ち上げなど派手な演出と共に、新型とみられるSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)や、ICBM(大陸間弾道ミサイル)、「火星17」など様々な兵器が公開されました。金正恩総書記は演説で、「いかなる勢力であれ、軍事的対決を試みるのであれば、彼らは消滅する。わが国の利益を脅かすのならば核攻撃も辞さない!」と述べた上で、核・ミサイル開発を加速させる方針を強調しました。
Q.SLBMや「火星17」が登場するなど、演出が物々しいですね?
(コリア・レポート 辺真一編集長)
「ありとあらゆる兵器を登場させ、非常に気合が入っています。その象徴が、金正恩総書記が白い軍服・元帥服姿で現れたことです」
聯合ニュースによると、「白い軍服」は“元帥(げんすい)”服といわれ、軍の最高位の軍服だということです。金正恩総書記は、2012年に“共和国元帥”の称号を授与されましたが、公の場で着用したのはこれが初めてだといいます。さらに、金正恩総書記の元帥服の肩章に“大元帥”の階級章と推定される形が確認されたと報じています。辺編集長によると“大元帥”の称号は、「生存中の授与は祖父・金日成(キム・イルソン)主席のみで、父・金正日(キム・ジョンイル)総書記は亡くなった後に授与された」ということです。
Q.今回のパレードに「白い軍服」姿で現れた意図は?
(辺編集長)
「金正恩総書記は演説の中で、『我々はいかなる戦いにも、自信を持って準備が出来ている』と発言しています。これは、『いかなる米韓の軍事的行為に対しても、用意周到・準備万端にできている』という強い意思表示として、軍服で現れたのではないかと見ています」
Q.“大元帥”の階級章を付けていたということは、祖父の金日成主席に並んだということなのでしょうか?
(辺編集長)
「そうですね、私からすると少し早いのではないかという感じもします。金日成主席は80歳の時に授与されたのですが、金正恩総書記はまだ38歳ですから。それで祖父と肩を並べたというのは、あまりにも若すぎるという感じを受けます」
“謎の女性”は異母姉・金雪松氏なのか?
さらに辺編集長が注目したポイントは、金正恩総書記の側にまたしても“ナゾの女性”が登場したことです。今月に入って頻繁に姿を見せるようになった、金総書記の異母姉・金雪松(キム・ソルソン)氏との見方もされているこの女性。4月15日に行われたパレードでも、金正恩総書記の近くにいることが確認されています。今回の軍事パレードでは、金正恩総書記が子どもから贈られた花束を受け取る係だったということですが、一連の“謎の女性”は「同一人物でない」という報道もあり見方が分かれています。
Q.この女性が、もし金総書記の異母姉・金雪松氏だとすれば、金ファミリーでも特別な存在なので、“金日成・金正日”バッジを付けるか付けないかは、自分の意思でできる可能性があるということですか?
(辺編集長)
「金雪松氏ならば、金日成主席が溺愛した孫だということと、金正日総書記にとっては長女ということで、長女は朝鮮半島の一般の家庭ではものすごい力を持っているんです。韓国では別人ではないかとも言われていますが、これまで金正恩総書記の付き人の女性は二人しかいません。一人は玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏、もう一人は妹の金与正(キム・ヨジョン)氏ですが、この金与正氏が引っ込んでこの女性が出てきたということは、やはりその姉である金雪松氏の可能性が高いのではないかと思います」
Q.この軍事パレードでは、金与正氏の姿が確認できなかったということなのですが、どう見ますか?
(辺編集長)
「映像に写っていなかったので、もしかしたらパレードに出席しなかったのではないかということなのですが、北朝鮮で再放送された映像を見ると、子どもたちからの花束贈呈のときの後ろの方に、チラッと写っていたことが確認されたんです。それから、この軍事パレードが終わった後、金正恩夫妻が宴会の会場に入るときに後ろに立っていたということも、映像の中に含まれておりました」
Q.金与正氏は“謎の女性”と立場が入れ替わってしまったのでしょうか?
(辺編集長)
「恐らく、役割分担があるのだと思います。仮にこの“謎の女性”が金雪松氏ならば、明らかに妹の金与正氏より格上なので、彼女は今後全面に出てきて、『金正恩総書記の付き人』という形で影響力を行使していくのではないかと思います」
演説で核開発に言及…Xデーは来るのか?
Q.金正恩総書記の演説では、核についての言及もありましたが、ロシアの影響も大きいのでしょうか?
(辺編集長)
「金正恩総書記は演説の中ではっきりと、『力と力がぶつかっている現情勢下』という言葉を使っているんです。その上で『核武力を最速で強化・発展させる措置を、今後も継続して行う』という表現を使ったということは、核実験、ICBM発射、さらには新型のSLBMの発射実験、加えて偵察衛星の一連のミサイル発射が、我々が想定しているよりもっと早く起こるのではないかと思います」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年4月28日放送)


