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逮捕された田口翔容疑者(24)

【独自解説】“誤送金”4630万円ネットカジノでプラスの可能性、勝敗履歴調べる方法は?「増えていれば別の問題も…」ネットワーク犯罪専門家が解説

 山口県阿武町(あぶちょう)の職員が、“新型コロナ”の臨時給付金として4630万円を24歳の男性に誤って送金した問題で、警察は5月18日、田口翔容疑者を逮捕しました。口座残金わずか665円しかなかった青年の人生を狂わせた4630万円。果たして阿武町は取り戻すことができるのでしょうか?ネットワーク犯罪に詳しい、石川英治(いしかわ・ひではる)さんが解説します。

ネットワーク犯罪評論家 石川英治さん

Q.田口容疑者は、「4630万円全額をネットカジノで使った」と供述していますが、わずか10日あまりでこの大金を使用することはできるのですか?
(ネットワーク犯罪評論家 石川英治さん)
「カジノの場合、テーブルによって掛け金は色々あるのですが、例えば1回に100万円かけられるテーブルもあるので、それで連続で負けてしまえば、4600万円くらいなら簡単に無くなってしまうのではないかと思います」

Q.ずっと口座に入金がないということは、ずっと負け続けていたということですか?
(石川さん)
「勝った分が直接口座に振り込まれるわけではなくて、オンラインカジノのアカウントの中に“お財布”みたいなものがあって、そこで入出金があるので、この容疑者のIDとパスワードをもし警察が押えていれば、オンラインカジノにログインして残高を確認することができます」

Q.ひょっとしたらプラスになって残っている可能性もあるってことですよね?
(石川さん)
「そうです。そのオンラインカジノの口座の中には、もしかしたら4600万を超える金額が残っている可能性も十分ありうるので、その場合は4630万円を返して、残りの分はもらっていいのかとか、また別の問題が出てくると思います。儲けた分は半分納税すればいいのかとか、色んなことを考えちゃいますね」

Q.どこまで捜査できるかというのがポイントだと思うのですが、国が認めたオンラインのカジノの会社の場合に、履歴などを開示して下さいというのは相当難しいのですか?
(石川さん)
「国によって対応は変わると思います。国内の場合は犯罪なので、この人のアカウント情報を見せてくださいというのは通用しますが、海外のオンラインカジノだと、例えばフィリピンはすごく多いですが、フィリピンは犯罪者の引き渡し協定もないぐらいですから、『日本では罪になるからアカウント情報を教えてくれ』と言っても、なかなか開示はしないと思います。容疑者本人が『全額使った』と言うのであれば、“使った証明”として、捜査側が容疑者のアカウントにログインして、残高を見る方が早いのではないかと思います」

Q.田口容疑者が、例えばスマホなどのパスワードやアカウントを言えば、お金を使い切ったかどうか分かるのですか?
(石川さん)
「そうですね、オンラインカジノのお財布の中にいくら入っているかというのは、IDとパスワードですぐ分かるので。間違いやすいのですが、オンラインカジノは仮想通貨などとは違って、他のカジノにお金は送金できないんです。基本的に自分でしか、お金の出し入れしかできないので、そこの口座に残高があれば分かると思います」

Q.そこまで追いかけられればいいのですが、今のところは難しいのですか?
(石川さん)
「そうですね。容疑者がどれぐらい協力する態勢にあるのかというところですが、執行猶予が欲しいのであれば、ある程度は情状酌量が欲しいですから、『口座情報もアカウント情報も教えるから見てください』となる可能性もありますので、そうなれば追いかけられると思います。もしそれでお金があれば容疑者も、『返せば、罪がある程度は軽くなるかもしれない』など、いろいろ考えると思うのですが」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年5月19日放送)

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