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【独自解説】“ステルス・オミクロン”まん延のデンマーク、感染爆発中でも規制をほぼ撤廃…日本の取るべき道は?勝田教授「“ゼロリスク信仰”からの脱却」を提言
2022年2月4日 UP
依然として「オミクロン株」の勢いが止まらず各地で感染拡大が続く中、2月3日、東京都モニタリング会議で「現在、都民の100人に約1人が検査陽性者として、入院・宿泊・自宅のいずれかで療養をしている」という衝撃的な数字が発表されました。
感染拡大はいつまで続くのか、ヨーロッパを中心に世界では“規制緩和”が進んでいるという今、日本の取るべき道は?元・外務省医務官、関西福祉大学の勝田吉彰(かつだ・よしあき)教授が解説します。
“第6波”感染のピークはいつ?
学校でも新型コロナの感染が急拡大する中、文部科学省は、授業での合唱やリコーダーの演奏を控えることや、調理実習、密集する運動、部活での激しい呼吸の運動や集団での飲食を控えることなどを盛り込んだ「感染症対策案」を発表、2月4日午後の政府分科会で議論を経て対策を決定し、各学校設置者などに示すということです。
Q.学校での感染対策はどう考えますか?
(関西福祉大学 勝田吉彰教授)
「子どもを守るために、その周りにいる大人がワクチンをうって免疫の壁を作るのは本来のワクチン接種の原則だと思いますが、まだ希望者にもワクチンの3回目接種が行き届いていない状況なので、期間限定でこういう規制をするのはやむを得ないと思います。しかし、どこがゴールなのかを示すべきですね。」
東京都のデータを基に番組で調べてみると、“第5波”の時の「前週比の倍率」のピークは、2021年8月1日の2.63倍で、そこからは減少傾向、そして8月19日に新規感染者数のピークを迎え、収束に向かいました。“第6波”の「前週比の倍率」のピークは1月10日の10.27倍で、そこからは減少傾向となっており、感染拡大のスピードは鈍化してきていると言えます。また“第5波”と比較して予想すると、2月4日~7日付近で新規感染者のピークを迎えることも考えられます。
Q.流行株なども違うので一概には比べられませんが、このような比較から“第6波”のピークアウトへの期待は持てますか?
(勝田教授)
「もっともな話ではありますが、第6波は、今出ているオミクロン株が全てではないですし、流行の中心であるオミクロン株もどこからきているか分かっていないのです。分かっていればそこを防げばよいのですが、それはできないので、また新たな株が出てくる可能性も考えなければなりません。」
Q.新型コロナウイルスがこの世から無くならない限り、このままずっと新たな変異株に怯え続けなくてはならないことですか?
(勝田教授)
「私たちがどういう意識でコロナに向かっていくかというところで、もし“ゼロリスク”、1例でもあったら困る、というような意識でいけば、ずっとコロナに怯えて生活することになります。どうやって私たちの意識を変えていくか、ということに大きな課題があると思います。」
Q.季節性インフルエンザに近い、と思うようになれば、同じような対応にしていけるということですか?
(勝田教授)
「季節性インフルエンザよりもう少し緩やかな、例えば私たちが対峙しているコロナウイルスは7種類ありますが、最初の4種類は単なる風邪です。それに感染しても、インフルエンザのように学級閉鎖や出席停止もありません。そういうところまでいけば、私たちはコロナと付き合いやすくなると思います。」
世界で進む“緩和” 日本の取るべき道は?
一方、海外では徐々に新型コロナに対する規制の緩和が進んでいます。イギリスでは、1月27日から屋外でのマスクの着用やワクチン接種証明の提示など、感染対策に関わるほとんどの規制を撤廃。フランスでも、2月2日からマスク着用やテレワークの義務などが解除されました。さらに2月16日からは、バーでの立ち飲みや映画館での飲食などを認め、ディスコも再開するとしています。このように今、ヨーロッパでは新型コロナを「パンデミック(世界的流行)」から、「エンデミック(地域的流行)」と捉える動きが始まっています。
オミクロン株には、「BA.1」「BA.2」「BA.3」などいくつかの系統があり、その中で今、主流とされているのが「BA.1」に当たります。デンマーク国内では、2022年に入り一度ピークアウトしたかと思われたのですが、その後“ステルス・オミクロン”と呼ばれる「BA.2」への置き換わりが進み、再び状況が悪化することになりました。
日本であれば、緊急事態宣言が出てもおかしくない状況ですが、デンマーク政府は2月から新型コロナに関する規制のほとんどを撤廃しました。デンマークでは、国民のワクチン接種率が80%を超え、重症者も少ないため、「新型コロナは、もはや社会を脅かす病気とみなされるべきではない」とし、撤廃を決めたといいます。
勝田教授は、「世界で緩和が進む中、“ゼロリスク信仰”を続けていては海外に後れを取ることになる。重症化リスクのある層で3回目のワクチン接種が進めば、緩和に向けた議論も活発になるのではないか。」と“ゼロリスク信仰”からの脱却を提言しています。
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年2月4日放送)


