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一般公開された「青瓦台」

【独自リポート】尹錫悦大統領就任で懸念される韓国の“二分化”…国民の反応は?開放された「青瓦台」から現地リポート

 新しく韓国の大統領になった尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏ですが、選挙の公約で大統領執務室を青瓦台から移転することを掲げていました。早くも就任初日の5月10日に大統領執務室は移転され、青瓦台が一般公開されています。現地から読売テレビの武藤将大記者がリポート、合わせて朝鮮半島情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授が解説します。

「歴史が変わった」 開放された青瓦台

現地からリポートする読売テレビ・武藤将大記者

(武藤記者)
「こちら青瓦台です。青い屋根の建物がありますが、そこに大統領執務室があったという、まさに韓国政府の政治の中枢だった場所です。今、そこにたくさんの人が訪れていて、芝生のところではイベントも行われています。ここは74年間ずっと大統領の執務室があった場所ですが、尹新大統領就任に伴いその幕を閉じました。新しい執務室は、ここから南に5kmほど行った龍山(ヨンサン)と言う場所にある、国防省の庁舎に移転。尹新大統領は、就任式の後ここに来ることなく龍山にある庁舎に行ったとのことです」

転売される見学チケット

Q.今後青瓦台には誰でも自由に入れるんですか?
(武藤記者)
「申請をして抽選に当選すれば入れます。初日5月10日の枠が2万6千人ですが、申し込みが8万人以上あったとのことで、日付関係なく申請の合計だと100万人以上になるそうです。今回来ている人に話を聞くと『当選してとても嬉しかった』と言っていました。そして早くも、青瓦台の見学チケットの“転売”が問題になっています。本来、見学は無料なのですが、フリーマーケットのサイトなどを見ると、日本円で2000~4000円で取引されていて、多くの人が見学を希望していると感じました」

広大な敷地

Q. 青瓦台の中はどのようになっていますか?
(武藤記者)
「大統領執務室のあった本館の建物は、高さはビルの5階分位あるのですが、天井を高くしているので中は2階になっています。今私がいるのは本館周辺ですが、全体に森が広がっていて、その奥には大統領の官邸などもあるということです。森の中を歩いていると迷いそうになります。まだ本館の中には入れませんが、今後見学できるようにしたいとのことで、外から中を見ますと、赤い大きな階段があり、非常に厳格な空気でした。大統領執務室は、その階段を上がった2階にあったとのことです」

朝鮮半島情勢に詳しい龍谷大学・李相哲教授

Q.李教授、広さにまつわるエピソードがあるとのことですが…
(李相哲教授)
「秘書たちが、働く場所から大統領執務室まで歩いて10分位かかるので、自転車や車を使わないとだめだということもあって、仕事がしにくいという話があります。青瓦台は昔の朝鮮王朝の宮殿のように作られていて、大統領と一般の人、メディアの記者などとも交流ができないので、今回移転した先の国防省の庁舎にはプレスルームも作って、大統領と記者が顔を合わせられるようにしたということです。今までは建物で権威付けして近づけないようにしてきたのですが、これからは歴史が変わったという印象があります」

尹大統領の公約だった大統領執務室の移転

Q.歴代の大統領は動きたくなかったんですか?
(武藤記者)
「直近で言いますと、文在寅前大統領も執務室を動かしたいと言っていましたが、警備上の理由から断念したという話もあります。今回就任した尹新大統領は、就任初日に青瓦台の大統領府を移転させて、開放イベントを華やかに行うことで、文前大統領との違いや実行性をアピールする狙いもあると言う人もいます」

注目集まる尹大統領の“通勤”

旧大統領官邸も開放

(武藤記者)
「青瓦台本館から5~6分長い坂を上った場所に、旧大統領官邸があります。日本のものと大分趣が違いますが、閑静なところです。青瓦台本館の緊張感と比べると、かなり落ち着いた印象があります。この建物は、大統領とその家族が生活していた場所なんですが、木造で色は明るい感じです。屋根などは青瓦台本館とよく似た形で、韓国の伝統的な様式で建てられています。公開の前日まで、文前大統領が過ごしていたということです」

韓国初の“通勤する大統領”に

Q.大統領官邸も開放してしまったら尹新大統領はどこに住むんですか?
(武藤記者)
「尹新大統領は、新しい大統領府の近くにある建物を使う予定ですが、まだ整備ができてない状態で、しばらくは江南にある自宅から通勤することになります。韓国の大統領が通勤をするのは初めてのこととなりますので、報道によりますと、警察は江南から大統領府のある龍山まで車でのルートを3回シミュレーションしたということです。実際は10kmにも満たない距離なんですが、韓国(ソウル)は朝夕の渋滞がひどいので、大統領の通勤に伴う交通規制がどういう影響を与えるのか注目されています」

「文派」と「尹派」、対立の実情

僅差での当落選で世論が二分

Q.尹大統領は僅差での当選で、「韓国が二分しているのでは?」と思うのですが、今回の見学者の雰囲気はどうですか?
(武藤記者)
「色々な人に話を聞くと、確かに世論が分断されたと感じます。文前大統領の支持者の集会では支持者は『文前大統領はこれまでで一番いい大統領だった』と言います。日本でのイメージとは少し異なっていて、文大統領は任期の最後まで支持率が40%を超えていて、一番支持率が高い大統領と言われています。その文前大統領の支持者の集会で『これからの尹新大統領の5年間はどうなってほしいですか?』と聞くと、黙ってしまって、次の5年間は何も起こらないことを願っているような感じでした。一方で尹新大統領の支持者は、政権交代に対する期待感がすごく高い印象があります。また、今韓国では、検察の捜査権を大幅に縮小させる、通称『文在寅保護法』というのが話題ですが、それに対する評価も、文前大統領支持者と尹大統領支持者では180度違っていて、対立の根深さを感じます」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年5月10日放送)

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