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【一部始終】元警視庁刑事にかかってきた詐欺電話…その手口と撃退方法とは?電話番号末尾の『0110』に要注意 全国での特殊詐欺被害が過去最多で警察庁も新たな取り組みへ―
2025年4月10日 UP
高齢者を狙った特殊詐欺は過去最多となり、警察庁は新たな取り組みを行っていますが、今、警察を装う詐欺が急増しているといいます。そんな中、元警視庁刑事のもとにも詐欺電話が…。その手口と撃退方法とは?
■「詐欺電話がとうとう来たなと」元警視庁刑事が警察をかたる特殊詐欺電話を撃退!その手口と撃退方法とは?
(元警視庁捜査1課・刑事 高野敦氏)
「急に『捜査協力で富山県警にきょう行ってくれないか』というふうに言い始めた。そんなことはあり得ないんで、詐欺電話がとうとう来たなと」
詐欺電話のターゲットにされたと語るのは元警視庁捜査1課で刑事だった、高野敦さん。
2025年3月18日にかかってきたという実際の電話口の人物は、
(電話をかけてきた人物)
「このまま放っておくと、資金洗浄の罪が成立するだけになってしまいますので、全ての財産が凍結されるのと同時に、逮捕・起訴といった可能性がありますが…」
(高野氏)
「ちゃんと調べてくださいよ。私何もしていないんだから。なんで資金洗浄になっちゃうんですか」
“口座が犯罪グループの資金洗浄に利用されている“と電話をかけてきたのは、自称・警視庁捜査2課のハシモトと名乗る人物。着信画面の電話番号を見ると末尾が『0110』の表示で、これは実在する警察署の番号に使われていることが多いものです。
しかし、これは“偽の番号”で、急増中の警察官をかたる特殊詐欺の手口です。
相手が元刑事だとはつゆ知らず、電話口の相手は話を進めていきます…。
(自称・警視庁捜査2課 ハシモト)
「資金洗浄に加担していないというのであれば、この事件を捜査している富山県捜査本部に出向いて捜査協力をいただきたいのですが」
(高野氏)
「資産凍結されるんだったら私すぐ行きますよ。仕事キャンセルして」
(自称・警視庁捜査2課 ハシモト)
「実際に足を運ぶのは、遠方という理由であれば、私のほうで、お電話を富山県警捜査本部担当捜査員の方に転送いたしますので…」
当時、奈良県にいた高野さんが「富山県警に出向く」というと、“電話を転送する”と説明した警視庁のハシモト。これについて高野さんは…
(高野氏)
「警察署内で転送することはありますけれども、他府県の他県警に転送するってことはめったにない。最初に富山県警に出頭して来いって言ったのも、後で転送させるための餌だった」
その後、転送先の担当者に伝えてほしいという事件番号などをメモするように指示をされると…
(自称・警視庁捜査2課 ハシモト)
「一度、お電話のほう転送させていただきますが、おおむね2分から3分で転送するかと思いますので」
(高野氏)
「わかりました」
次に電話に出たのは富山県警捜査2課の“コバヤシ”を名乗る人物でした。
(高野氏)
「間違いないですか?詐欺とかではないですか?」
(自称・富山県警捜査2課 コバヤシ)
「はい。(※紙をめくるような音)詐欺事件の捜査の連絡先になっております」
マニュアルを見ているのか…途中、紙をめくるような音も聞かれました。
そして、高野さんがある質問をすると…
(高野氏)
「富山県警の捜査2課ですよね?」
(自称・富山県警捜査2課 コバヤシ)
「はい」
(高野氏)
「県警の捜査2課長って誰ですか?」
(自称・富山県警捜査2課 コバヤシ)
「…はい?」
(高野氏)
「県警の捜査2課長って誰ですか?」
コバヤシと名乗る人物は名前を答えずに、電話は切られてしまいました。
注意すべき末尾の『0110』番。警察庁によると、こうした警察署の番号に偽装した電話は急増していて、2025年3月17日までに、全国で800件を超えているといいます。
■詐欺に遭わないために「名前を聞いて一度電話を切り、家族や知り合いに相談」 高齢者のATM利用についても防止対策案や条例施行へ
特殊詐欺が過去最多となり、警察庁が新たな取り組みを行っています。画像の青いグラフが特殊詐欺の認知件数で、赤いグラフが被害額の推移となっていて、2024年は過去最多の被害総額約721.5億円以上、前年比は1.6倍で、1日約2億円の被害額ということになります。特に高齢者の被害が多く、65.4%になるといいます。
詐欺手口別に高齢者(65歳以上)が占める割合を見ると、『オレオレ詐欺』は66.6%で、『還付金詐欺』は80.0%、『キャッシュカードの詐欺』に関しては98.2%となっています。こうした詐欺に遭わないために、電話がかかってきた際、高野氏によると「担当者の名前と所属する警察署の名前を聞いて一度電話を切り、家族や知り合いに相談」としています。
また、不安を感じた場合、電話相談窓口もあります。
警察専用窓口は『#9110』
消費者ホットラインは『188』です。
警察庁は色々な特殊詐欺被害の防止対策案を出していて、例えば、ATMの一日の利用上限額は、現状、主な金融機関だと『引き出し 一日50万円』で『振り込み・振り替え 一日100万円』となっています。そして変更案では、75歳以上の高齢者の方は一日の利用上限額を30万円にしていきたいとのことです。
大阪では2025年8月から条例が改正され、70歳以上かつ過去3年間ATMの振込を行っていない方は、振り込み限度額が1日10万円以下に。また、全国で初めて、『高齢者ATM利用時通話禁止』が施行されます。
(「情報ライブミヤネ屋」2025年3月27日放送)


