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家計直撃!ガソリンや小麦の高騰で影響はこれから

【独自解説】ウクライナ侵攻の影響“長期化”懸念…専門家分析では家計「年6万円増」も?「原油・ガス・小麦」の今後は?

 ウクライナ侵攻が先行き不透明な中、ガソリンや小麦の価格上昇が止まりません。そのうえ、本格的な影響はまだこれから出るとみられていて、家計は「年間6万円の負担増」という試算も…!第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣さんが徹底解説します。

パン1個500円の時代になる?食品の値上げラッシュに拍車

第一生命経済研究所 永濱利廣さん

 3月14日の東京外国為替市場では一時、1ドルが117円台後半まで円安ドル高が進み、約5年2か月ぶりの水準まで円が値下がりしました。

Q.有事の際には基軸通貨のドルが買われるといいますが、同時にこれだけの円安が起きるというのは何を指しているのでしょうか?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「アメリカの方が、景気が良くて金利が上がってきていますので、金利差でドルが上がっているということです。確かにドルに対しては弱いのですが、他の通貨と比べるとまだ高いです、例えば韓国のウォンなどはもっと下がってしまっているので、それと比べると円はまだ安全資産であることは変わりないと思います。」

来年の家計は“負担増”という試算が出ている

 永濱さんの試算によると、平均的な3人世帯の来年の家計負担は、約5万円~6万円増えるということです。その内訳は、電気、ガス、ガソリン、灯油などといったエネルギーに関する費用は4万円~5万円増、食料品は約1万円~2万円増となっています。

Q.食料品に関しては買い方を変えるという一時的な自衛策などはできるとは思いますが、去年からずっと日本は給料が上がってないわけですから、政府には給料を上げてもらう方の公約を優先してもらいたいのが庶民感情だと思います。ウクライナ情勢で先行き不安な中で、企業が政府の言っている賃上げを行うというのは厳しいのではないでしょうか?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「まさにその通りで、3月というのは春闘の交渉の佳境を迎えている時ですから、そんなときに戦争が起きて先行きの不透明感が高いということになると、一部の優良企業を除いては、賃上げは難しいかなと思います。特にコロナ禍で悪影響を受けてきた飲食店などでは、ただでさえお客さんが少なくて、ようやくコロナが落ち着いてお客さんが増えるかなという時に原材料の値段が上がってしまうというのは相当厳しい状況が続くのかなと思います。」

輸入小麦価格の高騰

 輸入小麦価格が高騰しています。4月からの価格は10月期から17.3%引き上げられて、1トン当たり7万2530円という数字になりました。農水省は、小麦の主な輸入国であるアメリカ、カナダでの天候不良やウクライナ情勢の影響があるとしていて、今後の小麦価格については、予測しにくく不透明だとしています。
 
 永濱さんは、輸入小麦価格はこれからさらに上昇すると予想していて「2022年10月の改定では4月の価格から4割以上の価格上昇となる可能性がある」として、輸入小麦価格は10万円を超える可能性を示しました。これは近年、最も小麦価格が安かった2020年10月時の2倍以上になるおそれがあるということです。

Q.小麦の輸出の世界シェアを見てみると、ロシアとウクライナで世界の小麦の輸出のほぼ3割を占めているんですよね?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「そうですね。さらに言うと、日本の小麦の価格というのは政府が一括で買い付けて製粉会社に売り付けるのですが、その価格改定が4月と10月で、今回4月に改定される値段は今年の2月までの輸入小麦の価格が反映されるんです。3月以降ウクライナショックで思いっきり価格が上がっていますからこれが効いてくるのが次の10月の改訂になりますのでこのままいってしまうと、本当に小麦の値段が急騰してしまうということになると思います。」

コメ以外の食料品 全て値上げの恐れも…

Q.農産畜産などで使う肥料もロシアから多く輸出されていますが、これも影響がありますか?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「そうですね。ロシアはトウモロコシなども輸出していますから、そうなると肉や乳製品の値段も上がりますし、半導体などを作る時の希少な部品やガスみたいなものもロシアは輸出しているので、すでに半導体が足りないところがより足りなくなってしまって、さらに車の値段が上がったりする影響が出てくると思います。」

“日本経済への影響”長期化の恐れ 今後の対策は?

日本経済への影響 長期化も懸念される

 永濱さんは「たとえ停戦しても、ロシアへの経済制裁はすぐに解除されるとは思えず、原油価格の高騰は長期化するおそれがある。第1次、第2次オイルショックも供給要因で起きた。今回、第3次オイルショックが起きる可能性も高い」といいます。

(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「特に第1次オイルショックと第2次オイルショックというのは、どちらかというと物が足りないというところが深刻であって、あの時は物価が上がる以上に給料上がっていたのです。でも今回は物が足りないということはないですが、物価が上がる一方で給料が上がらないので場合によっては今回の方が深刻だという感じもします。」

Q.第3次オイルショックも懸念されるということですが、政府はどんな対策をすべきなのでしょうか?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「エネルギーはトリガー条項の凍結解除をすべきだと思いますが、食料品については今、軽減税率で消費税8%ですよね。海外の軽減税率は標準税率とかなり差があるので、日本もこういう状況なので軽減税率分を例えば半分の4%に下げるんであれば、年間の財源は2兆円で済むんです。思い切ってゼロにするなら4兆円かかりますが、私はそれぐらいやってもいいんじゃないかなと思っています。」

Q.つまりヨーロッパなどに倣って、贅沢品などの消費税を高くして日用品はゼロとか、そういうメリハリをつけるこということですか?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「そうですね。標準税率はもっと景気がよくなってから上げなくてはいけないと思うんですけれども、生活必需品についてはこのタイミングで私はもっと軽減税率を下げた方がいいんじゃないかと思います。」

Q.そういう税収が減って、逆に我々の暮らしにいろんな不都合が出るということはないですか?
(第一生命経済研究所 永濱利廣さん)
「それは実際、日本の財政状況を考えれば日本国内では危機的だという話もありますが、海外から見ると日本の財政はそこまで危機的ではないという見方もあります。今は平時ではなくて有事なわけですから、やはりここは負担軽減をして経済を支えるということを優先してもらいたいと思います。」

(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月14日放送)

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