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【独占インタビュー】“統一教会”問題、渦中の2人に直撃③ 岸田首相に訴えたい“苦悩”と“実態”「つらい子どもたちを残したくない」今、2人が望むこと
2022年11月3日 UP
“統一教会”の被害を訴え続ける小川さゆりさん(仮名)と橋田達夫さんが、二人揃って「情報ライブ ミヤネ屋」のインタビュー取材に答えました。その模様を、3回に渡ってお届けします。第3弾となる今回は、二人が行っている“被害者救済”のためのアプローチや、岸田首相に伝えたい被害者の実態、“統一教会”問題のゴールについて語ります。
「自分を救いたい、被害を無くしたい」顔出しで訴える理由
小川さんと橋田さんは、苦しんでいる状況も境遇も違いますが、「“統一教会”の被害者を救済したい」という同じ思いを持っています。
(小川さん)
「“統一教会”の問題は、『ただ2世たちがワーワーと過激に声をあげている』というだけの問題ではなく、家族が巻き込まれてしまっているということを、実際に橋田さんのお話があるからこそ、皆さんも理解していただける部分があるんじゃないかと思います」
(橋田さん)
「小川さんを見ていまして、自分の長男のこともあったし、絶対に被害者を助けなきゃいけないと。もうお金じゃないんですよね。本当に生きていることが大切なんですね。今日一日が。それを全て持っていかれるんですよ、人生そのものを。そのことを強く感じたのが長男の死ですね」
(小川さん)
「自分も、両親に対して出来ることって本当に無くて。両親は“統一教会”を信じ切ってしまっていて、私たちのように離れている立場の人間の言葉は、全然響かないんですよね。だから本当にできることというのは、“統一教会”を解散させるということと、しっかりと被害者を救済する法律を作って被害者を助けていく、という外側からのアプローチしか難しいなって思っています」
これまで会見や野党ヒアリングを通じて、統一教会の実態について、顔を隠すことなく訴え続けてきた小川さん。顔を出すリスクを冒してまで、被害を伝えたい理由を聞いてみると…
(小川さん)
「私がこの活動をするのは、本当にどこまでも、被害者を知ってもらって、こういう被害を出したくないというのが本心です。そして正直、私ってそんなにできた人間じゃなくて、自分も乗り越え切れていない自分がいて、自分自身の中で『つらかった子どもの自分』が残っちゃっているんですよね。その自分を救いたいなという気持ちも、正直あります。私は、4月に子どもが生まれて母親になりまして、その可愛い子どもを見ていたら、子どもたちにこの宗教被害を残しちゃいけないなって、もう自分のようなつらい子どもたちを、これ以上残したくないって思って、それがすごく大きな原動力になっています」
社会に広がった問題意識「この流れを無くしてはいけない」
今なお被害に苦しむ人たちだけでなく、今後被害にあう人も無くしたいとの思いで、広く活動を続ける中、二人の周囲の状況にも、“ある変化”があったといいます。
(橋田さん)
「弁護士から、警察から、今は行政のほうも入ってきました、それとメディアですね、ある程度揃ってきたと、僕は思ったんです。もうびっくりしています。自分が30何年やってきて、この2~3か月でここまできましたからね。けど、これが僕の力の最後かなと、思っているんです。いま一生懸命伝えないと、普通に話してもなかなか分かってくれないんですよ」
(小川さん)
「実際にこれだけ社会全体が問題意識を持ってくれている状況になっていて、本当にこの流れを無くしてはいけないなって思っています。というのも、自分の元に寄せられてくる声で、『虐待を受けている子どもっていくらでもいる』『別につらいのはあなたたちだけじゃない』という声ももちろんあるのですが、“統一教会”の問題って、ただ虐待を受けている“毒親”の問題や家庭の問題で『勝手にあなたたちで解決してください』という問題ではなく、それを助長している団体があるわけです。しかもそれを、国が“宗教法人格”を与えて認めてしまっているんですよね。そしてまた、その宗教団体と政治が絡んでしまっている。本当にものすごく大問題だなと思っているので、これだけ社会問題になっているときに解決して欲しいなって思っています」
小川さんら元2世信者や被害者の会などが呼びかけ人となり、オンライン上で「“統一教会”の宗教法人解散」を求める署名活動を始め、開始からの11日間で16万人を超える署名が集まっています。これまでの活動を通して見えてきたのは、今まで声を上げることができなかった、統一教会による被害者たちの存在でした。そして、被害者の横のつながりも広がっているといいます。
(小川さん)
「もちろん事件が良いわけではないですけど、今回の事件をきっかけに、“統一教会”の被害者たち同士での横のつながりは、増えていきました。ツイッターのダイレクトメールは開放していて、被害者の声がすごく届いています。若い未成年の方の、『親の保護の下にあって抜け出せない』というメールもあるので、それがつらいです」
(橋田さん)
「小川さんはメディアに出ていて、本当に『あーすごいな』って思いました。僕のパワーは小川さんからもらったなと思っているんです」
岸田首相に訴えたいこと、二人のゴールは―
岸田首相は、橋田さんや小川さんといった“統一教会”の被害者に直接会うことを明言しました。政府としても、被害実態の聴き取りを行う方向で、調整を進めていることも明らかにしました。今二人は、岸田首相にどんなことを訴えたいのでしょうか?
(橋田さん)
「訴えたいのは、この教団の卑劣さですね。末端の信者を利用するんですよね。こういうメディアに対してでも、全て。これは非道ですね」
(小川さん)
「岸田首相が、民法上の不法行為を含めるという解散の要件や、今回の国会内に“被害者救済法案”を、と明言してくださっていますが、そういったことを、『いつから実際にやっていただけるのか』ということを、しっかり明確にしていただきたいです。でないと、被害は現在進行形で続いていて、つい先日も中学生の信者の方から、『親に勝手に入信させられていて、不登校で、自殺したい』というような切実な声も届いています。本当に急がないといけないということは、岸田首相自身も分かっていることではあると思いますが、被害者の立場として自分の経験してきたことなどをお話ししたいです」
この“統一教会”問題について、二人が望むゴールはどこにあるのでしょうか?
(橋田さん)
「やっぱり僕は、質問権を行使して、最終的に解散命令までもっていくという形をとってほしい」
(小川さん)
「ここまで被害が拡大してしまったことは、国にも問題があると思います。宗教法人であるという“お墨付き”を与えてきたわけですから、全然遅いくらいだなと思っていて。やっぱりすぐに解散をすべきだなって思います」
二人は教団の解散を望んでいますが、しかしそれが全ての終わりを意味するわけではない、と言います。
(小川さん)
「私は解散自体がゴールではなくて、まず被害者を救済しなければいけないと思います。そして、今後もそういう被害者を出さないこと。なぜなら、“統一教会”を潰してしまっても、別の代わりができてしまうだけなので、今後も被害を出さないためには、高額な献金や、明らかに異常な、人を脅してお金をだまし取るような行為の規制であったり、子どもの人権が守られていない宗教被害・信仰を強制されてしまって、精神を病んでしまうような子供たちを救うような、被害者救済法案を通すことが、ゴールかなって私は思っています」
(橋田さん)
「小川さんが言われるように、フランスの『カルト法』ですよね。本当にやるんだったら『カルト法』をやらないと、統一教会はまた復活する可能性があると、僕は思います」
(情報ライブミヤネ屋2022年10月27日放送)


