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「“南鳥島は中国の領土だ”と言いかねない」日本が発見したレアアース泥に高まる期待と懸念 脱“中国依存”は実現可能?揺れる日中関係の行方
2025年12月11日 UP
日中関係悪化で様々な分野に影響が出ている一方、「今こそ“中国依存”脱却へ」という声も。果たして、今後の日中関係の行方は?元自民党・幹事長の石原伸晃氏、読売テレビ・高岡達之特別解説委員と考えます。
■日中関係悪化、長期化で物価高に影響は?
日中それぞれの貿易総額に占める割合です。日本から中国への輸出入は、約17%(2005年)から20%(2023年)に増えていて、日本にとって中国は最大の貿易相手国です。一方、中国から日本への輸出入は、約11%(2005年)から約5%(2023年)に減っていて、中国にとって日本は3番目の貿易相手国です。
『野村総合研究所』エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「中国から見た日本は貿易相手国としてそこまで大きくないため、中国は打撃を受けるのは日本のほうだと考えている」と分析しています。
また木内氏は、大豆・トウモロコシなどの農作物や、おもちゃ・洋服などの『メードインチャイナ製品』の輸出を中国がストップした場合、日本で品不足になり物価高につながる恐れがあるといいます。
中国からの圧力は過去にもありました。2023年には福島第一原発の処理水の海洋放出を受け、日本の水産品の輸入を停止しました。2010年に尖閣諸島沖で漁船の衝突事故があった際には、レアアースの輸出を一時ストップしていました。
Q.一時は何でもメードインチャイナでしたが、最近では東南アジア製も多いですよね?
(読売テレビ・高岡達之特別解説委員)
「賢明なる大国でいらっしゃるわけですから、東南アジア周辺諸国に工場が出ていった原因はどこにあるのか、よくご存じのはずです」
Q.中国で日本人のコンサートやイベントが中止されるケースも相次いでいます。
(高岡特別解説委員)
「それは、文化という人の心を踏みにじっているわけです。向こうに行った日本のアーティストは政治的な発言に踏み込まず、自分たちでやれることをやりました。日本政府は、中国にではなく世界に対して、『我が国は音楽の喜び・舞台の喜びを見ることができなかった人に対して気の毒に思います』と発信するべきです。そうしたら、世界はどう思うでしょうか」
Q.日本政府は世界に発信すべきなのか、石原氏はどう考えますか?
(元自民党・幹事長 石原伸晃氏)
「世界に対して中国がやっているのはプロバガンダです。旧敵国条項を使って攻撃することができるんだったら、脅し以外の何ものでもないし、民主国家はそんなことを絶対にやりません。今回の事態が落ち着いても、また起きるリスクは絶えずあります。それに対してどう対応するかは、“どっちがまともなのか”を第三者に見てもらうことが一番良いと、高岡さんはおっしゃったのだと思います」
■中国の切り札?レアアースの未来
中国の切り札といえば、レアアースの輸出規制です。レアアースは、EV車・スマートフォンなどハイテク機器の製造に必要不可欠な資源です。埋蔵量は中国が48.9%と約半分を占めて世界一で、精錬量は約9割とほぼ独占しています。
一方、日本でも2012年に東京大学などが『レアアース泥(でい)』を発見しました。日本最東端の島・南鳥島周辺の海底約6000メートルに世界需要の数百年分のレアアース泥があり、高濃度・高品質(中国で採掘されるものの10倍以上)で、環境にやさしいものだということです。高市首相は2026年1月、採取のための実証実験を行うとしていて、東京大学・中村謙太郎教授は「既存の技術も活用することで、3~5年以内に商業採掘開始を目指したい」と話しています。
中村教授によると、南鳥島レアアース泥の最大の特長は「放射性元素をほとんど含まないこと」で、放射性廃棄物を出さない唯一のレアアース資源だということです。先進国が抱えるレアアース製錬時の懸念は『環境負荷』『高コスト』ですが、これらを大きく解消できる可能性があります。
実用化には『中国レアアースの価格操作にどう対応するか』『商業開発を目指す場合、民間企業への補助など、さらに整備する必要がある』といった課題もありますが、中村教授は「実用化に向けた開発を迅速に進めるべきだ。中国が先に南鳥島EEZ付近で商業開発を開始する懸念も」と指摘しています。
(石原氏)
「レアアース泥は、私が国土交通大臣の時に見つかりました。中村教授がおっしゃる通り、実用化に時間がかかりますが、数年のうちに試作はできると思います。恐るべきことは、中国が先に『南鳥島は中国の領土だ』などと言いかねないことです。尖閣諸島も『自分のものだ』と急に言いだしたわけですから、しっかり先手を打つことが重要です。この点、高市首相は偉いと思います。日米首脳会談で『安全保障と希少物質を一緒にこれから考えていこう』という経済の一番重要なところで合意していますから、ここは偉いと思います。アメリカもこちらの肩を持ってくれていることが明らかになっていますので、次は日本が技術で中国を揺さぶることができるような国にしていくことが大事だと思います」
(高岡特別解説委員)
「レアアースは掘ればいいというものではなく、それを使って磁石にしなければいけません。日本の複数の企業は、こんな希少金属を使わなくても磁石ができる技術を持っていますから、こんなものが切り札にならない時代が目の前に見えています。だから、今このカードを切ったところで世界を敵に回すだけです。もし切られたら、日本は技術で世界と取引すれば良いわけで、その現実を中国政府の上層部が知らないはずがないと私は思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年12月1日放送)


