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事故で亡くなった松永真菜さんと莉子ちゃん(松永拓也さん提供)

池袋暴走事故 過失認めなかった被告 遺族は「法律で与えられる最大の刑罰を」

飯塚被告に過失運転致死傷の罪で最も長い「禁錮7年」の求刑

(事故で妻と娘を亡くした松永拓也さん)
「2人の生きていた姿をありありと想像してほしかった。たしかに生きていた2人だったのだと知ってほしかった」

おととし4月、東京・池袋で乗用車が暴走し11人が死傷した事故。その裁判が7月15日に東京地裁で結審し、無罪を主張する旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三被告に対し検察は法定刑の上限である禁錮7年を求刑しました。この事故で妻と娘を亡くした松永拓也さんが法廷で意見陳述を行い、公判後には記者会見で苦しい胸の内を明かしました。

遺族の意見陳述「法律で与えられる最大の刑罰を望みます」

飯塚被告の前で意見陳述に臨んだ松永さん(画:宮脇周作)

去年10月に始まった注目の裁判で、加害者の主張と被害者遺族の思いは最後まで重なることはありませんでした。遺族による意見陳述に立った松永拓也さんは事故直後を振り返りました。

(事故で妻と娘を亡くした松永拓也さん)
「自宅に着いた棺を開けて交互に話しかけた。真菜には『出会えて感謝している』、莉子には『生まれてきてくれてありがとう』と。そして、大好きだったノンタンの絵本を読み聞かせた」
「実刑判決が出ると信じています。法律で与えられる最大の刑罰を望みます」

微動だにせず求刑を聞いた飯塚被告 過失は認めず

「踏み間違い」を否定した飯塚幸三被告(画:宮脇周作)

裁判で争点となっているのが過失の有無。検察側は、事故原因についてブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違いだと指摘。これに対し、弁護側はこれまで通り事故の原因は「車の不具合」とし無罪を主張。微動だにせず求刑を聞いていた飯塚被告は、裁判の最後に意見を求められると…

(飯塚幸三被告)
「私がアクセルとブレーキを踏み間違えたという記憶は全くございません。今でもそう思っております」
「結果論ですが、もう少し早く運転を止めておけばよかったと反省しています」
「亡くなった松永真菜さん、莉子さんに対して本当に、本当に、申し訳なく思っております。これからもお祈りを続けたいです」

検察側の指摘「不合理な弁解に終始し反省を拒絶している」

検察側は、法定刑の上限「禁錮7年」を求刑

検察側は、過失運転致死傷の罪では法定刑の上限となる禁錮7年を求刑しました。求刑のポイントは、(1)事故原因はブレーキペダルとアクセルの踏み間違い、(2)自分の衰えを認識していたにも関わらず運転技術を過信していた、(3)不合理な弁解に終始し反省を拒絶している、というもので、同様事故を防ぐためにも厳罰に処すべきだと検察は判断しました。

遺族の会見「心がつぶれる思いで意見陳述をしても、変えられなかった」

裁判後に会見する松永拓也さん

裁判終了後、松永拓也さんは記者会見で、自らの思いを明かしました。

(裁判後に会見する松永拓也さん)
「本当にここまでくるまで長かったですけれども、むなしさとただ今終えた、やれることはやったというこの気持ち、複雑な感情で今、います。でもやってよかったと思います」

「最終陳述でも、被告は今まで通り自分に過失はないと変わらず主張し続けた。私たちの心情の意見陳述、心がつぶれそうになりながら読み上げた意見陳述を聞いてもなお、やっぱり(飯塚被告の)考えは変えられないんだなと」

「2人の生きていた姿をありありと想像してほしかった。たしかに生きていた2人だったのだと知ってほしかった」

「人の考えは基本的に変えられないと思っていますけれども、あの人は変えられないからこそ、罪と、2人の命と、遺族の無念と向き合う時間と場所が必要だと思います。それは何かと言ったら刑務所に入ること。なので、裁判所にはしっかりと公平で公正な判断を下して頂きたい」

なぜ「禁錮7年」か…背景に「遺族の感情」と「被告の態度」さらに高齢での運転に対する「社会的関心」も

今回、重い求刑が出た背景について元検察官の亀井正貴弁護士は「近年、飲酒運転、あおり運転、ながら運転など交通事故の厳罰化が進んでいる。踏み間違いなど高齢者が起こす事故も頻発しており、重い求刑となったのでは」と分析しています。

亀井弁護士によりますと、求刑は前例を見ても重く、判決も前例に比べて重い5年半~6年ではないかということです。そのポイントは(1)遺族の処罰感情が強い、(2)交通事故厳罰化が進む中、社会的関心が高い、(3)被告に反省する態度が見られない、(4)高齢での運転に対する危険性を事前に認識できていたはず、だと指摘します。

判決は9月2日に言い渡されます。

(情報ライブミヤネ屋 7月16日放送)

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