記事
【独自解説】韓国大統領選で野党勝利 “5年ぶりの政権交代”で日韓関係は改善する?勝利した尹錫悦氏とは?専門家が解説します
2022年3月11日 UP
3月9日、韓国で大統領選挙の投票が行われました。韓国では過去5年の「共に民主党政権」での少子化問題やソウルへの一極集中、住宅価格の高騰など現政権への不満がたまっていました。そんな中、今回の選挙では、投票の直前にもう一人の有力野党候補「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)氏が立候補をやめ、最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)氏と野党候補の一本化が行われたので、尹錫悦氏と与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏との事実以上の一騎打ちとなりました。
投票の結果は尹錫悦氏がわずか0.73ポイントの差で勝利し、5年ぶりの政権交代が行われることとなりました。今回の選挙の結果を通して、これから韓国がどうなっていくのか、そして戦後最悪と言われる日韓関係は今後どうなるのか。韓国問題に詳しい龍谷大学の李相哲(り・そうてつ)教授が解説します。
韓国5年ぶりの政権交代 その要因は
Q.野党が勝利した理由はなんですか?
(龍谷大学 李相哲教授)
「過去の世論調査を見てみますと、いろんな数字がある中で一つだけ変わらない数字があります。それは、国民の55%が『政権は交代すべきだ』と言う数字です。この数字が1年近く変わらなかったんです。「共に民主党」の政権で良いという声は35%しかなかったんです」
Q. 得票率の差わずか0.73ポイントという接戦になったの要因はなんでしょうか?
(李相哲教授)
「今回接戦になった背景には、今の韓国は地方議員や首長は約9割が「共に民主党」というのがあって、終盤になってその与党が危機感を持って、とにかく票を集めろという指令で頑張って組織票を集めた結果じゃないかと思います。そして、安哲秀氏に関しては、一本化の効果はなかったという説もあります。また尹錫悦氏は55%の票を取ってないということは、政権交代は必要だけれど『尹錫悦氏はどうかな…』っていう人もいたということです」
次期大統領 尹錫悦氏とはどんな人物
Q.次の韓国大統領になる尹錫悦氏の強みはなんでしょうか?
(李相哲教授)
「尹錫悦氏は政界に人脈もなく政治経験もなかったんですが、立候補して8か月で大統領になりました、これは彼に“リーダーシップ”と“包容力”がなければ途中でダメになっていたと思います。その包容力でほかの野党を取り込んでいった、そして最後には安哲秀氏も取り込んで一本化したことが、彼にリーダーシップと包容力があるという証明にもなったと言っていいと思います」
Q. 政治経験がないのは“強み”なんでしょうか?“弱み”なんでしょうか?
(李相哲教授)
「韓国では大統領に上り詰めるまでにはいろいろな人から支援を受けたり借りを作ったりするんですが、尹錫悦氏はこの8か月で自力で上り詰めたので、“しがらみ”がないんです。政治経験がないと言われていますが、韓国の検事総長として“悪い人”も“良い人”もたくさん見てきていますから、私は期待してもいいと思っています」
尹錫悦氏のもと日韓関係は改善するのか
Q.韓国の国会では「共に民主党」が172議席で「国民の力」は106議席しかない中で“徴用工問題”をはじめとした日韓問題は動いていくのでしょうか?
(李相哲教授)
「支持率がものを言うと思いますが、“徴用工問題”と“慰安婦問題”は韓国の国内法の問題なんです。ですから新し法律を作って解決するのではなく、日韓の“政府間合意”や“請求権協定”を守ればいいんです。韓国も批准しているウイーン条約では『国際条約は国内法に優先する』となっているので、その原則を守れば問題解決の糸口はつかめます」
Q.竹島問題は少し色合いが違いますよね。
(李相哲教授)
「領土問題はどの国も解決しにくい問題なので、100年後とかにならないと解決しないのではないでしょうか…」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月10放送)


